表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】アルマーク ~北の剣、南の杖~  作者: やまだのぼる@ナンパモブ2巻12/5発売!
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/708

声の主

 突然、3人の訪問を受けたノリシュは、顔を真っ赤にして何度も、恥ずかしい、を連発した。

「3人とも私のお喋り聞いちゃったの? もうほんとに恥ずかしい! 忘れて!」

「忘れられっか、こっちは夜も眠れなくなるほど悩んだんだ!」

 とネルソン。

「勝手に聞いて勝手に悩まないでよ!」

「あんなとこで謎の声が聞こえてきたら、男だったら誰だって聞きに行かぁ! モーゲン以外はなぁ!」

 無茶苦茶なことを言い出すネルソン。まぁまぁ、とアルマークとウェンディが間に入る。

「ノリシュ、風の魔法が得意なのは知ってたけど……」

 ウェンディがネルソンを肩で押し退けて話し出す。

「まさか、風便りの術がもう使えるなんて……中等部で習う魔法でしょ? すごいよ」

「まだ練習中だから安定しないんだけどね」

 ノリシュもウェンディに誉められて満更でもないようだ。

 風便りの術は、遠く離れた相手に、風にのせて言葉を届ける魔法だ。時間はかかるが、優秀な術者なら海をも越えて肉声のメッセージを届けることができる。

 と言うと、素晴らしく便利な魔法に聞こえるが、これは相手がいるであろう場所に対して風を送る魔法なので、もし風が届いたときにその相手がその場所にいなければ言葉は届かない。使い方が難しい魔法なのだ。

「で、なんで風便りの術でしょうもないお喋りを迷路にばらまいてたんだよ」

 とネルソンがウェンディの横から顔を出して、またノリシュの気に障りそうなことを言う。

「しょうもないお喋りとは何よ!」

 案の定、ノリシュがその言葉に引っ掛かる。

「とりあえず俺が庭園で聞いたのはしょうもないお喋りだったがなぁ!」

「やーめーなーさーい」

 ウェンディがネルソンを再び押し戻す。

「でも、なんでボルーク卿の石像に風便りを?」

 アルマークが二人の後ろから尋ねると、ノリシュは恥ずかしそうに顔を伏せる。

「別に……特に深い意味は……」

「嘘をつけぇ!」

「やーめーなーさーい」

「何か訳がありそうだね。別に話したくないならいいんだ」

 アルマークは言った。

「でも、君の風便りを僕が聞いた感じでは……ノリシュ、君の話し方は……そうだな、僕は自分が会ったことないからよくわからないんだけど」

 ウェンディがアルマークを振り返る。ネルソンも、こいつ何を言い出したんだ、という顔だ。

「君の声は優しくてとても親しげで……うん。まるで自分のおじいちゃんに話しかけてるみたいだったね」

 アルマークの言葉に、ノリシュがはっと息を呑む。

 その反応に、ネルソンが目を剥く。

「まさかノリシュ、お前……ボルーク卿の孫だったのか」

「ばか、違うわよ!」

 ネルソンを一喝しておいて、ノリシュはアルマークに向き直る。

「さすがアルマークだね。なんでもお見通し」

「いや、ただの感想だよ」

「ねぇ、もう一回庭園に行く時間あるかな? 向こうで話そう」

 ノリシュが不意に笑顔を見せた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ