表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】異世界から戻ったので、とりあえず復讐します~少年が大人になる通過儀礼~  作者: 高取和生@コミック1巻発売中
第四部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

143/243

【第四部】 追跡   二章  先人の涙 11

11


「新しい絵本を作る!」


恭介は、悠斗や白井にそう宣言した。


読んだ人が皆、幸せになれるような、そんな絵本を作る。

そして、その絵本を世の中に広めると。


「絵は、綿貫さんに描いて欲しい」


白井は綿貫に恭介の依頼を伝えたあとで、浮かんだ疑問を口にする。


「絵本を作って売ったら、元の絵本の呪いって晴れるの?」

「絵本全体に、呪い解除の護符おまもりを忍ばせるつもりだ」


「護符って、ああ、ばあちゃんのお札みたいな…」


「そうだな、柏内さんにもお願いしよう!」


ばあちゃんにも?

ということは


ほかに、お祓いできる人って、いたっけ


思考を巡らす白井の頭に浮かぶ、一人の女性。


「あっ!瑠香さんにも?」


巫女姿の瑠香が、怨霊と化していた香弥子を葬ったのは、白井も目の当たりにしていた。

凛とした佇まいと、朗々と発せられた祝詞。

あの時、確かに瑠香は、何かを祓っていた。


「ああ、そうだね、瑠香さんもできるか」


瑠香さん、も?

さらに、誰かいるとでも?


「瑠香さんを育てた人がいるんだ。あの人なら、きっと出来る」


そういえば、絵本を恭介に渡したのは瑠香だったが、その瑠香は「おじいちゃんから」と言っていた。


「何より、元の絵本の『天使の願い事』を描いた人は、セッコク島に所縁があるそうだから。あの島のことをよく知っている人が必要だと思う。セッコク島の守り人なんだ、瑠香さんのおじいさん、畑野さんは」


「島へ行くのか、キョウ?」

それまでじっと聞いた、悠斗が恭介に聞く。


「遠いからなあ。飛行機で行って、さらに舟で島へ渡って」

うーん、と悩みながら恭介は答える。


閃いた、というように白井が言う。

「じゃあさ、その、瑠香さんのおじいさんに、こっちへ来てもらうとか」

「あ、それ、いいかも」


夜更けまで三人、あれやこれやと話を続けていた。

綿貫からは絵本の製作を快諾する、メッセージが届く。

男子高校生たちは、歓声を上げた。



同じ頃。


島の守り人、畑野健次郎は、恭介たちの住む関東にやって来ていた。

久しぶりの東京である。

畑野は何年かに一度、都市部こちらを訪れていたのだが、ここしばらくは来る機会がなかった。


元々は都内の大学で、遺伝子変性の研究をやっていた畑野である。

都心の指定された場所にも、慣れた足取りで向かう。


珍しい相手からの誘いであった。

ただ、誘われた理由は、およそ検討がつく。


ただ純粋に、会ってみたかった。

会って、話がしたかった。


奴も、昔の思い出語りをしたいのか。


自嘲気味に畑野は笑う。

いや、そんなことのためだけに、アポイントを取るような奴じゃない。


畑野が向かうのは、有名ホテルの最上階。

夜景の見えるバーで、一人の男が待っている。


待っているのは恭介の父、藤影創介その人である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ