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第88話 ツヴァイクは勝負に出る

 ライオレッタはエミリアに向かって前蹴りを放つ。

 それをエミリアは体をねじり、避ける。

 そのまま右回し蹴りを繰り出すエミリア。

 ライオレッタはその蹴りを膝で迎え撃つ。


「ちっ!」

「なんだ、意外とやるじゃねえか、人間!」


 二人の剣は火花を散らし、せめぎ合いが続く。

 が、ライオレッタはレイピアを弾き、エミリアとの距離を取った。


「お前、名前だけ聞いておいてやるよ。オレはライオレッタ。剛剣のライオレッタだ」

「やはり四害王か……私はエミリア・スタウド。お前をあの世に送る者だ」

「ははは! あの世に行くのなんて怖くない……けど、あっちに行くのはまだまだ先だろうさ!」


 ライオレッタはニヤリと口角を上げ、体を捻り力の限り斬撃を放つ体勢に入る。

 エミリアはその笑みにムッとし、ライオレッタに向かってダッシュした。

 

「お前を葬る者の名前――剛剣のライオレッタ! あの世で派手に宣伝しといてくれや!」

「だからあの世に行くのは――っ!?」


 ライオレッタが振るった剣は、突如巨大な物へと変化する。

 普通の家ぐらいなら3~4件ぐらいなら切り裂けるほどの長さ太さだろう。

 それがエミリアの胴体に向かって横から飛んで来る。


 エミリアは肝を冷やしながら、それを細いレイピアで受けとめた。

 ギョッとするライオレッタ。

 エミリアはレイピアで火花を散らしながらライオレッタとの距離を詰めて行く。


「なんでそんな細腕で受け止められんだよ!? てめえバケモノか!?」

「うるせー! 魔物のお前に言われたくないんだよ!」


 キンッと剣を弾き、飛び上がり、レイピアを振り下ろすエミリア。

 ライオレッタは咄嗟に剣を元のサイズに戻し、それを受け止める。


「くっ……こんな人間がいるとはな……お前を舐めてたことは謝るぜ、エミリア」

「もう遅いんだよ、アホ!」

 

 空中でくるりと体を回転させ、相手の剣の下に潜り込み、鋭い連続突きを繰り出すエミリア。

 ライオレッタは勘だけでその突きをなんとか回避する。

 

 これまでの戦いで培ってきたライオレッタの勘。

 それはすでに技術として昇華されており、無意識での回避を可能としていた。

 そしてどこを狙えば敵は死ぬのか。それをよく把握している。


 しかしライオレッタはその勘でどうすればエミリアを殺せるか、瞬時にその方法を探るが、隙らしい隙が見当たらない。


 こんなことは初めてだ……

 舐めてかかっていたが、まさかこれほどの戦士だったとは。

 子供と思って舐め過ぎていたな。


 エミリアとの距離を取りながら、ライオレッタは剣を振るう。

 すると今度は剣が鞭のようにしなり、広範囲あらゆるものを切り刻む斬撃の嵐を生み出した。


「お前は手品師か!?」


 そう言いながら、エミリアは愚直に前へ突き進む。


「お前は考え無しみたいだなっ!」


 ◇◇◇◇◇◇◇


 ツヴァイクとの戦いは佳境を迎えていた。

 4人がかりで少しずつだが相手の体力を削っていき、息を切らし始めているツヴァイク。

 4人も大きく息を切らせながら、相手を見据えている。


「……想像以上なのである。そろそろ切り札を切らせてもらうのである」

「ああっ!?」

 

 仲間たちを守るために、一番前に出ていたボラン。

 彼は血まみれでツヴァイクをギロリと睨む。


 息を切らせながらローズとカトレアは、相手の動きを警戒していた。


「ジオ! 今は前に出るな! 相手は何か仕掛けてくるつもりだ!」

「わ、分かってるってんだ!」


 短剣を構え、息を整えるジオ。


「おおおおおっ……」


 ツヴァイクは力み、体内から大量の血を吹き出し始める。

 それは剣や斧、あるいはナイフなどの形となり――


 何百という数の武器がツヴァイクの周囲に顕在する。


「あはは……あれはちょっとマズいんじゃないかな……」

「くっ……」


 ローズとカトレアは汗を大量に流し、腹をギュッと掴まれるような脅威を感じていた。

 が、


「ジオ! 走れ!」

「お、おお!」


 ボランがジオに叫ぶと、ジオは反射的にそれに従い駆け出した。


「バ……何のつもりだ!」

 

 ローズは驚きつつも、怒声を放つ。

 ボランは光の鎖で繋げた盾をブンブン振り回しながらローズに応える。


「こういうつもりだ! オラッ!」


 ブンブン振り回す盾は、いつしか風を生み出し、それは小規模の台風を生み出した。


「むっ……何なのである」


 その台風は、ツヴァイクやボランたちを取り囲むように発生しており、奴の周囲に停滞する血の武器を、ゆっくりと飲み込んでいく。


「な……」

「【シールドタイフーン】だオラッ!」


 それは周囲の仲間を魔術から守るためにボランが編み出した技であった。

 普通ならこんな台風を生み出すことなどできないが……彼はみんなを守るという信念から、それを可能にしてしまったのである。


 血はその力に全て飲み込まれ、茫然と立ち尽くすツヴァイク。


 ジオはここぞとばかりに、全力で駆け出し――


 6体もの【分身】を創り出し、ツヴァイクの周りを駆け巡る。

 これは【ローグ】のスキルで、実体を持つ分身を創るという能力だ。

 本体以外は一撃を喰らうと煙となって消え失せてしまうが、各々攻撃は可能となっている。


 そしてジオは、相手に向かって最後の攻撃へと移行するのであった。

【皆様へのお願い】


ここまで読んでいただいてありがとうございます。

大感謝です!


これからもこの作品を他の沢山の方にも読んでいただいて、楽しんでもらいたいと考えております。

ランキングが上がれば自然に読んでくれる方も増えるので、ぜひお力添えのほど、よろしくお願いいたします。


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