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第三十一話 紗由理さまと登校します!


 あれから数日後、休日になったので私と紗由理様は私の不足している生活必需品を買い足す為に商店街へとやってきました。

 あの数日間はほとんど駄菓子屋に頼ってしまったので栄養バランスが悪く、お腹を下す日も少なくありませんでした。今日、私と紗由理様はあの激痛から開放されるのです!


「久しぶりの和食! マジ感謝!!」

「はいっ! ありがたやです!!」


 私と紗由理様は昼食を外で済ませることを選び、和食セットを注文しました。

 そして、和食セットを食べ始めます。


「野菜が美味しく感じる……」

「そうですか。では私のをお渡ししますね」


 サラダの入ったお皿を丸ごと紗由理様に渡します。私は味噌汁と野菜ジュースを交互に飲んで野菜を摂取します。

 すると紗由理様が私のことをジッと見詰めてきました。


「野菜嫌い?」

「嫌いじゃないです。ただ食べると失神するんです」

「なにそれ……」


 紗由理様と昼食を食べ終えると、さっそく生活に必要なものを買い足しに行きました。

 とりあえず今必要なのはお箸とお茶碗、湯飲みと枕ぐらいでしょうか?


「心雪、持てる?」

「はいっ、お任せくださいっ!」


 紗由理様は私の必要なものを購入し終えると荷物を私に預けて、食材を探しにいきました。私は長椅子に座って紗由理様のお帰りを待ちます。

 すると1人の男性が私の横に座りました。たしかこの人は紗由理様の担当の先生で、私を学舎に引き入れる人でしたね。


「お前、如月(きさらぎ)と一緒に居たヤツだったな」

「はいっ、そうですよ」

「お願いがあるんだ」


 私はその先生の話を心の中で1つ先読みしながら聞きました。

 次の言葉は『というわけで学舎に通って如月の面倒を見てくれないか?』ですね。


「というわけで学舎に通って如月の面倒を見てくれないか?」


 なんでこのようなことを覚えてるのでしょうか? 昔からどうでもいいことだけは頭から離れないんですよね。あっ、紗由理様が帰ってきました。


「先生? どうしたんですか?」

「ああ、お前の面倒が見切れないから学舎についてきて欲しいと頼んでたところさ」


 私は紗由理様を憐れむような瞳で見詰めます。

 話を聴けば、紗由理様は授業中は寝るし、テストの点は悪いし、お弁当はトイレで食べるらしいですね? そんな紗由理様、私は見てられませんッ!


「私行きます! 紗由理様の便所飯ぐらい何とかしてみせます!」

「……来なくていい」


 何故か涙を流しながら拒否をした紗由理様。今になってもなぜ紗由理様が涙を流してらっしゃるのか、私には皆目検討もつきません。


「これは…………ツンデレですか?」

「「絶対違う」」


 その後、先生と私が紗由理様の便所飯を否定し続けると、紗由理様から泣く泣く許可を戴けました。


 ━━━━翌朝、私と紗由理様は学舎に通うと職員室に来るように言われていたので、そちらに向かいました。


「学舎じゃコレを着てくれ」

「はい……」


 先生から紗由理様の着ていた制服と同じものを渡されて、制服に着替えるように言われました。


「制服というのは思ってたよりも着替えにくいですね……」


 普段から着物一択の私から見れば洋服に着替えるのも一苦労です。着せることは得意なんですが、自分が着るとなるとそれはまた別です。


「セーラー服をそんなに大変そうに着替えてる人、初めて見たんだけど……」


 結局、紗由理様に手伝って戴き、なんとか着替えました。今度お着替えの練習をしとかないといけませんね。


「じゃあ心雪、あとでね」


 紗由理様は先に教室に向かわれました。その後、チャイムが鳴ると私は先生に連れられて教室に入ることに。


「心雪と申しますっ! 紗由理様のお世話をしてます! よろしくお願いしますッ!」

「制服を着てるが、生徒じゃないぞ。みんな仲良くしてやれよ」


 先生の紹介が入ると私は紗由理様の真横に座りました。そして、紗由理様をにっこりとした笑顔で見詰めます。


「…………」

「?」


 何故か紗由理様は眉をぴくぴくと動かしていました。

 ……なんかかわいいですね。


「心雪さん、ちょっといい?」

「はいっ、なんですカニャ!?」


 知らないクラスメイトの方にいきなり耳を触られて変な声が教室中に響きました。私は恥ずかしくて顔に両手を当てて、誰の顔も見えないようにしました。


「よしよし……」


 紗由理様が私の頭を撫でてくれますが、一方で先ほどのクラスメイトさんが私を面白がって耳を触ってきます。私は身体をピクピクと震わせ、変な声が出ないように口を抑えた状態になりました。


「ふあっ!?」


 紗由理様は便所飯の仕返しなのか、私を助けてくれませんでした。

 こうして私はクラスのおもちゃになったのでした。



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