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【本編完結】異世界から戻ったので、とりあえず復讐します~少年が大人になる通過儀礼~  作者: 高取和生@コミック1巻発売中
第五部

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【第五部】縁  四章  残照 3


恭介は唇を噛む。


仙波の能力と資質を、今もって甘く見ていた。

仙波が現れた瞬間に、倒すべきだった。


そうすれば、二人の巡査の命を、散らすことなく済んだろう。


だが


倒せるのだろうか。

今の恭介に。


ゆらりと、仙波が動く。

同時に恭介の目元をかすめる刃の影。


恭介の目尻から、血は後方へと流れていく。


「本気出せ、恭介。

お前は手に入れたはずだ。


地底の宝を」


恭介は後ろに下がり、陰陽五行の理を手にためる。


先ほどの仙波の繰り出した技、頬で受けた感触は金属ではなかった。


むしろ

木。

となれば武器は金属に限る。


恭介は、瑠香から託された小刀を袋から取り出す。


「いいね、恭介。その武器が正解だ」


躊躇なく仙波は指先を伸ばす。

仙波の指の形状は、全てが鎌のようである。

しかも、長い。


二メートル程、距離を取っていた恭介の胸に、仙波の指が突き刺さる。

ぎりぎりで攻撃をかわしたものの、胸骨にヒビが入った。


「ほう、よくかわしたな。だが致命傷だ」


仙波が笑う。

その笑顔は霊界に帰っていった、江一とそっくりだ。


「まだ、俺は戦える」


恭介は息を吐きながら言った。

痛みは感じない。

手足も動く。


「おまえの皮下に卵を植えた。まもなく蟲は孵る。そうだな、日没を迎える頃に。

喜ぶが良い。


あの香弥子には、産み出すことが出来なかった。

真の常世神とこよのかみの誕生だ」


仙波と対峙していると、恭介は体中の気力が失われていくように感じる。


考えたくはないが、格の違いだろうか。

それとも、これも仙波の術か。


恭介の耳元のノイズが大きくなる。



同時刻。

狩野学園。


校内は蟲の襲撃からは、守られている。

教師も生徒らも、近隣から避難してきた人たちの、対応を続けている。


校庭には大きなスクリーンが張られ、牧江の動画が映されている。


「天使は、世界の人たちを幸せにする、宝石を持って飛んでいたの。

ところが、いたずらな北の大地の精霊が、冷たい北風を天使に吹いて、宝石は地上に落ちちゃった!」


牧江は天使のコスプレで、絵本の朗読をしている。


白井と共に、走り回っていた綿貫は、立ち止まってスクリーンを見つめる。


「わ、綿貫さん、どうした?」

白井が声をかける。


「あれ、牧江さんだよね」

「うん」


綿貫は、画面の牧江を見つめる。

「変わった。彼女、全然違う」

「そ、そうかな」


次のシーンには、魔女のコスプレの瑠香が登場した。


「どうしたの? 天使さん。何か困っているの?」

「うん。みんなを幸せにする宝石が、ばらばらに落ちてしまったの」


合成画面なのだろうか。

先ほど到着した瑠香が、本当に出演しているのか。


「それじゃあ一緒にさがそうよ! そうだ、鳥さんにもお願いしよう!」


綿貫は、はっとした表情で駆け出した。

白井もあとを追う。


「ど、どうしたの! 綿貫さん」

「絵を! 私の描いた絵。持ってくる!」


綿貫の描いた絵。


それは、海の景色と四聖獣。


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