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【第一部】絶望 二章 地上と地底 10
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悠斗の母が倒れてから一週間後、地方紙の片隅に、こんな記事が流れた。
「自称フリーライター島内仁(四十六)、青少年保護育成条例違反により、逮捕」
冤罪を主張するも、島内の訴えは認められず、十日間拘留の上、罰金刑にて釈放。
釈放後、島内は悠斗に連絡を取ろうとしたが、電話もメールもSNSもまったく通じなくなっていた。
季節は春を迎えようとしていた。
まもなく、恭介の同級生たちは高等部に入学する。
四天王といわれた侑太や戸賀崎たちの輪に、悠斗が加わっていた。
四天王という呼び名は、やがて五芒星に変わる。
恭介は、その地上生活に戻るべく、試験を受けていた。
試験というよりも、試練であったかもしれない。




