説明を求める!
遅くなってしまいました。
ククッカはホワイトラビィと同じく低位の魔獣でホワイトラビィとは違い売れる部位が無い。だが、繁殖力は凄まじい為にスラムや貧困にあえぐ人々は、数匹を囲い数が増えては必要な数を残し潰して腹を満たす。
目の前にいる少女はそんな事情があるとは知らないだろうから、あえて言ったりはしないけど。
「名前はククッカで初心者向けなんだけど・・・って聞いてる?」
ククッカを見ているリーアはニハールの存在すら忘れているような気がして聞いてみると。
「聞いてない」
こうまではっきり言われるといっそ清清しいと思うのはなんでだろうか。
「もう一回お願い」
今度は聞いてくれるようだ。よし、ちゃんと説明しよう。
「コレはククッカっていう魔獣なんだけど、他の魔獣よりは扱いが簡単で初心者向けなんだ。商人や駆け出し冒険者なんかが使うかな?」
その後も自分の知る限り(とは言っても一般的に知られているものだったが)を説明していくのだが、リーアは明らかに聞いていない。「ふーん」「うん」など生返事しかしていないし、ニハールのほうを見もしないのだから。
ちゃんと聞けよ。と思いつつ文句でも言ってやろうと思うニハールだったがふと気付くとククッカがなんか変だ。
何が変なのかはわからないがいつも見るククッカの動きとは違うのだ。
ククッカは扱い易いとはいえそれは抵抗しないという意味ではない。ようは「警戒しようが捕まる」「抵抗しようが攻撃とはならない」というだけなのだ。
「何してんの?」
と聞けば。
「反応見てる」
とだけの答えでまったく意味がわからない。
そのうちに柵の中に指を入れば簡単にククッカは寄ってくるし、自ら身を寄せているようにも見えるほど簡単に触らせている。何でだ?
「こうすれば良いんだよ?」
当然のように言われるが「どうしたのかが」わからないニハールにとっては、目の前で甘えるように喉を擽られているククッカを呆然と見るしかできない。
ようやく出てきた言葉といえば・・・・。
「いや、わからないよ」
しかなかったのである。
獣に好かれて当たり前な人 と 獣に避けられて当たり前の人 はどういう割合なんだろうかと思う。




