神官長(笑
確認したところ神殿上層部には「精霊獣レラプスは仮契約して姿をくらませた」と報告するらしい。
本当かどうかは知れないけど契約に至るかもしれない者の不興を買いたくないというのが伺える。
そうするとなんと言って学園都市に送るのかと言うと「有望な子供を神殿が引き取った」ということにすると。
この世界には義務教育というものはない。貧富の差があったり貴族階級によるものだったり理由は様々だけどつまりは知識を得るためには金がかかる。ということだ。
まぁ、日本での義務教育でもそれなりに金はかかるだろうし高校、大学にいたってはそれを理由に諦める人もいたんだしそこらへんはどっちの世界でも変わらないということだろう。
一応、有望な子供は引き取って教育を受けさせたりもするらしいがその為に給料ももらえずに働かされるくらいなら願い下げだと私は思う。
というかこれだけは言いたい!借金反対!!!収入の範囲内でできることやればいいじゃん!
けど今の現状をどうにかするのは難しいのかな。
いまさらではあるが家は平民貴族だ。なんだそれ?と思うだろうが下級貴族にすら下に見られる名ばかり貴族だ。家は大きいと思ったがちょっとやり手な商人レベルでも住める程度らしい。
没落したわけじゃなく「あ?そういえば貴族だったね?」と言われるくらい。そんな家に学園に入れるほどの金があるわけが無い。
「学べることは嬉しいですが、借金をする気はありません」
「いえ、これは先行投資としてですな・・・」
「その見返りに将来的に不利になるのであればなおさら嫌です」
「しかし無知のまま放置する訳にもまいりません」
「だからお金ないですって・・」
「いや、ですから・・」
そんな繰り返しである。話は一向に進まない。平行線を保ったままである。
そろそろ帰りたい。犬は欠伸して後ろ足で耳の辺りをかいている。お前のせいだ!と言ってやりたい。
「ふぅ・・・・わかりました」
「おお!それでは・・「お金稼いできます」・・はぁ??!!」
観念したように思ったか、嬉しそうな神官長は続いた言葉に顎が外れそうなほどに驚いていた。
「無いんなら稼げばいいんですよね。簡単なことです」
うんうんと一人納得して頷く私に神官長は何を言い出すんだコイツと言いたげだ。
「学園に入るとして今年の締め切りは過ぎましたでしょうし、今から入れるには詮索されるだけですよね?」
頷く神官長、今は入学時期ではあると先ほど聞いたがその前の試験やらはすでに終わっているはずだ。結果が出ているはずなのに何も受けていないのがいきなり入ってきたら不審に思われるのは間違いない。
しかも、学園に入るのは貴族やら王族が多い。疑惑を持たれたらいろいろ厄介すぎるだろう。それをこの神殿の力だけでどうにかするなんてできるのか?
「ついでに言えば年齢足らないですね?」
今、私は6歳。入る年齢は決まっている訳ではないけどそれでも8歳くらいだそうだ。
こんな事を口に出してしまったこの神官長っていろいろ抜けているよな。と思う。
そこはかとなく漂う小物臭
当初の予定では良い人だったはずなのにな




