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第11話 ブルーティアは進化する

 スピレイ洞窟から戻り、俺は倉庫でブルーティアのステータスを操作していた。


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 神剣ブルーティア・ソードモード

 FP:802

 攻撃力:401

 防御力:401


 スキル 剣2 弓1 銃1 錬金術10

 サポート 収納 自動回収 成長加速10


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


「ははは……」


 ヴァンパイアを倒したというのもあるのだろうけど、また成長していた。

 それも爆速でだ。


 そしてある知らせも表示されていた。



『ブルーティアの総ステータスが1500を突破したので、ヒューマンモードを解放します』


 【ヒューマンモード】――


 ブルーティアはその姿を剣や弓など武器だけではなく、人間の姿にも変形できるようになったようだ。


 俺は興味津々でブルーティアをヒューマンモードに移行する。


「? 『髪型』に『服装』……? なるほど。見た目の初期設定ができるのか」


 どうやらブルーティアのヒューマンモードは好きな見た目にすることが可能らしい。


 俺は少し思案しながら、表示されている中から選択をしていく。


 『髪型』はランダム。

 『体型』もランダム。

 『服装』は……メイド服なんか可愛いんじゃなかろうか。

 『オプション』……猫耳と尻尾でいいか。


 色々と細かい設定はできるようだが、そこは人間と一緒で見た目なんかは神頼みというか、俺が決めるべきじゃないと考えランダムを選択した。

 服装とオプションはまぁ、これぐらいはいいかなと自分で設定したけれど。


「おっ」


 するとブルーティアは光を放ち――人間の姿に変化した。


 蒼くさらさらの長い髪に、蒼い瞳。

 髪と同じ色の猫耳がついていて、眼鏡をかけており、長いまつげに桃色の唇。

 スタイルは抜群で、メイド服のよく似合う完全無欠の美女が目の前に立っていた。

 

 あまりの美しさに、俺の心臓が跳ねる。


「はじめましてっ」

「…………」

「あれ?」


 全く動かない。

 まるで人形のようにピクリともしない。

 お尻の尻尾も動かない。


 俺は彼女の首元にあるチョーカーについた蒼い宝石に触れる。


 ヒューマンモードの情報を見ていくと……なんと俺の命令を聞くだけの、まさしく人形のような存在だということが表示されていた。


 うーん。それも悪くないのだけど、このままじゃ面白みにかけるなぁ。


 そう考え操作を続けていると、スキルポイントを消費して【自我】に目覚めさせることができるということが判明した。


 俺は考えるよりも早く、それを高速で選択する。


 また表示される『性格』という設定画面。

 俺はこれも、ランダムを選択した。


 それが終わると、ブルーティアの眼がキョロキョロと動きだし、状況を確認しだした。

 そして俺に視線を固定し、深々と頭を下げるブルーティア。


「はじめまして。ご主人様」

「はじめまして」

「この度は自我を与えて下さり、誠にありがとうございました」

「いやいや~大したことじゃあないよ」

「それで、私はご主人様のために何をすればよいのでしょうか?」


 綺麗な澄んだ声で、淡々と話しをするブルーティア。


「何をって……ブルーティアは何ができるんだい?」

「私ができることは……人間ができることと同程度のことは可能かと思います」

「ふーん。じゃあブルーティア……って呼び方がなんか長いな。なあ、ティアって呼んでもいいか」

「はい。では、私の名称はティアで登録しておきます」


 ペコリと頭を下げるティア。

 

「じゃあティア。一つ訊きたいんだけど、もしティアが戦闘をしたとしたら、ティアの性能は上昇するのかい? 俺がブルーティアとして君を振るっていた時のように、君は強くなる?」

「はい。強くなります」


 俺はその言葉を聞いてガッツポーズを取る。

 これなら、俺は戦闘に出ずともブルーティアの性能を勝手に上げてもらえるということだろう?

 働かずして自動で成長する武器。

 こんな素晴らしいものがあるだろうか。


「ですが、一つ問題がございます」

「問題? どんな?」

「ブルーティアの『武器』としての能力と、私自身……ここは便宜上、『ティア』と区別させてもらいます。『ティア』としての性能は『武器』の影響を受けないのでございます」

「あー……ティアのステータスとブルーティアのステータスは別ってことか」

「はい」


 武器とそれを振るう人の力は別と同じようなものか。


「ブルーティアはあくまで、ご主人様あっての性能でございますので、私単独ではその性能を引き出すことはできません。逆もまた然り、私なしではご主人様もブルーティアの力を使うことはできません」


 なるほど。

 剣のスキルも錬金術も、ブルーティア抜きでは使用できないということか。


「ティア自身は、どれぐらい戦えるんだ?」

「現状、全くと言ってもよいぐらい無理かと……ちなみにですが、私の能力をステータスで確認できますがどういたしますか?」

「じゃあ、頼むよ」


 ティアは「かしこまりました」と頭を下げて、勝手にステータスを表示してくれた。



 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 神剣ブルーティア・ヒューマンモード


 レベル:1

 HP:5 FP:802

 筋力:3 魔力:3

 防守:2 敏捷:3

 運:2


 スキル ――

 サポート 収納 自動回収 


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



 これは……なかなか酷い。

 でもFPだけはブルーティアと共有しているのであろう、高い数字を誇っている。


「あ、サポートはそのまま使えるんだ?」

「はい。それでも使用できるものも限られてはいますが……」

「いや。とりあえずこの二つがあれば十分だ」


 俺はティアの低い能力とサポートを見て、これ以上ないぐらい気持ちを高ぶらせた。

 能力値の低さなんて気にならないぐらい、サポートが機能していることが嬉しかったのだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公はケモナーだな!
[一言] 人化しただと……ッ!?
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