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死に損ないは笑う  作者: 真咲 タキ
第1章オハヨウ
8/28

暖かい家

 セツナの強烈なシゴキを受け始めて1カ月が経った。

「オイコラァ、休まず走れ、今度こそ1日で山を上下山しろ」


 セツナの怒鳴り声が今日も山中に響いている。

 ジンは走った。

 以前と比べて体力がつき、休む回数が減ったもののやはり1日で山を上下山するのは不可能である。


「コラァ、走れ走れ」


 ジンに本日3本目のナイフが渡された。

 ジンはナイフを受け取ると服の上着のポケットに収納した。

 ジンは前を向いて走った。

 あと100メートルで麓だ。

 太陽が地面に触れそうになっている。

 ………





 ジンは麓にたどり着き、麓から折り返し頂上に向かった。

 しかし、しばらく進むと歪んだ空間が現れた。

 ああ、今日もダメだったか。

 ジンは歪んだ空間に飛び込んだ。

 キーン、


 耳鳴りのような音が聞こえたその瞬間周りの風景が変わった。


「ご苦労さま、疲れたろう。さあ夕飯にしよう」


 ジンは頂上の丸太小屋に帰ってきていた。

 いつ体験してもやはり魔法はすごい。

 そして訓練中とそれ以外でのセツナの変わりようがまた面白い。


 夕飯を食べながらジンはセツナに言った。


「セツナ、どんなに頑張っても1日で山を上下山するのはやっぱり不可能なんじゃないか?」


 やはり今日の結果から考えるにこの課題は不可能だ。

 上手くいって4分の3往復しかできないだろう。

 しかも1日で。1日でと言うわりにセツナは大体日の出と同時に訓練をはじめて日の入り後にジンの回収を行う。


「なんだ、気づいていたのかい」


 セツナはこともなげに応えた。


「でも課題を変えるつもりはまだないよ。この意味がわかるかい?少しは工夫せにゃいかんよ」


 どうやら魔法を使わなければ出来ない課題のようだ。


 ジンは今晩未来を参照してみることに決めた。

 ………






 布団に入り、ジンは意識を記憶の参照に回した。


(ジンが山を走っている。そしてまた次の日も山を走っている。どうやらまだ魔法は使えていないらしい。


 どんどん映像を流していくと1週間後、変化が訪れた。山の中で美しい生き物が地面に倒れていた。

 しかしその生き物の顔を良く見ようとするとなぜかもやがかかって良く見えなかった。)


 なるほど、大きな変化があるとしたら1週間後だ。

 それまでは魔法を使うイメージを持って練習するしかない。

 ジンは意識を絶った。

 ………





 翌朝、ジンは魔法にかかった感覚を知りたいとセツナに言った。


 セツナはどうしようかと迷ったようだが、結局肉体強化の魔法をジンにかけてくれた。

 動かしたいと思った筋肉を背後から押し出されているようだ。


 ジンは今日はこの状態で上下山していいか尋ねてみた。


「それで上手くいっても課題の達成にはしないよ。それでもいいならやってもいいよ」


 訓練前だからか優しいセツナだった。

 その日、ジンは肉体強化の感覚を体に染み込ませた。


 もうすぐ日の入りになるという時にジンは山頂まで来ていた。

 丸太小屋のドアを叩くと中から慌てた音が聞こえてきた。

 どうやら予想外だったらしい。


 扉が開きセツナがジンの顔を見て言った。


「お帰り、早かったじゃないか。

 もう夕飯は出来上がっているよ。

 疲れただろう?たんとお食べ」




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