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World of Fantasia  作者: 神代コウ
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対シュトラール

「ミア・・・俺・・・」



「わかってるッ・・・! わかってる・・・」



シンもミアも、どうしたらいいのか、頭が真っ白になった。それは朝孝の身の安全であったり、二人が戦っていたらなど様々な思いが駆け巡りまだ頭の中が整理出来ないでいた。


「ミア、どうする? 行くのかッ!? 道場に・・・」


「お願いッ! みんな、力を貸してッ・・・。 私だけの力じゃどうにもならないの・・・」


所属する聖騎士の長であるシュトラールと、幼き頃から先生と慕っていた朝孝、そしてアーテムとシャーフ、一番堪えているのは恐らく彼女なのだろう。


しかし・・・それでも相手が相手。


果たしてシンやミア、ツクヨが向かったところで、どうにか出来るような問題なのだろうか。


「私は・・・、シャルロットの力になりたいと・・・思ってるよ」


二人が決めあぐねていると、そんな空気を変えるようにツクヨが話し出した。


「私がこっちに来て、何から何まで面倒を見てくれたのは彼女だ・・・。 彼女がいなければ、恐らく私はここで“裁き”にあって死んでいただろう。 私に生きる術を教えてくれた彼女に、恩返しをしたいんだ・・・」


彼の握る拳に力が入る。


「もう、何も出来ずに誰かを失うのは嫌なんだッ・・・!」


ツクヨは現実世界での出来事を思い出していた。何も出来ずに大切なものを失った時のことを、その場に一緒にいる事さえ出来なかったことを。


「ツクヨさん・・・」


彼の決意を聞いて、ミアもシンも迷いが振り払われたような気持ちになる。ここまで彼らのことを知って、ここまでやってきて、この国の行く末を見届けないまま我が身可愛さに、国外へ逃亡することなど今更二人には出来なかった。


「あぁ、アタシも行くよ。 シャルロットの世話になったのは何もアンタだけじゃない・・・。 ちゃんと借りた借りは返さないとな・・・」


ミアもシャルロットに聖都での衣・住・食の面倒を見てもらっており、その上クエストの斡旋などもこなしてもらっていた。


「シン、アンタは?」


「俺だって同じだよ。 朝孝さんにはお世話になったし、アーテムやその仲間達が危険に晒されているのなら助けたい・・・」


シンだって同じだ。 聖都ユスティーチに来て初めに起きた揉め事の時、アーテム達に出逢わなければシンも騎士に目を付けられていただろうし、彼らに聞かなければこの国の事情や、戦闘スキルの向上も果たせなかった。


そして朝孝との出逢いは、シン自身の心の成長にも影響を与えた。何より彼のお陰で、この世界にかつての日本、恐らくイベント限定のマップが出現するという可能性を知ることができた。


「決まりだな・・・」


二人は顔を見合わせ頷き、シンはツクヨとシャルロットの方を向いて二人の決断を改めて伝える。


「ツクヨさん、シャルロット・・・。 行こうッ! 朝孝さんの道場へッ!」


一同の気持ちは一丸となり、道場へと向かう。


「シン君・・・ありがとう・・・一緒に来てくれて・・・」


「こちらこそ・・・。 ミアを助けてくれて、ありがとうございます。 頼りにしてます」


そういうとツクヨは、照れ隠しなのか小っ恥ずかしそうにしていた。






市街地の最南部付近に構える朝孝の道場。


中からは誰かが戦っているのだろうか、互いの獲物同士がぶつかり合う金属音や、スキルによるものか、建物や地面に当たり損壊し破壊されているような音が聞こえてきた。


「もう始まってるッ・・・。 急ごうッ!」


「やはり朝孝さんと・・・シュトラールが・・・」


そう、話していたその時。何かが外壁を突き破り、シン達の前に姿を表した。


「ガハッ・・・!」


飛ばされてきたのは、シンとシャルロットがよく知る男で、彼は既に満身創痍の状態であった。


「ッ・・・!! そんな・・・なんでアンタがここにッ・・・!?


漸く探していた人物に再会することができたシャルロットだったが、その再会は喜ばしい再会に在らず、想像し得なかった形での再会となった。


「イデアールさんッ!!」


彼の姿を見るや否や、なりふり構わず直ぐに側に駆け寄るシャルロット。


「そんなッ・・・どうして貴方がここに・・・! 一体何が・・・?」


思わぬ人物の登場に、シン自身も驚いた。アーテムやシンの進行を妨げ、剰えシュトラールから授かり受けた任務をこなさんとしていたイデアール。あんなに強かった彼の、傷だらけの姿を見て、彼が飛ばされてきた道場の中に誰がいるのか、容易に想像が出来た。



出来てしまった・・・。



人を活かす活人剣の朝孝が、こんなことをする筈がない 。それならば答えは自ずと出てくる。


イデアールが飛ばされてきた先に、煙の中、立ち尽くす一人の人影、その人物こそことの元凶であり、出来れば居ないであって欲しかった。


「奴が・・・シュトラール・・・」


イデアールとは対照的に、片腕以外は全くと言って良いほどダメージの見られないシュトラールの姿、その事実が、彼らにより一層の緊張感を与えた。

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