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神殿のお仕事

 

 神殿はなんというか簡素な建物だった。


 中に入っても待ち合い室のような感じで5人くらいが座れる長いすやテーブルとイスのセットがちらほらあって、奥のほうを見るとカウンターがある。


 カウンターの方には内側に等間隔に人がいて受付をしているようだった。


 病院とか市役所みたいだな。


 実際ここで行われるのは適正診断やら加護、解呪、時には神託といったもので今日リーアがつれてこられたのは適正診断だった。


「それでは、みてみようかの」

 

 順番待ちの末にようやく通された部屋でお爺さんの神官が言った。


「精霊神エリュシレーネに問う、この者の資質を示したまえ」


 神官がそう言うといきなり脳内に声ならぬ情報が流れ出した。

 

属性魔法「初級火魔法」「初級風魔法」「初級水魔法」「初級土魔法」「初級光魔法」「初級闇魔法」


回復魔法「応急手当」 


特殊魔法 「ドライヤー」「ブラッシング」「ギロチン」


生成魔法「ブラシ」「ハサミ」


道具生成「薬剤」「ブラシ」


パッシブスキル「フェロモン」「ブラッシング」「鑑定」


加護 「火精霊」「水精霊」「地精霊」「風精霊」「光精霊」「闇精霊」

 

 ひとつひとつに「~~」を覚えた。と付いていきその量の多さにくらくらする。


 属性魔法の辺りで「というか魔法なんて使えるのかこの世界。」と思っていたら非常に聞き覚えのあるモノが特殊魔法の所にあった気がする。


 「ブラシ」関連が4つもあるのは何でだ?「フェロモン」??って何さ??


「ふむふむ、魔法の才に恵まれておるようじゃの、手先も器用そうじゃし加護も問題ない。優秀なお嬢さんじゃのう」


 朗らかにアリーに告げた神官に「説明はなし?!」と抗議しそうになるのをぐっと抑える。


「まぁ!よかったわねリーア!これからはきちんとお勉強しなきゃだめよ?」


 嬉しそうにリーアに抱きつくアリーに「いや!だから説明を!」と言いたい。


「あのう?」


 声を上げると神官もアリーもリーアを見る。


「どんな魔法がつかえるのですか?」


 遠まわしに聞いてみたら二人とも苦笑してから教えてくれた。


「そうじゃの、それはこれからのおぬししだいじゃろ」


「そうよ?お勉強して使えるようになるんじゃない」


 どうやら資質があるか、加護があるかどうかだけらしい。


 じゃぁ覚えたっていうのはなんなんだろう?


 そして使えたとしても使いたくないのがひとつ・・・「ギロチン」なんだよこれ怖すぎる。他が一般的?な魔法以外にはトリマーっぽいものばかりなのに「ギロチン」て・・・・思い浮かぶのは処刑台しかうかばない。


 使った途端に首落ちるの?なんなの??


 部屋を出るとアリーは「待っててね」といってカウンターへ行ってしまった。


 イスに座って足をぷらぷらさせているとどこからか視線を感じる。


 キョロキョロと見回してみれば隅のほうで大型犬っぽいものがこちらを見ていた。


 人の流れは入り口からカウンター、待ち合い室といったほうばかりなので入り口の左右の隅は人気がないのだ。


 その上、大人でも一人では手の届かなそうな柱まであるのだからなおさらだろう。


 一応神殿の中なのだし大丈夫かな?


 アリーを見るとまだかかりそうだと考え、犬のほうへ寄っていった。


 見た目は全体的には灰色のコリーといった感じの犬は逃げもせずにじっとリーアを見ていた。


 

適正を調べるだけの簡単なお仕事です。


犬の特徴書き忘れてました。


コリーはシェットランド・シープドック(通称シェルティ)の大きい判で名犬ラッシーですね

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