第十九話 その女は敵ですよっ!?
翌朝、私が目を覚ますと姉様と俊太郎様がイチャイチャとお互いに抱きついた状態で寝ていました。
「…………失礼しますね」
あっ、起きてしまいます。ゆっくりと気づかれないよう丁寧に……
「はふぅ……」
私は湊二郎様に抱きついてそのまま二度寝しました。勝手に泊まってるのですから朝食は姉様たちに作って貰いましょう。
湊二郎様も今日は学校もお休みなので、ゆっくりと休みましょう。
━━━そう思って二度寝したのが間違えだと気づいたのは湊二郎様に起こされた時のことでした。
「心雪、そろそろ離れてくれ」
「姉様たちに虐められたので、もう少しこのままで居させてください」
「あっ、はい」
今日の湊二郎様はやけに大人しく、私の言うことを素直に聞いてくれました。
……なにか裏があるのでしょうか? いえ、湊二郎様に限ってそんなことは━━━━
「まさかあの女に会うつもりですか?」
「心雪は夏海のこと嫌いか?」
「「「巨乳滅ぶべしっ!」」」
姉様と俊太郎様が私の声に合わせて唱えました。
この言葉は湊二郎様の家系に代々伝わる歴史だと、紗由理様が仰っていました。
「親父まで言うか」
「やっぱり会いに行くつもりなんですかッ!?」
私は湊二郎様に抱きつきながらも訴えました。すると湊二郎様はあの女を今日家に呼ぶと仰いました。
「巨乳だから切去確定だけど、顔ぐらいは見てあげるわ」
「そうだな。巨乳だから切り捨て確定だが、折角だしその仏頂面を見てやろうじゃないか」
「心雪、俺の両親めっちゃ上から目線なんだが……」
湊二郎様に言われましたが、別におかしな点はないと思います。こんなのでも一応湊二郎様のご両親ですし、湊二郎様のお付き合い相手ともなれば拒否するのは当然です。
「湊二郎様は私よりも巨乳が好きなんですか?」
「もう少しマトモな聞き方をしてくれ……」
すると誰かが家の前に来たようで玄関がノックされました。
それと同時に走って出迎える姉様と俊太郎様。私は湊二郎様に抱きついていると、湊二郎様は私を抱えたまま立ち上がって玄関まで向かいました。
「「なっ、なんて大きな胸ッ!? うちは間に合ってますッ!」」
ピシャリと勢いよく閉まる玄関。それから数秒後に「えっ……?」という声が外から聞こえてきました。あの女の声でした。
あの女はどうして湊二郎様の家を知ってるのでしょうか? ……まさかストーカーというヤツですかッ!?
「湊二郎さまっ! あの女は危険ですよッ! どうして家を知ってるのですかっ!? 絶対に嗅ぎ回ってますよッ!?」
私が湊二郎様に訴えるも湊二郎様は俺が教えたと言わんばかりの顔をしていました。
私の顔は真っ青になり、震えながら湊二郎様に聞きました。
「まさか……洗脳されてるのですか……?」
「「湊二郎ッ! 目を覚ませッ!!!」」
湊二郎様の顔を殴るご両親。殴られた湊二郎様は私を抱えたままその場に倒れました。
すると湊二郎様が倒れた時の音が大きかったのか、夏海さんが玄関を開けて入ってきました。
「「あっ……」」
夏海さんの登場により、姉様と俊太郎様が固まっていました。
そんな様子を見ていた私は姉様と俊太郎様を指さして言いました。
「この二人が殴りました」
「よし処刑しよう」
「「ちょっ!? まっ!?」」




