第四十五話 貧乳妻に対して巨乳を愛するのは冒涜です!
なにかしたいと考えた私は姉様に電話で聞いてみることにしました。
この電話というのは素晴らしいです。どんなに遠くてもすぐに会話ができるものなのですから!
『湊二郎の部屋、ベッド下』
姉様はその一言だけを言うと電話が切られました。
いったいどういうことでしょうか? 湊二郎様の部屋にあるベッドの下? なにかあるのでしょうか?
私は気になって湊二郎様の部屋へと向かいました。ちなみに湊二郎様は今日もお仕事なので、家にいるのは柚葉ちゃんだけです。
「えっと、ベッドの下でしたね……」
湊二郎様のベッドの下を覗き込みます。すると山積みになった雑誌が出てきました。
表紙には小さな女の子がえっちな格好をしている絵がありました。
こ、こんなの発行して良いものなのですかッ!?
そ、湊二郎様が道を踏み外さないようにするのも、妻としての役割です……!
………………
「きゃーっ! 妻! 妻ですよっ! 私、湊二郎さまの妻ですよ!」
私は湊二郎様のベッドの上で雑誌を抱きしめてゴロゴロと転がります。なんか言ってるだけで恥ずかしいですよッ!!
「あっ、湊二郎。さっき心雪にアンタのエロ本の隠し場所教えておいたから」
「ファッ!?」
◇◇◇
あれから時間が経ち、ようやく落ち着いた私は湊二郎様の読んでいるこちらの怪しい雑誌を開こうと思います。
「ごくり……」
唾を飲み込み、ゆっくりと雑誌を開きます。
「そ、湊二郎さまぁ!」
こんなの見てるだけで恥ずかしいですよッ!! どうして湊二郎様はこのような本を持っているのですかッ!!
「あわわわわわわっ……」
◇◇◇
「ただい……まっ!?」
「むぅ……」
私は玄関で湊二郎様の雑誌を並べて正座してます。
「湊二郎さまっ! 座ってください!」
「は、はいっ……」
湊二郎様はその場に正座しました。そして、私と向き合うような形になりました。
「……言いたいことはありますか」
「えっと……」
「ふんだ! どうせ巨乳の方がいいんですよね! 私みたいな小さなおっぱいよりも巨乳の方が大好きなんですよね! はいはいわかってますよ! でもちょっとぐらいは本じゃなくて私にしても……」
私は気持ちの赴くままに湊二郎様に言います。
まったく、巨乳のどこが良いのですか! 貧乳のお嫁さんを持ちながらそのお嫁さんを放置して巨乳に憧れるなんておかしいですよね!?
「えっと、その……やきもち、妬いてくれたのか……?」
「っ!?」
湊二郎様が照れくさそうに言うと私の顔は真っ赤に染まりました。
か、考えてみれば雑誌にやきもち妬いてるなんて、私の方がおかしかったのでしょうか?
「えっと、その……ありがとう」
「~~~~~~~~ッ!?!?」
私は湊二郎様の胸に顔を埋めて声にならない声を出しました。
は、恥ずかしくて死にそうです……!
「めっちゃイチャついてる。ウケる!」
「どこがだ。というか居たなら言え」
「あーし5時にはKP安定だから早くし」
KPというものはよくわかりませんが、様子をみる限り柚葉ちゃんが夕食を用意してくれたみたいでした。
湊二郎様は私の頭を撫でて、私を抱っこしながらリビングという居間みたいな場所に向かいました。
◇◇◇
夕食を食べ終え、入浴を済ませると私は湊二郎様の部屋に入りました。
「湊二郎さま……」
「どうした?」
「湊二郎さまはその……雑誌みたいなことをしたいですか……?」
「心雪?」
私は湊二郎様のベッドの上で横になります。
「私たちはその……一応これでも夫婦ですし……」
「そうだな。心雪、ありがとう」




