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【本編完結】異世界から戻ったので、とりあえず復讐します~少年が大人になる通過儀礼~  作者: 高取和生@コミック1巻発売中
第三部

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間奏6 父と子の会話

房総から戻った俺は、毎日宿題と格闘している。

夏季休暇とか言って、毎日家にいる親父は、料理を作りながら

「宿題、見てあげようか。ヒロくん」

とか、超ウザイこと言ってくる。


悔しいが、なんだかんだ言っても、親父は偏差値がバカ高い大学出てるので、数学なんかは仕方なく聞いてしまう。

だが、親父の教え方は、壊滅的に下手だ。

「見れば解けるでしょ?」

ムリだって。

俺、文系頭だし。

やっぱ、あとで松本、じゃない、キョウにでも聞こう。


「あああ、俺、ホントに親父の息子なのか。理系科目ダメダメだ」

呟きが聞こえたようで、親父はにっこりと笑う。


「何言ってるの。ヒロくんとパパ、瓜二つ。そっくりじゃん」

いや、そう言われても、あんまり嬉しくないぞ。


「似てるっていえばさあ」

親父は思い出したように語る。


「前に久里浜行ったとき、ヒロくんのお友達二人いたじゃない。ああ、ヒロくん、高校で、お友達出来たんだ。良かったあ、ってパパ思ったの」

ほっとけ!


「二人とも礼儀正しい、イイ子たちだったし。それで、小沼くんって言ったっけ、目付きの鋭いコ」

「うん」

「パパ、多分、小沼くんのお父さん、知ってるよ」

「ええ! マジ?」

「おそらくね。顔とか雰囲気とか、そっくりだから」


キョウもそうだけど、悠斗って自分のこと、あんまり話さないから、家族のことって聞いたことなかった。

「小沼さん、警視庁の刑事さんで、パパ、一緒に薬の取り締まりしたのよ」

「へええ」


世間は意外に狭いな。

いや、縁がある同士が集まっているのか。

ばあちゃんが今の高校に行けと言ったのは、そういう人たちに巡り合うからだったのか?


「たださ、小沼さん、もう何年か前に、殉職されてね」

殉職…亡くなった?

そういえば、俺が親父の話をした時、悠斗も「うらやましい」て言ってたっけ。


うらやましい?

俺が、か?

俺の方こそ、キョウも悠斗も羨ましいぞ。


あいつらと一緒にいると、俺は時々コンプレックスを感じる。

キョウは成績良いし、素顔は美形だ。


悠斗はカッコいい。

俺、タバコ苦手なんだけど、悠斗がタバコ咥えた姿は、不良っぽさが漂って、ちょっと憧れる。


二人とも、ハードボイルドチックな人生みたいだし。

なんで、あいつら、こんな平凡な俺なんかと、つるんでくれてるんだろ。


房総からの帰り道、悠斗が言ってた。

「お前、イイ奴だな。キョウが付き合うの、分かるわ」


イイ奴なのか、俺。

そもそもそれ、誉め言葉なのか?

俺、あいつらに、釣り合っているのかな。

今度、ばあちゃんにでも聞いてみよう。


それでも…


親に殺されかけたキョウ

親を亡くしている悠斗


ウザい父親とか、口うるさい母親とか思うけど、普通に高校に通っている俺って…

「俺って、恵まれてるのかなあ」


親父はまた笑顔になり、俺の頭を撫ぜた。


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