★【第一部】絶望 三章 リライブ 2
スズメのイラスト(鳳凰)は、ウバ クロネ様に描いていただきました。
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出口では、スズメとメイロン、それにリンが並んで待っていた。
メイロンは笑顔で恭介の肩をポンと叩き、スズメは涙ぐんだ目で恭介を見つめた。
リンが胸を張る。
「だから、キヨスケは大丈夫だと言ったじゃろ」
やはり偉そうだった。
「ありがとう、みんな」
心から恭介は答えた。
その時、ぐらり、地面が揺れた。
「始まったか…キヨスケ、あまり時間がない」
リンがほんの少し、真面目な顔になる。
「地上と地底に、いつもよりも強い、通い路が出来る日がある。それが今日なのだ」
地面は揺れが続く。
「ただしお前は一人で進まなければならない。そのための試験だったのだ」
恭介は疑問を口にする。
「通い路が出来るということは、地上からも来るものが?」
「その通り。前回、俺が払った黒い連中が、まもなくまたやって来る」
メイロンが答えた。
「俺も戦う。戦います。今ならメイロンと一緒に戦える!」
スズメとメイロンとリンの三名は、互いに顔を見合わせ、くすくすと笑った。
「キヨスケ、お前、それでは地上に戻れなくなるぞ」
「まだ私たちの本当の姿を、ご存じないから仕方ないですけど」
確かにメイロンは竜に変化できるし、強かったが、スズメとリンの本当の姿とは、一体…
「見くびられたものだな、キヨスケよ」
リンは空中に飛び上がり、体を回転させた。
風がリンを取り巻く。
「我が真の名は、リンにあらず」
空中から降り立ったリンは、うさぎのような耳が角となり、サラブレッドのような姿に変わった。
長いひげだけが、リンをしのばせる。
「我が名は、麒麟!」
「同じく。我が真の名は、スズメにあらず」
恭介の背後でスズメが翼を大きく広げた。
その姿は、孔雀にも似た鳥に見え、嘴は鋭くなっていた。
「我が名は、鳳凰」
メイロンは人の姿のまま、恭介に言う。
「俺は、まあ竜なんだが、正式には応竜だ。そして、レイ様は」
地底がズンと揺れた。
「レイ様は、本名、霊亀様」
麒麟となったリンが、恭介に向かって話す。
「われら、神聖なる四体の瑞獣なり。邪気悪鬼がやって来たとて、恐れるに値せず」
麒麟は笑った。
「さあ、行け、キヨスケ。この地は全域がレイ様の甲羅の上なのだ」
鳳凰がさえずる。
「走り続けた先に水面が見えたら、思いきり飛び込むのです」
応竜が恭介の背中を押す。
「強くなったな。地上に戻っても、大丈夫だ」
ありがとうと何度も叫びながら、恭介は駆け出した。
背後では、真黒な腕や頭が、何体も湧き出し始めた。
振り返るなと声がした。
爆音や雷鳴が響いてきた。
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