第40話 ローランドの冒険者は強い①
「おい、ローランドの冒険者たちだ……」
「最近メキメキ強くなって、難易度の高い仕事もしっかりこなすらしいじゃないか」
「ローランド……この間まで貧乏で荒れ切った町だったのに……それを立て直したのが――」
「アルベルト・ガイゼル」
周囲の兵士や冒険者の視線を痛いほど感じていた。
なんでこんなに注目を浴びているのだろう。
俺、何かやったかな?
いくつか仕事はやったけれど。
レイナークの城門前、どこまでも広がる草原に戦士たちは集結していた。
今回は上級冒険者に強そうな騎士たちも揃っているようで、前回デビルグリズリーと戦った時と比べると気持ち的にも余裕を感じる。
強い仲間がいることによって、それはみんなも同じ考えのようで、軽く緊張はしているものの落ち着いた様子をしていた。
「アニキ、どんな敵が来るんですかね?」
「さぁ……まだ見当もつかないけど、無茶はするなよ」
「無茶するかどうかは分かんないですけど、相手を無茶苦茶にはしてやりますよ」
ジオは歯を見せて笑いながらそう言った。
「……?」
到着してから30分ほどしただろうか。
突如、ドッドッドッと大地が揺れる地響きを感じる。
「なんだ? 一体なんなんだ?」
それは俺だけではなく、周囲の人たちも感じていたようだ。
「……アルベルト様、あれを」
ローズの頬をツーッと一筋の汗が流れる。
彼女の示す方向――
レイナークの北から、モンスターの集団が現れた。
「……どれだけ来るんだよ」
俺はあまりの数に、呆れ乾いた笑い声を出す。
「……こ、こんな数、俺たちは勝てるのか?」
「お、俺こんなところで死にたくないよ」
遥か向こうから群を成して進軍するモンスター。
モンスターの姿で橋から草原がドンドン黒く染められていくような……
夥しい数のモンスターが地平線から発生しているように見える。
ガタガタ震え出す、レイナークの戦士たち。
数人は敵を視認するなり逃げ出していた。
「ご主人様……これは想定外でございますね」
「想定外も想定外だ……どれだけの数を送り込んでくるんだよ」
「ア、アルベルトさん、どうすればいいだろうか?」
レイナークの冒険者が俺に近づいてきて泣き言を言い出した。
しかしどれだけ泣き言を言ったところで、戦況は変わらないし現実も変わらない。
だったらやることは一つだけ。
「倒すしかないだろう」
「た、倒すったって」
俺はローズに視線を向けて、首を縦に振る。
ローズはそれに応え、ローランドの冒険者たちに向かって大声で叫ぶ。
「いいか! 貴様らは強い! どれだけの敵がいようとも、我々に敗北はない! 貴様らの強さに加えて、我らにはアルベルト様がついている!」
「「「イエス! マム!」」」
「決して押し負けるな! 気持ちで負けるな! この戦い、必ず勝つぞ!」
「「「イエス! マム!」」」
ローランドの冒険者たちの目に殺気が宿り始める。
武器を手に取り、その力を解放し始めた。
彼らの異様なほどの強気と殺気に、レイナークの戦士たちはゴクリと息を飲み込んだ。
そしてローズが手を挙げ、戦士たちに指示を出す。
「突撃せよ!!」
「「「おおおおおおおおっ!!!!」」」
戦士たちが駆け出し、モンスター以上に大地を揺らす。
レイナークの戦士たちはポカンとしてそれを見ていたが、騎士の命令でそれに続くように走り出した。
「ティア、ローズ。俺たちも行くぞ」
ティアはバイクモードに移行する。
俺がブルーティアに跨ると、ローズはサブマシンガンモードに変形する。
黒く短い機関銃となったブラックローズを俺は右手で手にした。
「ローズ。【銃】スキルを全開で習得し、ステータスを表示してくれ」
『はっ』
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神剣ブラックローズ・サブマシンガンモード
FP:5100
攻撃力:5100
防御力:0
スキル 銃10
サポート 収納 自動回収 通信 呼び出し 空間移動
成長加速10
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ヒューマンモードを解放してから初めてローズを使うが、素晴らしいステータスをほこっている。
俺はアクセルを全開にし、全速力で草原を駆け出した。
「俺が先行する。生きて帰るために、無謀なことはするなよ」
「了解っす! だけどみんな血の気が多いんで、約束はできないと思いますよ!」
「とりあえず、みんな死ぬな」
俺の言葉にローランドのみんなは大声で応える。
ブルーティアでみんなをかけ放す。
敵の姿がドンドン近づいてくる。
ゴブリンにコボルト、オークやゾンビなどあらゆる種類のモンスターの姿が確認できた。
俺は左に車体を倒し、無言で駆けて行く。
そしてキッとブルーティアを止め、180°方向を転換する。
「よーし。行くぞ、二人とも」
『かしこまりました』
俺はモンスターに向かってブラックローズの銃口を向け、限界までアクセルを捻った。
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