月下の棋士

『月下の棋士』

作：能條純一

さて、ここで古い将棋漫画をひとつ。

といって、大ヒット作なので、知る人も多いに違いない。

連載開始は1993年。

昭和の残滓がまだ色濃く残る時代か。

登場人物たちのモデルが、ほとんど実在の人物だったので、感情移入した読者も多かったはず。

主人公は、氷室将介（……）。

坂田三吉っぽい爺さんに育てられた秘蔵っ子で、天才である。

本作では、どう考えても谷川浩司がモデルである滝川が、氷室のライバルとして登場。

インターネットの登場以前にしか描けない熱量の漫画で、これぞ青年誌にあるべき漫画ともいえるだろう。

―― 昭和には、たくさんの妖怪がいた。