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元弟子




「久しぶりだな」

「···············人違いです」


ただいま俺は国を代表したもの同士が殺し合う一対一の血闘、"国打ち"に参加させられ、難癖つけられて殺し合いさせられそうです。


「···············帰っていい?」




§





「俺が国打ちの代表?勇者にやらせろそんなん」

「お前が勇者ぶん殴って戦闘不能にしたのもう忘れたのか。この浅漬け美味いな」

「俺以外に強い奴なんてこの国に何万ているだろ。あと浅漬けばっかじゃなくてちゃんとたくあんも食え。お前が食いたいって言ったんだろ」


ちょうど3人で食事してるところに突然サラハットが尋ねてきたと思ったらやれ腹が減っただの、飯よこせだの言ってきたから面倒だから残ってた米と浅漬けとこの前食いたいって言ってた手作りのたくあんを食わせてる。

つかこいつ今日休みじゃなかったっけ?なんで警備隊の戦闘服着てんだ?


「そう言えばお前の嫁は普通に飯食えんだな。人肉しか食えねぇのかと思ってた」

「嫁じゃねぇ··········俺の理性が持つ限りは。そんな事よりなんでよりによって俺なんだよ」

「そこのそれ(醤油)取ってくれ。他の奴らは魔王軍との戦で全員使い物になんねぇ。俺も含めてな」

「師匠はどうした」

「お前それ鋼牙の前で言ってやれよ。多分泣いて喜ぶぞ」

「んなわけねぇだろ」

「ツンデレかよ。まぁいいや、鋼牙さんは5万の魔王軍の足止め中だよ。単騎で」

「5万くらいじゃ十日あれば全滅させられんじゃね?」

「いや、三日で皆殺しにして帰ってくるって。だが国打ちは明日なんだよ」

「やなんだけど俺、つかなんで俺なんだよ」

「相手がお前の知り合いだからだよ」

「俺の知り合い?」


俺万年ぼっちだから知り合いなんてそんなに居ないはずなんだがなぁ。

誰だよ知り合いって。


「【血染めの鬼面】だよ。お前の元弟子だろ」

「···············何やってんだよあいつ」


俺は頭を抱えた。

"あれ"は俺の黒歴史に近い、というか黒歴史だ。

言う事聞かねぇし、すぐ人殺すし、まじで狂犬みたいで何言っても人の言葉が返ってきたことの方が少ないバーサーカー。

一度戦に出せば敵も味方も関係なしにぶっ殺しまくる殺戮兵器。

あんまりにも問題だらけだから師匠の俺に尻拭いをしろとか言われて仕方ねぇから半殺しにして破門にしたんだっけ。

あいつ元気にしてるみたいでよかったよかった。


「尚更やなんだけど」

「お前があん時ぶっ殺さなかったのが悪い。今度こそお前が殺れ」

「えぇ、あれでも俺の愛弟子なんだけど」

「愛弟子なら尚更お前の手で引導を渡してやれよ」

「他のやつに殺らせろ。ともかく俺はパスだ」

「今度俺が合コン組んでやるよ」

「シャオらァ!!やったるでぇ!!元弟子だろうが家族だろうがぶっ殺してやんよ!」

「俺が言うのもなんだがお前って血も涙もねぇんだな」

「二十八号はヴァルバラのどこが好きなの?」

「この血も涙もないところ」


横でなにやら失礼なことを言ってる奴らがいるが無視無視。

サラハットは俺の数少ない知り合いの中で数少ない比較的まともな分類の人間だ。

そんなやつが組んでくれる合コン、これはまともな女と関係を持てるチャンス。

たかだか1回の殺し合いでそんなチャンスがあるんなら乗らない訳には行かないだろ。




〜そして現在〜




『今回の国打ち、東の門!魔国【鬼ヶ島】代表ッ!!【血染めの鬼面】!|()()()!!そして西の門!大国【ラーマ】代表ッ!!【恐怖の黒騎士】【黒兜】ヴァルバラッ!』


黒いフードを深く被り、赤い鬼の面を被った小柄な見た目をした、自分の背丈より長い十字槍を肩に担いだ者が、東と書かれた鳥居から歩いてくる。俺の元弟子にして、今から殺し合う相手。

森長可。


「···············てかその面、まだつけてんのな」

「あぁ、お前お忘れないために肌身離さず持ってたよ」

「そいつは嬉しいねぇ。それで?そんなに俺を殺したい訳?」

「あぁ、俺はあんたを超えて、最強になる。その為にあんたに弟子入りした。それだけだ」

「俺を殺したって最強になんぞなれねぇよ。言っただろ、俺を殺しても貰えんのはただ俺を殺したという事実だって」

「俺は、それが欲しいんだよ」

「そうかよ、変わり者が」

「あんたもだろ、師匠」


お互い武器を構える。

長可が十字槍に対し、俺は素手、と言うよりガントレットだった。

俺の今の装備は俺の故郷の甲冑を意識させた黒い装備。

大剣はこの前ぶっ壊しちまったから仕方ないからこっちできた。

と言うか一騎打ちではこっちの方が戦いやすい。

大剣は大勢と戦う時の方が有利であり、こういった一騎打ちでは不利になる。


「お前、俺が出るって知ってたろ」

「それがなんだよ」

「そんなに死にてぇか?」

「あぁ、俺は昔も今も、師匠を殺したいし、師匠に殺されたい」

「望み通り殺してやるよ」


『それでは両者、構えて───始めッ!!!』



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