ツアー
ジンとアリスは掲示板の前に立っていた。
ふたりの前には変わったポスターが貼られている。
依頼書ではない。
この掲示板は無料のボランティア講座の発表にも使用されるのだ。
「アリスこれどう思う?」
ジンは聞いた。
ビリっ
アリスが目にも止まらぬ速さででポスターを掲示板から引き剥がした。
そしてアリスは引き剥がしたポスターをジンに渡してきた。
これは出ようという意味だろうか?
ってポスター破ったらダメでしょう!
ほかの人もイベントに出るかもしれないじゃないか。
ジンは慌ててポスターをピンに止め直した。
ポスターにはこう書かれていた。
………
ダンジョン第1層探検ツアー
ダンジョンで生き残る方法をお教えします。まだダンジョンに不慣れなEランク冒険者の方、宝探しをしたい一般の方どうぞご参加下さい。
集合時間 明日9:00
集合場所 ギルド前
………
ジンは悩んだ結果、ダンジョン探検ツアーに参加することにした。
ということで、ジンは今ギルド前にいる。
現在、時刻は8:50、もうすぐ集合時間になる。
ウォウン
シルバはなんだかツアーを楽しみしているらしい。
1人、また1人とツアー参加者らしき人が集まってきた。
カチリ、
時刻が9:00になった。
集合時間だ。
どうやらアリスは間に合わなかったらしい。
時間になるとギルドから一人のおじさんがやってきて言った。
「やあやあ、みなさんお集まりですかな?
では参加の名前を確認しますよ。
冒険者はこちらから見て左に、一般の方は右に集まってください」
おじさんが太い指で参加者を数え始めた。
どうやら冒険者は5名、一般からは2名が集まったらしい。
………
(冒険者)
ジン、アリス、カグラ、カンテキ、オサム、アイ
(一般)
ハナコ、タロウ
…………
参加者名簿が作られ、行方不明者が出た場合の備えができた。
ジンは名簿を見て気づいた。
いつの間にかアリスがツアーに参加している。
さすがは暗殺者である。
今の今まで気づかなかった。
「みなさん、それではダンジョンに出発しましょう!
レッツゴーレッツゴー」
おじさんのテンションが上がり、俺たちはそのままの雰囲気でダンジョンに入った。
「ようこそダンジョンへ!では早速ダンジョンでの生き残り方をご紹介しましょう。
まずみなさん、ダンジョンはモンスターがやたらと発生する場所だということはご存知ですね?」
みんなが頷いた
「けっこうけっこう。しかし、ダンジョンで気を付けるべきはモンスターではないんですよ。ビックリでしょ!本当に気を付けないといけないのはトラップですよ。だってそうでしょ、モンスターは基本的に目で見て分かるじゃないですか」
「単純な話、モンスターを見たら逃げればいいんですよ。えっっっと思った方、冒険者の方ですね。モンスターを狩る仕事ですもんね。普通なら逃げませんよね。それなら、あなたは冒険をしないように気を付けてくださいね?無理をせずに自分の勝てると思った相手と戦いましょう」
ツアーグループはダンジョンをどんどん進んでいく。
「みなさんが今歩いているここは冒険者の間にではゴブリンルームと言われていていつもなら大量のゴブリンがいます。一般のみなさんはもし今後ここに来ることがあるなら、必ず武器を持ってきてください」
「今、ここにゴブリンがいないのはどうも最近ゴブリンキラーが現れてゴブリンを皆殺しにしたからなんですよ。しかもそのゴブリンキラー、どうやら参加されている冒険者さんと同じEランクらしいですよ!みなさん負けずにがんばってください!」
それ、俺たちのことだ。
ジンは思った。
「さて、みなさん前方をご覧下さい。こちらはワープパネルと呼ばれるものでして。大魔導士ペブル様が作られたものです。ワープパネルは各国のダンジョン攻略団体に販売され、今では全国、全てのダンジョンに設置されています」
「このワープパネルは本当に素晴らしいもので、魔力を流せば誰でも使えます。今、疑問に思った方、すばらしい。実はこのワープパネルは固有回路が使われていないんですよ。なんと共有回路という誰でも魔力を流せる回路で作られているんです。だからこそ誰でも使えます」
「魔法媒体と同じ原理ですね?」
タロウが聞いた。
「その通り、魔法媒体は共有回路を使うことで、登録した魔法を誰でも簡単に使えるようにしたんですよ。まったく、すばらしいものです!」
「おっと、危うく通り過ぎてしまうところでした。みなさん右をご覧ください。地面にが濡れているでしょう。あのような場所はダンジョンではよく見かけます。ああいった場所を通常、沼と言ってダンジョンのうち非常に危険な場所のひとつです」
「沼では足を取られているうちモンスターに襲われることがよくあります。気を付けましょう。
また、地面にからガスが出ているところもあるので火は沼の近くでは使わないようにしましょう」
………
ダンジョン探検ツアーが終わり、ジンは宿に帰ってきた。
「シルバ、けっこう面白かったな、今日のツアー」
シルバに言うとプイとよそを向かれた。
シルバはどうもダンジョンで美味しいモンスターを狩るイベントだと思っていたらしい。
ジンは拗ねた相棒を慰めてあげる為にシルバの顔の周りをかいてやった。
シルバは気持ち良さそうな顔をした。




