表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】異世界から戻ったので、とりあえず復讐します~少年が大人になる通過儀礼~  作者: 高取和生@コミック1巻発売中
第四部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

145/243

【第四部】 追跡   二章  先人の涙 13

13


「ところで」

畑野は恭介の問いには答えず、話を換えた。


「お前、資本は今、どれくらいある?」


恭介は戸惑いながらも、素直に答えた。

「およそ三十億でしょうか。藤影本社の株は、推定ですが、一割程度は押さえました」


高校生個人としては、破格な資産額である。

しかし畑野は微塵も驚かない。

恭介に、資産を生み出し、拡大していくすべのいくつかを伝授したのは、まぎれもなく畑野であるからだ。


「なるほどな。どうだ、俺の島、買わないか?」


畑野の提案は、恭介の想定範囲を越えていた。

たしか、畑野は一億で、セッコク島を買ったと言っていたが。


「何故でしょう。俺にとって、どんなメリットがありますか?」


「理由は三つ」

一つ目の理由は、そろそろ畑野も島から離れ、首都近辺に腰を落ち着けようと思っている。

二つ目は、恭介の資産を増やすためにも、島のリゾート開発を、手がけてもらおうかと思っている。


「そして三つ目の理由は、お前にとって、多分最大のメリットだろう。


なぜなら、藤影薬品を巡る全てのトラブルの始まりは、セッコク島にあるからだ」


セッコク島!


恭介の脳裏に、島で見た満天の星空が浮かんだ。

生き直すことが出来るようになった島。

あの島に流れついたのも、偶然ではなかったのだろうか。

そして、恭介を助けてくれる人たちと、縁が結ばれたのも。


記憶の中の星空に、星が流れた。

恭介は決心した。


「わかりました。その話、お受けいたします」


それならば、と畑野は話を始めた。

気の遠くなるような、長い歴史の一側面エピソードだった。


この時の畑野の話により、恭介の絵本用のシナリオは、少しばかり修正されることになる。



白井が自宅でスクワットをしていると、珍しく父が、定時退勤時間で帰って来た。


「早いね、今日は」

「うん、夏の薬物取締りキャンペーンが終了したからね」


父、一樹はにこにこしている。

薬物の一斉取り締まりは、かなりの成果が上がったようだ。


「がんばってるヒロくんに、お土産買ってきたよ」


何かと思えば、鉄アレイだった。


「もうこれ重くってさあ、パパ四十肩になっちゃう」

いや、四十肩はもともとだろう。


「でもさ、スクワットとか、お祓いに関係あるのかな」

白井の腓腹筋は、既に涙目になっていた。


「そうか、ヒロくん知らないんだっけ」

「何を」

「おばあちゃん、女性で唯一、千日回峰行みたいなの、こなした人だって」


せん、かいほう?

何それ?


「まあ、女性だから、公式記録になってないし、千日まで行かないで止めたって、おばあちゃん言ってたけどね」


「そ、それで、ばあちゃん、霊能者になったの?」

ううん、と父は顔を横に振る。


「パパも詳しくはしらないんだけど、自分の霊能をつけるためじゃなくて、誰かを幸せにしたいと思って始めたみたい」


なんかスゲー

ばあちゃん、やっぱスゲー!

よく分からないけど、足腰鍛えることで、誰かを幸せに出来るなら、

それが俺にも出来るなら


俺もちょっと、頑張ってみようかな…


「ヒロくんなら、そう言うと思ってさ、ほら、五キロのダンベル二個あるよ」


それはいらん!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ