表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】異世界から戻ったので、とりあえず復讐します~少年が大人になる通過儀礼~  作者: 高取和生@コミック1巻発売中
第四部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

132/243

【第四部】 追跡   一章  科学と魔術 18

17


狩野学園第二体育館の爆発は、地下に溜まったガスに、何かが引火したため発生したと発表された。


たまたま居合わせた生徒会長の藤影侑太が、危険を顧みず鎮火にあたり、大火傷を負ったという報道もなされた。

ただし、侑太の母、香弥子についての言及は、全く見られなかった。


恭介と悠斗は、救急搬送される侑太に付き添った。

侑太は、体の三割以上がⅢ度の熱傷の上、右眼球に重篤な損傷を受けたため、専門病院での治療となった。


白井と瑠香、綿貫、島内らは、一足先に体育館を抜け、瑠香の主導でそれぞれの傷を癒した。

島内は、記事を書くと言って、すぐに帰った。


「瑠香さん、スゴイ人だったんですね」


白井が体のあちこちに、湿潤療法用の絆創膏を貼りながら、瑠香を尊敬の眼差しで見つめる。


「え、なんのこと?」

「だってほら、宇部とか秦とか、弓も鳴らしてたし…」


「ああ、それ!」

瑠香は軽やかに笑う。


「パクリとはったり! 高校時代は体育で弓道やってたけどね」


秦河勝や大生部多を主人公にした、アニメがあると瑠香は言った。

パクリでも何でも良いと、白井は思った。

瑠香がいなければ、綿貫を救うことは、まずできなかった。


その綿貫は、瑠香の部屋のシャワーを借りていた。

心臓の鼓動は、今だ速い。

悪夢かと思うような出来事だった。


綿貫の体を突き刺すはずだった刃は、たまたま貰ったペンダントが防いでくれた。


たまたま?


綿貫は、白井の祖母、柏内のセリフを思い出す。


「あなたから、ステキなお花を貰ったお礼に、私からもプレゼントです」

薄紅の天然石のペンダントだった。

「お守りになりますよ」


確かに守ってもらった。

偶然なんかじゃない。

あとでお礼を言わなければ。

でも


その前に、まずお礼を言わなければならない人がいる。


綿貫が瑠香から借りた服に着替え、白井と瑠香の元へ行く。


白井は綿貫に気付き、声をかけた。

「だ、大丈夫?」


綿貫は笑顔で答えた。

「うん。ありがとう!」


その笑顔だけで、十分だった。

すべてが報われたと、白井は思った。



その頃。

藤影創介に帯同していた仙波は、一足先に日本に戻ってきた。

空港に着くと、仙波の腕時計のベルトが、いきなり切れた。


ああ、逝ったか。

仙波は直感した。

その時計は、香弥子から受け取ったものであった。


仙波の武装手段を、簡単に無効化した男。

さらには、当代屈指の霊能者がついている。

あなどれない。

実にあなどれない奴らだ。


だが、仙波にも野望がある。

邪魔されるわけにはいかない。

科学でも、魔術だけでも、難しい。


あの恭介たちを退けることは。


本番は秋。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ