薬剤
薬っていうのはまずそのまますり潰すか乾燥させて粉にするかという方法があるはずでそのほかにも抽出したりとかってのもあるんだろうけどそんな方法は知らない。すり潰すにもすり鉢みたいなのも持ってないので乾燥させてみることにした。
乾燥に関しても天日干しだの熱風で水分とばすだのと方法があったと思うけどどれだけ干したらいいのかも分からなければ熱風だってやれば出来そうだけどどのくらいの温度が最適なのかはまったくわからない。
ということで実行したのが「水分を蒸発させる」だった。
魔法はイメージが全て!みたいな事書いてあったんだしたぶん出来るんじゃないかと思ったんだけど。本当に出来るとは思わなかった。
まずは薬草の瑞々しさを確認して水分が行き渡っているのを確かめる。その次に水が蒸発するイメージを重ねる。そうすると白い湯気のようなものが出てきた。そのまま萎れるのではなく乾物のようにカラカラに乾いたイメージを乗せるとシュンっと一気に水分が出たようで一瞬薬草の臭いが強くなった気がした。
手の中には乾燥して半分以下になった薬草。これに「生成魔法薬剤」と念じるとサラサラとした粉になった。慌てて入れる物もなかったのでコップの中に落とした。粉は最初は水面に広がったけどすぐに下落ちていってほんの少し底に沈殿した。
混ぜるものは無いので試しにもう一度魔法を使ってみる。今度はコップの中の水が回るイメージで。そうするとマドラーでかき混ぜたかのように渦が出来た。
魔法すごい・・・・むしろこれって念動力とかっていうんじゃ??
イメージしただけでその現象が起きるなんてどんな不思議現象だよ・・・と思うリーアだが実は普通はこんなに簡単に魔法が発動したりはしない。それにリーア自身分かっていないがイメージしただけで起きたわけではない。けれど誰もみていないので指摘する人間がいないのでリーアは気づく事はなかった。
成功したことに浮かれたリーアは小袋を出して次々に薬草を乾燥し始めた。いつの間にかいつもの様に来ていたリスが小首を傾げつつ見ていたり鳥が机の正面辺りに止まっていたり蛇が肩にいたりしたので合間に撫でつつ26個を乾燥し終えると今度は粉にして小袋に入れていった。
小袋に入れる前の粉をじっと見てみると「薬草の粉」とまんまな名称が出てきたのでついでに粉を混ぜたコップの方を見てみると「薬湯」と出る。
「これは漢方的なものなのか?水なのに湯なんだなぁ。ぐぅ?!」
言いつつ飲んでみたら、苦い、とにかく苦い!吐き出したり咽なかっただけ褒めてもらいたいほどに苦い!怪我をしたらこれ飲まなきゃいけないとかだったら絶対に怪我なんかしたくない!と思えるほどだ。
「良薬口に苦し・・・・・っていうことなのかな・・・?」
26個分の薬草の粉の入った小袋を見てため息が漏れてしまった。
後はこれが売れるかどうかだけど子供が売りにいって取り合ってくれるのかが問題だろう。




