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最終話 なんか、物足りないのですよー。

ストック分……なくなった!


「……!!」


「今度はあっちですかー? この先は確か……王都跡地じゃないですかねー?」


晴れ渡って雲一つない絶好の散歩日和なのですよー。

こんな日の空中散歩は最高です。

でも、今日は同行者がいます。

同行者はダンジョンさん。


「……?」


「もう何も残っていないのですよー。前見た時は樹海のようになっていましたよ。シェーネさんが大改造しちゃったみたいですねー」


勇者が風魔さんに暗殺されてから結構経ちました。

1人の人間さんの王様と騎士さんが人間さん達をまとめて、一致団結した人間さん達は魔王達と戦い抜きました。

なにやらその戦いは人魔戦争と呼ばれているそうなのですよー。


長く続くと思われた戦争も20年くらいで終結しました。

王様に導かれた人間さんは予想以上に強くて、勇者が死んだ事で油断した魔王さん達が沢山死んじゃったのですよー。

火事場の馬鹿力ってやつですかねー?

実は勇者さんが死ぬ前日に炎腕の魔王さんを倒していたらしいので、戦争で倒された魔王さんは私達以外の3人ですねー。


あの時は次々と魔王さん達が殺されていって怖かったのですよー。

魔王さん倒すたび士気が上がって止まらなくなっていった人間さんは本当に怖かったです。

どこからそんな力が出ているのか不思議なくらいだったのですよー。


「あ、見えてきましたよー。あれ? 前より緑が大きくなっていますねー?」


そういえば、戦争が始まった頃にシロさんのダンジョンはダンジョンさんに吸収されて、シロさん達はダンジョンさんに移り住んだんでしたっけ。

人間さんが攻めて来た時はもう駄目かと思いましたが、シロさん達が来た事で戦力増強していたおかげで助かったのですよー。

攻めてきた人間さん達を返り討ちにする事ができました。


まあ、返り討ちにできた理由は、私がたまたま人間さんの代表だった王様と騎士さんを殺したからでしょうかー?

最終決戦の際に最前線ではないものの戦場に出ていました。

簡単に見つかったり殺されたりしないようにしていたようなのですが、適当に放った魔法が当たっちゃったみたいで蒸発しちゃったんですよねー。


威嚇のつもりだったので適当な方向に放ったんです。

まさかあれが王様達に当たると思わなかったのですよー。

でも、それのおかげで人間さん達の士気がガタ落ちしたので、どんどん逃げ出す人が増えて返り討ちする事に成功したのです。


負けた時の事を思うとヒヤッとしますが、勝つ事ができたし、あの戦争のおかげで美味しい魂が沢山取れたのですよー。

幸せの絶頂とはまさにあの事です。


ただ……ダンジョンさんは不幸だったみたいです。

戦いの大半はダンジョンさんの外だったので、死体が殆ど食べられなかったのですよー。

戦場跡はミミックのトトさんの独壇場でしたねー。

あの時のダンジョンさん、生物だったら血の涙でも流しそうなくらい悔しがっていましたよー。

トトさんはそれを分かった上で見せびらかすように食べていた所もあったので悔しさ倍増だったみたいですねー。


「……」


あれ? 何かダンジョンさんが急に不機嫌に。

私の雰囲気から何か思い出してしまったのでしょうかー?

よほど悔しかったのですねー?


「ダンジョンさん。王都跡地の樹海、探検してみますかー? 最近、あの樹海でマタムネさんが実験的に家畜を放し飼いし始めたら、凄い事になったとか聞いたのですよー。詳しい内容はまだ聞いていないけど行ってみませんかー? 気になるのですよー」


「……?」


戦争で私達の被害は殆どなかったですし、死亡者もいなかったようなので良かったです。

生き延びた人間さんも今はどこかに隠れ住んでいるようで、暫く来そうにないのが残念ですがー。

責め滅ぼされたくはないですが、定期的に来てくれる方が魂を確保できて美味しいのですよー。

でも、かなり数が減ってしまったので、暫く魂はお預けな感じなのですよー。

ストックしている分を大事に食べなきゃいけませんねー。


「到着です。おおー、なんか降りて見ると全然違って見えますねー!まさに樹海って感じですねー!」


「……!」


戦争が終結して数十年経ちましたが、あれ以来人間さんを見ません。

絶滅していると困るのですがー。

見つけたら適度に生かす努力が必要でしょうか?

なんだか絶滅危惧種の動物保護みたいですよー。

でも、人間さんの保護はとっても面倒くさそうです。

隙あらばディルスさんが切り殺しちゃいそうで、あっという間に絶滅しちゃいそうなのですよー。

見つけてもそっとしておくのが一番でしょうかー?

あ、でもディルスさんには絶対バレないようにしなきゃいけないですねー。


「薄暗くてカンテラの明かりが映えるのですよー。雰囲気にぴったりですねー。それに、探検は何時してもわくわくするのですよー」


「……!」


勇者さん暗殺事件から現在まであった出来事は、大体これくらいでしょうかー?

戦争が終わった後は平和な日々が続いているのですよー。

あまりに何もなさすぎて、どう暇をつぶすか考えちゃうくらいなのですよー。

人間さんの脅威がなくなったので外に出やすくはなったのですが、出しちゃいけない人もいますし、常に何人かがダンジョンさんに残っていますが、最近外に家作っちゃったり旅に出ちゃったりして帰ってこない人も出てきました。

帰ってこない一部の人は連絡すらしないので、今はどこで何をしているのか全く分からないです。

わりと自由奔放な人が多いのですよー。


たまに連絡と共に何か変な物が送られてくる事もあるのですが、生産組の人に渡して処理してもらうのですよー。

何故か毎回生産組の人が喜々として受け取っているのですが、何に使うのか考えるのが怖い物があるので最近工房に近寄れないのですよー。

よく分からない音や何か得体の知れない物がはみ出していたりするので怖いです。

きっと知ってはいけない事なんですよー。


「なんか奇妙な鳴き声とか謎の人影のようなものが見えるのですが、なんでしょうね? あれー」


「……?」


そういえば最近工房の人達がこの樹海に来ていたらしいと聞いたような?

……うう、ちょっと怖くなってきたのですよー。

ダンジョンさんを落とさないように気を付けなければいけませんねー。


「……!?」


不安が伝わっちゃいましたかー?

大丈夫ですよー。

ダンジョンさんは絶対落としません。

たぶん。

落としても糸で拾いますよー。


「あ、最初から糸を巻きつけておけば安心ですね」


「……!」


「でも、なんだか抱っこ紐みたいなのですよー」


「……!!」


「怒らないくださいよー。私も恥ずかしいんですからー。ダンジョンさんが落ちない対策でやっているのですよー?」


今のダンジョンさんの外見はパッと見は木で出来た赤ちゃんぐらいの大きさの人形でしょうかー?

ダンジョンさんが自由に移動するための器で、ようやくできたのですよー。

最優先事項ってわけじゃなかったので、後回しにされた上に戦争の性で計画が忘れられていてできたのが昨日。

忘れられていた時は怒っていたダンジョンさんも今ではご機嫌です。

まあ、あくまで試作品なので動く事はできないのですが、生産組さんは優秀なのですぐに動けるようになると思います。


「とりあえず、今は色々と我慢して欲しいのですよー。きっとすぐに走れるようになったりしますよー」


「……」


人形と言っても辛うじて人の形に見えるかもしれない木製の何かな今のダンジョンさんですが、それに抱っこ紐付けて抱っこしている状態と考えると何とも言えない外見だと思うのですよー。

とっても恥ずかしいです。

でも我慢しています。

ダンジョンさんも頑張って我慢して欲しいのですよー。


「……」


なんかとても複雑そうなのですねー?

とりあえず気を紛らわすために探検再開なのですよー。


「ゲキョキョキョ……ヴォグォ!?」


気が付いたら何か目の前にいたので咄嗟にカンテラで燃やしてしまったのですが、なんだったんでしょうね?

一瞬で消えちゃったのであまり見えなかったのですがマーブル色の何かがいた気がします。

でも、マーブル色の生物なんているはずないのですよー。

きっと生産組さんが作った動く装置か何かです。

悪い事しちゃいましたかねー?


「……」


「世の中見ない方が良い物もあるって? そんなにひどい物だったんですかー? 見なくて良かったですよー」


ダンジョンさんが引いちゃうくらいですからよっぽどだったんですねー。

それなら燃やして消滅させても問題なしです。

灰すら残さず消したので処理もバッチリですよー。

それにしてもそんなものがこの樹海にあるなんて怖いです。

見つけ次第消しちゃいましょうかー。


「でもそんな見た目の物、見たくないのですよー。目を閉じて進むと探検ではなくなる気がします。どうすれば良いんでしょうねー?」


「……」


「見つけたら運がなかったと思って、探検が終わった後で生産組さん達に回収させるって? そうしますかー」


見つけない事を祈るのですよー。

それにしても生産組さん達はとんでもないもの作ってそうですねー?

最近自重という言葉を忘れている気がします。

思い出して貰った方が良さそうですねー。

そうしないと後々後悔しそうなのですよー。


「さあ、探検を続けましょうかー」


「……!」




ちょっとトラブルもありそうですが、平和な日々が続きそうです。

平和なのもいいですけど暇すぎるのも問題ですねー。

今思うと戦争の時にあの王様と騎士さんが死ななかった方が色々と良かったかもしれないと思うのですよー。

あの2人が死んでからパニックになった人間さんは、一方的に魔物さん達による蹂躙戦であっという間にやられちゃいいましたしねー。

魔物さん達が張り切ってすごいスピードで人間さん達を蹂躙していくので、私の出る幕がなかったのですよー。


戦争はあっという間に終わってしまった感じです。

あっさり過ぎた終わり方でした。

そのせいでしょうかね?

最近思うのです。


「なんか、物足りないのですよー」


「……?」


「色々、ですかねー? あまり終わった感じがしない終わり方だったって事なのですよー」


「???」


「意味が分からないって? 私も分からないのですよー。ただ、何とも言えないなと思っただけです。何ででしょうねー?」


「……」











ハッピーエンドでもバッドエンドでも――


何も思わない、何も感じない終わり方って――


つまらないですよねー?――
































【別ルートニ進ミマスカ?】


 ▶ Yes         No






最終話です。嘘じゃないですよ。

ただルート分岐します。ゲーム的に。まるちえんど?

考えているエンディング書ききれるかなぁ……


……気の成果なんかハードルが上がった気がするけど。

ストックないので次は再び亀な更新になるやも?


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