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第22話 アルはB級モンスターを退治しに行く①

「報酬は貰えるんだよね?」

「その点は期待しておいてくれ。十分に用意していると言っていたよ」

「そう」


 お金にもなるんだし、特に断る理由もないしな。

 よし、ここは快く引き受けよう。

 今回のことで国王とパイプができるかもしれないし……メリットは多いはずだ。


「分かった。引き受けさせてもらうよ」

「そうか、ありがとう! 恩に着るよ! じゃあすまないが、直接ホライザ迷宮に向かってくれ」

「了解」


 兵士は本当に嬉しそうに、そしてホッとした表情を浮かべる。


 とりあえずレイナークに向かおう。

 まずはティアを呼び戻さないと。

 

 俺は【通信(テレパシー)】を使ってティアに連絡を取ることにした。

 目を閉じ、ティアと話をするイメージを頭の中で練る。


(ティア。聞こえてるか、ティア)

(にゃはははっ! ご主人様にまた美味しいものを作ってもらえるにゃ! もっともっと頑張らにゃいとっ!)

(……ティア?)

(…………)


 少しの間が開き、


(ご主人様、どうかいたしましたか?)


 さっきのことを無かったかのように、しれっと普通に話をするティア。

 別にいいけどさ。


(新しい仕事が入ったんだ。呼び戻してもいいか?)

(かしこまりました)



 【呼び出し(コール)】でティアを呼び戻す。

 キラキラ輝きを放ち、ティアが目の前に現れる。


「ただいま戻りました」


 深々と頭を下げるティア。

 店内にいたジオ、兵士、酔っ払いたちは目を点にさせてティアの姿に釘付けになっていた。


「ど、どうなってるんすか、アニキ」

「深く考えない方がいいよ。ティア、王都に行って、そこからホライザ迷宮に向かい

B級モンスターを退治しに行こうと思う」

「かしこまりました。ご主人様の仰せのままに」


 特に用意するようなものも無かったので、俺はティアと共に店から出ようとした。

 するとその時、店へと女性が、大勢の子供を連れて店内へと入って来た。


 その女性は銀色の長い髪に美しい銀色の瞳。

 服は……あまり綺麗な物を着ていないが、それ以上に綺麗な見た目をしている。

 可愛いよりも美人に分類される、そんな美しい人だった。


「あの、ペトラ」

「あ、キャメロンさん。どうかしましたか?」

「あのね……何か食べる物は無いかしら?」

「食べる物……うちもあんまり無くてですね……」


 キャメロンと呼ばれた女性は、申し訳なさそうにペトラと話をしている。

 周りにいる子供たちは「ママ、お腹すいたよぉ」などひもじそうに俯いていたり泣いたりしていた。


「熊肉でよければいっぱいあるよ」

「え……」

「この子たちにご飯を食べさせてあげたいんだろ? ペトラ。熊肉でも焼いて出してやってくれ」

「あ、はい」


 ペトラはカウンターから俺の目の前までやって来て、店にいる酔っ払いたちに声をかける。


「あの、子供たちにご飯を食べさせてあげたいので、今日は帰って下さい」

「がはは! 何言ってんだよ、ペトラ。まだ昼前じゃねえか」

「そうだそうだ」

「い、いや、テーブルを使用したいので、帰ってもらわないと、邪魔というかなんというか……」

「なんだ? 俺たちは客だぞ? 客よりこんなガキたちの方が大事だってのかよ?」

「そうだぞ、ペトラ! 俺たちは客! お客さんは大事にしねえとダメなんだぞ」

「こ……」

「ああ?」

「この酔っ払いどもが! 金も払わんと何が客じゃ! 偉そうなこと言う前に、金払えや!」

「ひっ……」


 ペトラが、激怒した。

 鬼の形相で客たちを睨み倒すペトラ。

 あまりの迫力に、その場にいた大人たちは震えあがっていた。


「いね(帰れ)!」

 

 ぞろぞろと店を出て行く酔っ払いたち。


「こえー……怒るとペトラはじいさんそっくりだよな」

「もう」


 腕を組んでプンプン怒っているペトラ。

 俺がちょっぴり引いているのを見て、ペトラは焦り出した。


「あ、いや、違うんです! おじいちゃんに怒る時はしっかり怒らないと酔っ払いは話を聞かないって……」

「あ、そうなんだ……いやー、すごい迫力だったね」

「ははは……」


 恥ずかしいのか、ペトラは俯いて顔を赤くしている。


「あの、ありがとうございます……なんとお礼を言っていいのか」

「別に気にしなくていいよ。こんなもので喜んでもらえるなら本望というやつだ」


 俺はティアに頼んで【収納】から熊肉を出してもらい、それをペトラに託し町の外へと移動した。


「【空間移動(ワープゲート)】」


 俺はローランドとレイナークを繋ぐ穴を広げた。


「な、なんだいこれは……」

「【空間移動(ワープゲート)】って言って、任意の場所と場所の空間を繋ぐ術さ」


 兵士はポカンとしながら、その穴を通り、一瞬でレイナークに着いたことに驚愕していた。


「本当にすごいな……君は」


 俺たちはそこで別れ、兵士は王都へと入って行った。


「よし。じゃあ俺たちはホライザ迷宮に向かおう」


 だが、ホライザ迷宮に向かうにもそこそこの距離がある。

 歩くのは面倒だな、と考えるが、ブルーティアの新しいモードのことを思い出す。


「ティア。バイクモードを頼む」

「かしこまりました」


 ティアの全身が光だし、その姿を蒼いバイクへと変化させた。

 それは大きめのバイクで、蒼いメタリックボディが眩しく光っている。

 アクセルを吹かすと、フォーンと軽く甲高い音が草原に鳴り響く。


 異世界の知識を得たことにより、向こうの世界の機械などの姿にも変形できるようになったティア。

 俺はブルーティアのなんでもありの性能に呆れながらも、胸を高鳴らせていた。

 

 だってバイクが運転できるなんて、信じられるかい?

 こっちの世界では無理だと思っていた分、喜びもひとしおだ。


「ティア。【操縦技術】をマックスで習得してくれ」


 【操縦技術】。

 あらゆる乗り物を乗りこなす技術。

 これを習得することにより、バイクなどの乗り物はおろか、馬などを乗りこなす騎乗スキルも同時に上昇する。


 まぁあったら便利な能力だし、取っておいて損はないだろう。


 【操縦技術】を習得したことにより、バイクの乗り方が完璧に理解できていた。

 それも頭だけではなく、体が理解している。


 俺はワクワクする気持ちを抑えきれず、全開でアクセルを回し、草原を駆け出した。

【皆様へのお願い】


ここまで読んでいただいてありがとうございます。

大感謝です!


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― 新着の感想 ―
[良い点] まぁペトラの怒りはごもっともです!正直酔っぱらい連中…ザマァみろ!少しスカッとしました! [気になる点] 作者さんへの個人メッセージを送れないので前の疑問に伏せ字やら遠回しな物言いで返信し…
[気になる点] え、金払ってないの……? マジ……?昼間から金も払わずタダ飯タダ酒出来る天国なの……?
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