第24話 アルはB級モンスターを退治しに行く③
「ティア。一人で何とかなりそうか?」
俺は一応、ティアに訊ねてみる。
「可能性で言えば0,1%にも満たないかと思います。というか、不可能でございます」
「ま、そうだよな。よし。ソードモードで行くぞ」
「かしこまりした」
ティアが神剣の姿に変貌し、俺の手に納まる。
「おおっ! 女が剣に変わった!?」
「危ないから下がってたほうがいいんじゃない?」
「あ、ああ。そうだな……よろしく頼む」
兵士たちは入り口から少し離れた場所へ後退する。
レッドヒドラの顔が3つ、ジロッとこちらを睨んだ。
チロチロ舌を出しながら、ゆっくりとした動きで俺に近づいて来る。
『ご主人様。足元にお気を付けください』
「足元……そうか。毒を放出しながら移動するんだったな」
レッドヒドラがいた場所には、毒々しい水たまりのようなものができていた。
そして奴が通った跡は黒く染まっていく。
「あれに触れないように、なおかつ息に気を付けて……」
すると左側のレッドヒドラの口が開き、赤い霧状の物を吐き出した。
「って、いきなりかよ」
距離はそこそこあるのに……いきなりすぎやしないか。
俺はそれを相手の右側に旋回しながら避け、距離を詰めて行く。
が、一番右の顔がこちらに伸びてきて、俺に襲い掛かろうとしてきた。
「顔が3つもあるとか、面倒だな……」
『同時に3体相手にするようなものですものね』
「こっちもティアが戦えたら、2対3なのに」
『サポートなら可能でございますよ?」
「え?」
牙を俺に突き立てようとするレッドヒドラ。
だが俺を守るようにして発生する障壁にそれは阻まれる。
ガリガリと障壁に牙を突き刺そうとするレッドヒドラ。
「サポートって……どうやって戦うんだよ?」
『物理は不可能ですが、術での援護なら可能でございます』
「なるほど……じゃあ、攻撃力と魔攻力を35。防御を30で頼む」
『かしこまりました』
「そして援護もガンガン頼む!」
真ん中の顔が口を開け、炎が収束していく。
『【ファイヤーボール】』
が、炎を吐き出す前にブルーティアから放たれた炎の玉によって、それは口内で相殺される。
「さすがティア。お前のおかげでいつも楽に戦える! ありがとうな」
相手の牙を弾き、くるりと縦回転しながら顔を切り裂く。
レッドヒドラの鼻先から顎にかけてパカッと切れ目が入る。
『ならばまた褒美に、美味しい物をよろしくお願いいたします』
「オッケー。こいつに勝って、帰ったら作ってあげるよ」
「グガアアア!」
ギュルンと一回転するレッドヒドラ。
尾撃をこちらに仕掛けて来る。
これをブルーティアで防ぐ。が、思ってた以上の威力に、俺の体が吹っ飛んでしまう。
『【ファイヤーランス】』
飛ばされている最中にブルーティアから炎の槍が出現し、レッドヒドラの肉体に衝突する。
追撃は防げたものの、効果は薄いらしく、あまり利いていない。
「やっぱり火は利きにくいか……あっ」
下に視線を向けると――毒に足を突っ込んでしまっていた。
「げっ……しまったなぁ」
靴から毒がしみ込んでくる。
「ティア、何かいい解決法はないか? このままでは毒にやられてしまう」
『では、【状態異常耐性】の取得をしてはいかがでしょうか?』
また便利なスキルがあるものだなぁ。
もちろん、取るに決まっている。
「じゃあ習得しておいてくれ。スキルレベルはマックスで」
『かしこまりました』
「おい! 危ないぞ!」
「ん?」
兵士の声にレッドヒドラの方に視線を向けると――
左と真ん中の口を大きく開いていた。
そして吐き出される赤い息。
広範囲に霧は広がっていく。
だが。
「ははは。ちょっとばかり蒸し暑いぐらいだなっ」
『既に【状態異常耐性】の習得は完了し、スキルレベルをマックスにしたことにより【状態異常無効】に進化しております』
無効とはこれまたありがたき。
状態異常までも無効にしてしまうとは、やはりブルーティアはチートだな。
「き、君、大丈夫なのか?」
「ああ。平気だよ」
兵士たちは赤い息を喰らって平然としている俺に対し唖然としていた。
まぁ、ビックリするよな。
普通麻痺する場面なのに、なんともなかったら。
「よし。そろそろこいつを倒すぞ、ティア。レッドヒドラの弱点、水でいく。【水術】の最大習得とフォローを頼む!」
『かしこまりました』
ブルーティアが淡い光を放つと同時に、俺は大地を蹴り、宙を舞った。
「俺は真ん中の頭を潰す。ティアは左側を潰してくれ」
「了解でございます。【ウォーターショット】」
ブルーティアから、鋭い水球が発射される。
その一撃は、レッドヒドラの頭部をパンッと破裂させてしまう。
「【アクセルブレイド】!」
稲妻のような速度で、俺はレッドヒドラの頭を切り裂いた。
頭どころか、胴体まで綺麗に真っ二つにしてしまう。
ズシーンと大きな音を立てて崩れ落ちるレッドヒドラ。
死体は光となり、ブルーティアに収納される。
「つ……強すぎるだろ、あんた!」
「あああ、あんなあっさりレッドヒドラを……」
「噂以上だ……こんなのメチャクチャだ!」
俺のあまりの強さに驚愕し、兵士たちはガタガタ震えていた。
まぁ、B級相手だったが、今回も楽な仕事だったな。
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