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第四十話 ただいま戻りました!


 不思議な鳥居を潜り抜けると私は眩しい光に包まれ、目を閉じました。

 そしてゆっくりと目を開けると、見知らぬ天井で、横からピッ、ピッ、ピッというよくわからない音が聞こえてきます。

 起き上がろうとするも、うまく力が入らず、辺りを見回す事ぐらいしかできません。

 そういえば私は『猫耳筋無力衰弱症』になってましたね。それなら仕方ありません。


 すると、扉の開く音が聞こえてきました。扉の方向を見るとそこには白衣を着た湊二郎様がいらっしゃいました。そして、とても驚いた表情をしてました。


「湊二郎さまっ、どうされましたか? 白衣なんて着て、お医者さんごっこですか?」

「心雪……っ! 心雪なのかっ!?」


 湊二郎様は私の肩をガッシリと掴まれて訊ねました。

 不安にさせてしまいましたね。さすがに半年間も眠っていたとすれば……


「十年間も目覚めないからもうダメかと思ったぞ! よかった! 本当に……」

「え? 十年間……?」


 月詠さん。これどうなってるんですか? なんで十年間も眠ってることになってるんですか。私が過去に行ってたの半年でしたよね!? 湊二郎様めっちゃ泣いてるじゃないですかッ!?


「湊二郎さまっ……」


 私が話しかけると湊二郎様は私の方を見るので、そのタイミングに合わせてキスをしようとしましたが、残念ながら届きませんでした。


「心雪……」


 すると湊二郎様は横になっている私を支えながらキスをしてくれました。


「これで良いか?」

「はいっ! 湊二郎様……ただいま戻りました」

「ああ、おかえり。心雪……」



 ◇◇◇



 それから私は湊二郎様に色んなことを聞きました。

 まず、猫耳筋無力衰弱症を治す薬ができたようで、それで私は病気から解放されたようです。身体が上手く動かないのは単純に十年間身体を全く動かしていなかったからでした。


 次に、私が十年間生きることができた理由でしたが、それは湊二郎様が私の貯金を使って私を入院させてくれたらしく、点滴で十年間もしぶとく生きることができたらしいです。


 最後に湊二郎様は本当にお医者さんになったそうです。私が1番驚いたところでした。まさか経った半年間見てないだけでお医者さんになられていたのですから。


「というわけで心雪、明日からリハビリな。元の生活に戻れるよう、頑張ろうな」

「……はいっ!」


 この日、私が紗由理様と会ったことをお話したら三途の川を連想したのか、湊二郎様は凄い真っ青な顔をされてました。



 ◇◇◇


 翌朝、私は湊二郎様の用意してくれた朝食を食べます。ただし、野菜は食べません。そこばかりは直りませんので仕方ありません。


「……まあ、仕方ないな。よしっ、起こすぞ」


 湊二郎様は私の背中を持って、私を起こして、車イスに乗せてくれました。

 昨日念のため自分の身体を確認してみると、湊二郎様が眠ってた私をたまに軽く動かしてくれていたようで、腕や足を軽く動かすことができました。けれど、起き上がったり、立ち上がることはできませんでした。


「よし、行くか」

「はいっ」


 湊二郎様は私の車イスを押して、リハビリをする場所に向かいました。

 リハビリってどのようなことをするのでしょうか? もしかして無理やり立たせようと、立たなければムチ打ちで私のことを苦しめようとするのでは……!


「……何変なこと妄想してる。ほら、掴まっていいから、ゆっくり立て」


 私は冷静になって湊二郎様に抱きつきます。キスしたいぐらいでしたが、さすがにひと目も多いので我慢しました。時間をかけてゆっくりと立ち上がると足から崩れ落ちそうになります。


「おっと。……大丈夫か?」

「ありがとうございます……」


 湊二郎様に支えてもらいながらリハビリを開始したのでした。



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