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第四十二話 気づかないうちに色々進化してたようです。


 姉様と俊太郎様がお見舞いに来てから2日が経ちました。私は少しずつ歩けるようになってきて、リハビリの成果がきちんと出てると嬉しくなってます。


「今日は外にでも行くか」

「いいんですかッ!?」

「まあ、庭だしな。問題ないだろ」


 目が覚めてからはずっと病院内に居たので、私は今日初めて外に出られることが少し嬉しかったです。

 私はベッドから車イスに映ります。この技術は最近取得しました。さすがに車イスからベッドは無理ですけど、降りるだけの作業ならできるようになりました。


「よし、行くか」

「はいっ!」


 私は湊二郎様に車イスを押されて移動します。そして、【えべれーたー】というのに乗ります。この【えべれーたー】は階段を使わなくても階層を移動できる便利な道具らしいです。


「湊二郎さまっ、このえべれーたーってどうやって動いてるのですか?」

「エレベーターな。まあ、ぶっちゃけわからん。不思議な力で動いてるんだよ」

「そうなんですか」


 不思議な力ってなんですかね。もしかしたらよく絵本とかである魔法みたいなヤツかもしれませんね。

 エレベーターで1階まで降りた私と湊二郎様はお庭へと続く、扉へ向かいました。

 すると、扉が触れてもいないのに勝手に開きました。エレベーターのヤツといい、どうして勝手に扉が開くのでしょうか?


「……少し寒いですね」

「そう言うと思って、ここで温めておいてやったぞ」


 湊二郎様がそう仰ると白衣の中から1枚の毛布が出てきました。湊二郎様は毛布を私に掛けてくれました。毛布は湊二郎様が温めていてくれたお陰でとても温かいです。

 それに、湊二郎様の匂いがします……


「じゃあ軽く一周してみるか」

「はいっ」


 私は湊二郎様と病院のお庭をグルグルと回りました。花壇とかがとても綺麗で、思わず見いってしまう程でした。


「これは何の花ですか?」

「スノードロップかな。ちょうど今が咲き時だ。ここは季節ごとに咲く花壇だから他にもアイリスやツバキ、フキユキノシタなんかもあるぞ」


 まだ咲いてない花は緑にしか見えませんね……それにしてもフキユキノシタだなんて、作者もよくコレ出しましたよね。神経を疑いますよ。


「それにしても地面とか随分整備されてますね。土がありませんよ?」

「コンクリートっていうモノが量産できるようになってからはこっちを使うことが多くなったんだよ。石とかで躓くと危ないだろ?」


 土が無い地面なんて屋内だけじゃないんですね。エレベーターといい、床といい、この10年で随分変わりましたね。他にもたくさん変わってるのでしょうか?


 それから病院のお庭を徘徊して、病院内に戻ると1つの箱が目に入りました。


「湊二郎さまっ……箱の中に人が……っ!」


 私は少し脅えながら湊二郎様に訊きます。

 あ、あの人たちは大丈夫なんですか!? 首しかありませんよ!?


「アレはテレビだな。ここ1年ぐらいでカラーになったぞ」

「テレビ……あれが……」


 テレビというのは聞いたことありますが、初めて見ました。思ってたよりも小さいんですね。中身はどうなってるんでしょう?


「触るなよ?」

「なんでお茶の間に置くようなものに触ってはいけないんですか……」


 まあ、触ったら危ないからなのでしょう。きっと猫耳が触ると高電圧の電流が流れて即死? みたいな感じなんですね。なるほど、理解しました。

 ですが……


「どうして皆さん眼鏡掛けてるのですか?」

「ああ、バーチャルコンタクトか」


 私が湊二郎様に訊きますと、よくわからない不思議な言葉を発してきました。


「ばっ、ばーちゃんこんたくと?」


 なんですかそのよくわからない変な名前の眼鏡は……ちょっと経ったの10年のくせに進化し過ぎじゃありませんか? 凄い時代に取り残されてる感がするのですが。


「想像するだけで色んなことができる今一番流行ってる道具だ。ただ、便利過ぎて中毒になるヤツが多いから色々問題視されてるがな」


 やはり便利というのは怠惰と向き合う存在なんですね。時代に取り残されてる感は凄いですが、私には不要ですね。


「さっ、部屋に戻りましょうか」

「そうだな」


 私は湊二郎様に車イスを押してもらいながら、部屋に戻ったのでした。



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