お宅訪問
ホワイトラビィを撫でながら男の子・ニハールの後について歩く。
あの後ニハールを一旦引かせてもホワイトラビィが落ち着かずニハールの手を拒否したためだ。
ニハールは8歳で今は家の仕事の手伝いをしているんだとか、その手伝いのうちにホワイトラビィの世話があるそうなんだけどなかなか上手くいかない。しかも今日ついに逃げ出されてしまいお父さんに見つかる前になんとしても連れ戻そうと必死だったのだとか。
歩いてるうちになんだか愚痴をこぼされた。リーアは「そうなんだ?」とか「ふぅん?」とかの生返事をしながらホワイトラビィつついたり撫でたりして遊んでいる。それを見てさらに「僕には一度だって・・・・」と落ち込んでいた。
ニハールが止まったのは外壁付近の家だった。どちらかと言えば商業区よりで南門にも近い。他の家と比べると少しばかり大きくて庭なのか空き地なのか判断しかねる広場が隣にある。
「・・・とりあえず入って、お茶でも入れるよ」
ホワイトラビィを受け取ろうとして後ろ蹴りをもらって凹みながらも中へ案内するニハール。さすがに少々気の毒になってきた。
でもなんか、生き物相手っていうより物扱いな気がする。
それがニハールのホワイトラビィに対する接し方の感想だった。
ペットや愛玩動物じゃないってことなのかな?どちらかといえば生産物としてって感じ?食肉にするには小さいと思うけど毛がこんなに汚れてるんじゃ使い物にならないような気するんだけどな。あぁでも刈り取った後で洗うとかならいいのかな?
日本でもリーアが関わるのはペットとしての動物だけだったけど食肉用やその他生産物(毛とか皮とか)用に飼育されている動物がいることは知っている。加工現場を見れば落ち込むだろうが飼育されてる所と加工済みの物しか見ないのでそれほど実感もなく知っているというだけだ。
生産者としては情が移らないようにするとも聞いた事があるけどニハールはどうなんだろう?と考えていると湯のみに似たコップを持ってニハールは戻ってきた。
「それ、捕まえてくれてありがとう。できればあっちの部屋に入れてってほしい」
お礼を言いつつ自分では出来ないと思ったのかリーアに頼むニハール。そしてその部屋に連れて行って・・・・・・キレました。
部屋ではなく汚部屋です。恐らくホワイトラビィを入れていたと思われる柵のようなモノの中は藁なのか草が敷かれているようだが排泄物で汚れているし。臭いがそれほどでないのが不思議なほどに汚い!この中で飼ってるってのか?てことはあの汚れがホワイトラビィに付いてるのか??
「ふ・・・・ふふ・・・・・」
後ろでは暢気にズズっとお茶をすする音がしてくる。
「ニハール・・・」
低い声で呼ぶとお茶をすする音が止んだ。振り向いて笑顔を見せたら身体全体でビクゥっとしている。
こんなに良い笑顔しているのにヒドイですねぇ。




