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第48話 アルは国王と謁見する

「君がアルベルト・ガイゼル、か」

「さようでございます」


 レイナーク城、謁見の間。

 窓がいくつも備えられていて、広い空間を太陽の光が明るく照らす。

 太い柱が何本もあり、正面中央には大きな玉座がある。


 その玉座に座っている人物――フレオ・レイナーク。


 確か年齢は26歳。

 美しく上品な金髪。端正な顔立ちで背も高い。

 王族の上等な服を着飾っており、誰がどう見ても高貴な人物。


 その美しい容姿には、男の俺でも釘付けになってしまうほどだ。


「数々の功績、僕の耳に届いているよ」

「光栄であります」


 俺はエミリアとティアを連れて、この謁見の間に来ていた。

 王の前に跪き、頭を垂れている。


「聞くところによると、不思議な剣を持ってるみたいだね」

「はい。神剣でございます」

「神剣……」


 王は顎に手を当て、ふむと思案する。


「伝説に聞く聖剣や魔剣とはまた違うようだな……少なくとも、人間の姿になれる剣など聞いたことがない」


 周囲に立ち並んでいる兵士たちも、コソコソ同じようなことを話していた。


「……アルベルト」

「なんでございましょうか?」

「私の部屋まで来てはくれないか?」

「はい?」



 ◇◇◇◇◇◇◇



 王について俺たちは王室へと足を踏み入れる。

 部屋の広さは一人で使用するには大きすぎるほど大きく、一人で寝るには大きすぎるほど大きいベッドがあった。

 他にも高そうな置物や絵画など、多数飾られている。


「なぜここに君たちを呼んだか分かるかい?」

「……見当もつきません」

「だろうね。なんてことはない。君と楽に話をしたかっただけなんだ。君もあんな場所でかしこまって話をしても、疲れるだけだろ?」


 王は赤ワインを静かにグラスに注ぎ、ゆっくり椅子に座る。


「はぁ……」

「実を言うところ、僕には友人と呼べる人物が一人もいなくてね。腹を割って話せる友人が欲しかったんだよ」

「…………」


 俺は黙って王の話を聞くことにした。

 エミリアは突然の言葉に驚いている。


「君は多大な功績を上げているし、それに、あのローランドを立て直してしまうほどの商才と指導力を併せ持っているようだしね」


 王はワインを喉に流し込み、うっすら笑みを浮かべる。


「このままいけば、このレイナークさえ超える町になる、と聞いているよ。そんな君には、僕のよき友人として相談役になってもらいたい。このレイナークのさらなる発展のためと、世界の平和のために、ね」

「要するに、わたくしを囲い込んでおきたい、ということですか?」

「ははは。そんなつもりじゃないよ。だから君と友人になりたいだけさ」


 なぜ俺と友になりたがるんだ、この人は。

 別に、相談役が必要なら配下にして置いたほうが簡単だろうに。

 と言っても、俺は国で働くつもりはないけど。

 あんまり面白くなさそうだしな。


「君と友人になりたい理由は3つほどあるんだけれど……一つは、君が本気になればレイナークを滅ぼすことも可能なはずだ。それを回避するためにも、友好関係を築いておいた方が賢明だろ?」

「いや、滅ぼすつもりなど毛頭ありませんが……」

「分かっているよ。これは無理矢理にでも理由を捻り出しているだけだからね。そして二つ目は、君のアドバイスがあった方がより良い国を作ることができる。ローランドの話を聞いて、僕はそう確信した」

「…………」

「そして3つ目の理由。これもさっき言ったことだが、単純に友が欲しいだけだ。こういう立場にいると、みなかしこまってしまって、本音で会話をしてくれる人がないんだ。要するに寂しいんだよ、僕は」


 王は眉をひそめて苦笑いする。


「……利害は一致する、か」

「ん? どういうことだい?」

「自分と友人関係になることによって王にもメリットがあり、そして自分にも直接王と繋がりができるというメリットがある。互いの利害を一致させるのは重要なことですから……そういうことなら喜んで友人にならせていただきますよ」

 

 俺は王に笑顔を向ける。


「それでは、今日から俺のことは、アルと呼んで下さい」

「アルか……分かった。では僕のことはフレオと呼んでくれ」

「はい。フレオ様」


 さすがに呼び捨ては大問題だろう。

 友人と言っても、俺たちは王と平民。

 それなりの礼儀は必要だ。


「これからも色々頼みを聞いてもらうことになるけど、よろしく頼むよ」

「はい。喜んでお引き受け致します」

「おい、アル……友人はさすがに失礼だろっ」


 ティアは目をつむって平然としているが、エミリアは大慌てで俺の袖を引っ張っる。


「だって、フレオ様がいいって言っているんだから別にいいだろ?」

「で、でも……」

「別に構わないんだ。アルに友人になってもらうのは、僕の頼みなんだからね」

「ほら」

「ほらって……」

「ははは。それでアル。友人となった証に、君に何かを送りたいと思っているのだが……何か欲しい物はないかい?」

「欲しい物……」


 俺は一瞬思案し、コクリと首を振る。


「欲しい物ではありませんが……お願いが一つあります」

「願い?」


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