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第三十六話 文化祭っていうお祭りがあるらしいですよ!


「「「メイドォーーーー!!!」」」

「「「執事ィーーーー!!!」」」

「五万羽鶴ゥーーー!!!」


 放課後、1つの教室から様々な人たちの声が響き、校内中にこだまします。

 何故このようになってしまったのか。それはお昼休みの時間に遡ります━━━━



 ◇◇◇



「紗由理さまっ、高校には文化祭っていうお祭りがあるらしいですよ!」

「へぇ、そうなんだ」


 私は目をキラキラと光らせながら紗由理様に言いますが、紗由理様はどこか冷めた感じがします。


「(こんな目で見られたら中学にもあったなんて言いにくい……)」

「それで紗由理さまっ、紗由理さまのクラスでは何をするのですか?」

「そういえばなにするんだろうね?」


 ちくわを食べながらお話していると紗由理様としているとクラスの方から午後の授業で決めるというお話を聞きました。

 そして、午後の授業が始まりました。


「じゃあクラスの出し物を決めるぞ! 何か案のあるヤツはいるか!?」


 学級委員長っぽい感じの人が黒板の前に立って聞きました。それと同時に何人かの生徒たちが手を挙げました。

 とりあえず1人ずつ答えたものを黒板に書いていくことに。


「心雪ちゃんのお料理会!」

「心雪ちゃん撮影会!」

「心雪ちゃんの1人演劇!」


 ……ん? 何かおかしくありません? 私はただ紗由理様に引っ付いてるオマケであって、生徒じゃありませんよ?


「それも悪くないが、心雪ちゃんばかりに負担をかけるのは良くないぞ」


 いやいや、悪いですよ。どこが悪くないのですか。あなたたちのクラスでしょ。私はオマケですよ。オマケ。


「五万羽鶴ゥーーーー!!!」

「うん、他何かあるヒトーー」


 華麗にスルーされましたね! というか今の暑苦しい人は誰ですかっ!? このクラスに居た記憶がないのですが!?


「メイド喫茶よくね?」

「それなら執事喫茶の方がいいでしょ?」


 この言葉が全ての始まりでした。男子生徒はメイド喫茶を、女子生徒は執事喫茶を推し始め、男子対女子の壮大な勝負が始まりました。

 ちなみに私は不参加です。紗由理様は和風ちくわ喫茶というよくわからない案を出してました。


「「「メイドォーーーー!!!」」」

「「「執事ィーーーー!!!」」」

「五万羽鶴ゥーーー!!!」


 というわけで、この状態が産まれました。そして、放課後の時間になるまで、ずっと叫んでいるだけでした。彼らは一体何をしているのでしょうか?


「こゆきっさ……」


 誰かがその言葉をぽつりと呟くと先ほどまで妙に騒がしかったはずの教室が静寂に包まれました。


「……それでよくね?」


 いやいや、全然よくないですよ。あなたたちのクラスですよね?


「確かに……」


 なにが確かにですか! 勝手に納得しないでくださいッ!


「なんか面倒臭いし、いっか」

「よくありませんよッ!? 高校生活でたった三回しかない文化祭なのですよ!? それなのにそんな面倒だからという理由で決めていいのですかッ!?」

「「「いい!」」」


 さすがに我慢できなくなった私はクラスメイトたちに反抗しますが、それも無意味に崩れ去りました。

 私は1人ため息をつくと紗由理様が頭を撫でて慰めてくれました。

 ……これ、私の文化祭じゃないですよね?


「よしっ! そうと決まれば必要なモノを揃えるぞ!」


 私が口を挟むような間もなく、あれよあれよと流され、スリーサイズを測られました。

 そして、気がついたら文化祭当日になっていました。


「「「心雪ちゃん似合ってる!!」」」


 何故か私はメイド服を着せられてます。しかも他の方たちは制服のままカメラを構えています。彼らは一体なにを考えてるのでしょうか?


 私は紗由理様に助けを求めようと紗由理様の方を見ますが、紗由理様は顔を逸らして目を合わせようとしてくれませんでした。


「さっ! 紗由理さまっ!」


 思わず声を出すとパシャリと音が鳴りました。それが引き金となり、写真を何百枚と取られました。

 そんな中なのにも関わらず、私は使い捨てカメラなのに勿体ないと全く関係のないことを思ってしまったのでした。



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