ふわふわ
「魔法ってなんでもありなのかな・・・?」
『特殊魔法ドライヤー』はその名の通り温度の調節可能な風の出る魔法でした。機械であった業務用ドライヤーと違い本体が熱をもったり風が熱くなりすぎたりしないうえにわざわざ動かさなくても自分の思う場所に温風が当たると言う優れものな魔法で『生成魔法』で出したブラシで梳かしながらなので一本一本サラサラになっていく。
「それにしても良く抜けるなぁ」
半分ほど乾かし終わったところでブラシにたまってはずした毛の塊3枚分(平べったいから枚で)、残り半分乾かし終われば6枚分になるんだろう。小さい身体なのにここまで抜けると毛がスカスカになりそうなものだけどホワイトラビィはもともと毛量が多いのかふんわりとした丸みのある状態になっている。
そしてなんというか可愛いです。はい。さすがにウサギを洗った事はなかったけど大人しくされるがままになっているホワイトラビィの前脚をもって脇の辺りを乾かしている時に軽く握るような仕草を何度かやっていた。にぎにぎと。
猫を乾かしてるときとか見たことあるけど(肉球にぎにぎはご褒美ですよね!)こういう時ってつい肉球つつきたくなるのは何でだろう?
ニヤニヤする顔が止められないけど誰も見てないんだしいいか。
乾かし終わると最初に見た黒い毛玉だったのが信じられないほどの真っ白毛玉になってました。一回り小さくなったような気もするけどふわふわしてるのであまり変わらない気もする。で、毛の塊は予想通りに6枚分とれました。
「採取ー・・・・ぇ」
ふざけて採取と言いながら毛の塊拾ったら毛の塊がひとつになってました。なんですかこれ?しかもさっきまでの詰まった感じじゃなくて綿花みたいなわたあめみたいな形に・・・。
とりあえずニハールに聞いてみよう。リーアは考えることをやめた。
鹿にお礼を言って他の子にも「あとでね」と撫でてあげるとみんなふわりと融けるように消えた。精霊ってやつなのかな?と今では思っているが良くわからない。魔獣や妖獣では無いのは確実だけど。
白い毛玉を二つ持って出て行くとテーブルに突っ伏すニハールの姿があった。どうやらお疲れのようだ。
「綺麗になった?」
聞いても顔も上げずに部屋を指差すのみなので毛玉(綿花状のほう)をテーブルに置いて見に行くとすっかり綺麗になった部屋があった。柵周辺に散らばっていた藁も柵の中にあった湿ってたり汚れてたりする藁もなくなり新しい藁が敷かれている。
綺麗にできるなら綺麗にしておけば良いのに、勝手に部屋に入るのも(いまさらではあるけど)どうかと思うのでニハールのとこに戻ると今度は上体を起こしていたニハール。手には綿花状毛玉。どうしたんだろうか?




