森
穴蔵から出てすぐに森…………。
まぁ、想定内では有るよな
「森………でも、ジャングル風では無いのか。」
植物を見て、少なくとも寒い方の土地柄の木でもなく、暑いジャングルの木でもない
つまるところ、日本風の…………、あの暖かみのある木だ
「植物から察するに、人の手の届いてない森………。日本では無いのか………。」
まだ日本だと心の何処かで思っていた俺は、少しばかり気を落とした
まぁ、幼女な俺とドラゴンでは、日本に住むのは不可能だろう
良いとこ見せ物。悪けりゃ解剖。歩く姿はまさに鴨
嫌な国だな。日本って………
いや、そもそもこっちの世界はどうなんだ?
これでもし、地球と同じ価値観だとしたら、解剖待ったなしだ
ヤバイな………。やはり、人に会うのは避けるべきか………?
まぁ、人どころか人工物の欠片もないこの場所じゃ、意味ないな
まだ見付かってない物よりも、見付けなければならない物がある
言うまでもなく、食料だ
「はぁ………リンゴくらいなってねぇかな………。」
穴のなかにはリンゴの木くらいなら有ったのだから、外にも………っと思ったのだが、やはり、考えが甘かったと言わざるを得ないようだ
光が差し込みにくい場所と言うのは、大抵の果物が育つ環境下としては適していない
リンゴを例に取れば、最低限必要なのは2つだ
その1 日光が当たること
これは植物全般に言える事だが、光合成をして、栄養となるデンプンを作る……のが重要で、そのデンプン等が果物になるのだ
その2 水捌けが良いこと
土に水が貯まってしまうのはNG
だからと言ってすぐに抜けてしまう砂の土もNG
つまり、今の状況を考えるとこの場所に果物がある木はない………ってことだ
「あまり離れるのは気が進まないが………。仕方ない。」
先程まで穴の周りでグルグルと回ったが、穴の近くには無い
迷う可能性も有るが、飯は優先事項だ
「はぁ、服がほしい………。」
先程から足先に当たる石が痛かったり、草が体に当たってしまったりと、あまり心地よいとは言えない
無い物ねだりをしてても意味ないな
「さて、じゃあ移動すっか………。」
あまり気が進まないが、俺は果物を求め森のなかに進んで行った




