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Case01 篠原余白の記録  作者: 鳶丸


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7/9

File07 侵食の予後 記事:篠原余白

本日3回更新1回目です


おれは思いきって病院を訪れていた。

自分で自分のことを信用できなくなったからだ。


精神的な疾患はない。

今なら自信を持って、そう断言できないのだ。


なにかがおかしい。

曖昧で模糊とした不安が目の前に横たわっているのだから。


「篠原余白さん」


病院の受付嬢がおれの顔を見ている。

どこかおかしいのだろうか。


「同じお名前の方が既に登録されているのですが」


「……はあ?」


これまでに同姓同名の人物を二人知っている。

珍しい名前ではあるが、前例があるだけに驚きは少なかった。


「生年月日も同じ……ただ、こちらは女性ですね」


「え?」


「あ……失礼しました。少々お待ちください。手続きをしてきますね。その間にこちらの問診票に記入をお願いいたします」


そそくさと居なくなる受付嬢の背を見て、おれは不安がさらに大きくなるのを感じた。

まるで日々大きくなっていく黒猫が、ついに虎かなにか別の生き物になったみたいな。


こいつはおれの知っている猫じゃない。

そんな気持ちを抱いてしまったのだ。


だから、おれは逃げた。

病院の受付から。


そんなおれの背を誰かが見ている。


「篠原余白」


帰りながら、声にだしてみた。


「おれは篠原余白」


どこか借り物のように感じてしまうおれの名前。

そのことに苦笑いをうかべることしかできなかった。


お気に召しましたら応援よろしくお願いいたします。

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