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2050~ステータス1の廃人  作者: 烈火
第三章『娯楽都市 アクアリゾート』
44/47

☆メインストーリー3-7 彦星 ※挿絵有

挿絵(By みてみん)



~仮想空間・アクアリゾート住宅街


スミス「ほうほう、どこへ連れてくれるのだ?

まさか!両手に花、両手に金銀の狐。

そしてここは娯楽都市!

これは(あかいろ)騎士団風、男のもてなしがあるのじゃな!」


銀閣「うっさいな!このセクハラ親父」


金閣「暴言はあかんわ。

天井のシミの数を数えるつもりで」


銀閣「外に天井はあらへん。

数えたい気分やけど」


金閣「銀がそういう趣味があるとは知らんかったわぁ」


銀閣「そんな話はしとらん!」


私、スミスは娯楽都市の住宅街を歩いていた。

egoのギルドハウスの土地を探しているのだ。

しかも猩騎士団の狐美人二人付き。

正直ずっと散歩していられるわい。


黙っていてもこうして愛嬌のあるボケとツッコミを延々とし賑やかで、猩騎士団のサービスの良さを感じる。


スミス「よっしゃ、うちの織姫にその接客術教えてくれんか!」


銀閣「織姫ってあのGMか?

だってあいつうちらの敵……」


金閣からビンタが入り思わず、おっさんの私でも口に手を当てた。

金閣はにっこり笑いお辞儀をした。


金閣「申し訳ございません。

コンプライアンスゆうものがあるゆえ」


スミス「お、おう。

それオプションに付いてくるの?」


金閣「おっさん、冗談きついわぁ。

まぁええか、もう頃会いや。

なぁ団長はん」


彼女らが立ち止まると風景が変わりそこは見知らぬ空間だった。

白い床が地平線の先まで続き空には星が輝いている。


不意に見た事ある人物が目の前に現れた。


JINYA「やぁ、会いたかったよ。

egoのギルドマスター、スミスさん」


スミス「ほう?

私は野郎に求められるのはちょっとゴメンじゃが。

……それにしてはここに居るのには明らか不自然な奴と会ったものだ」


目の前に現れたのはにこやかに現れた猩騎士団の団長。

淘汰達の憧れの存在であるのは知っている。

しかし実際会ったのはこれが初めてだ。


金銀の狐は立膝を付いて頭を下げた。


JINYA「いいんだね?金閣、銀閣。

これから猩騎士団、いや人類に立ち向かう事になるよ?」


銀閣「アダマス鉱山で死人が出たのはウチらのせいじゃあらへん。

リンチをした人間達のせいや。

それなのに不遇な扱いやし猩なんて抜けるわ」


金閣「寄らば大樹の陰ってゆうやろ?」


猩騎士団の組織の会話としてはおかしい。

何かの演出かな?


スミス「とりま何かの企画か?

まずアポ取るのが社会人のマナーじゃけ。

私がガキん頃の芸人じゃあるまいし。

ドッキリなら撮れ高の相談しないかい?」


JINYA「そうだね。

ドッキリ以上のサプライズを考えてるんだ。

そこでだ貴方達も私側に来ないか?

もし貴方が平行世界から来たのなら……」


スミス「ほう?

何処から聞いたかは知らんがこの世界で人間を恨む者が平行世界でも人間を恨むとは限らんぞ?

逆も然りだ」


JINYA「やはり貴方は俺が予想した存在だ。

貴方は知ってるから言うよ。

俺は織姫と対となる上位電脳生命体。

演算で弾き出した結果だけど貴方がこの世界の人間ではない、という確率が61%程と出たんだ。

だから賭けてみた」


私はため息をつき胸ポケットからタバコとライターを取り出し火を付けた。

ぼーっとしながら一服した。


スミス「何?あんた。

SF読み過ぎじゃね?」


銀閣「お前、始終ふざけて!」


JINYA「いいのさ。

貴方は結末を知っているだろうから言う。

俺の正体は彦星だ。

そして織姫と彦星はどちらかが相手を取り込んだ時GGMが復活する。

俺らの最終目的は同じだ。

GGMを殺す訳ではない」


スミス「ふーん、そんで?」


私は欠伸をしてタバコを指で軽く叩き粉を落とした。

その態度に金銀の女達が恐ろしい顔をする。

JINYAは必死に声を張った。


JINYA「貴方を敵に回したくない。

しかし淘汰はこれから俺がする行為によって敵に回らざる負えなくなる。

さらに余計織姫を必死に守るだろう。

だからこのままだと過ちを繰り返すことになる。

貴方の真の目的を逆算すればこちらにつくことが適解のはずだ。

egoのメンバーにもきっと裏切り者は出る。

Vipuumからも既に出てるからね。

あなたがegoを説得して、動かせると助かるんだ。

そうすれば淘汰も最終的には味方に回る」


私は吸い終えたタバコを踏みつけ一喝した。


スミス「黙れぃ!」


JINYA「!」


スミス「裏切りは許さん当たり前だ。

だがな、人の信条を変えるのも許さん!

自分の好きな事をし好きな事の責任をとるそれがギルドegoじゃけぇ!

そして私から言わせれば仲間を売るやつなんぞ、言語道断!

かかってくるなら全力で来い!

泣こうが、喚こうが、全身全霊でこの私が立ち向かってくれる!」


JINYA「残念に感じるよ。

分かり合えるかもしれないと思ったのに」


彼は肩を竦めた。

その表情から強い悲壮感が伝わる。

彼は金、銀に命令をした。


JlNYA「さて最後の団長命令だ。

そして初の彦星としての命令だ。

『世界に白を』

君たちにこのナイフを託す。

egoを見つけ次第、始末せよ。

奴らがLvが低いうちに、片付けなければ今後厄介になる」


金閣「分かったわぁ」

銀閣「了解や」


二人は白いナイフを渡され姿を消す。

しかしその様子を目の前で見たギルマスは仁王立ちのままだ。


JINYAは怪訝そうにスミスを見つめた。


JINYA「スミスさん。

貴方は止めないのかい?

仲間がやられるかもしれないよ?」


その言葉にスミスはにやりと笑うと懐からスパナを取り出した。


スミス「それを言うならお前さん。

自分の心配をしたらいかがかな?」


JINYA「成程、俺の力を知った上でか。

確かに俺は本来の力を失っている。

ただ力の制約があろうとも戦えるさ。

さぁやれるならやってみなよ?」


互いに間合を取るとスミスはスパナを持ってJINYAに肉薄した。



~仮想空間・アクアリゾート 道具屋



天裁「おや、それは淘汰さんへのお土産ですか?」


ねこさん「…」


ねこさんは小物屋にいた。

魔物用の首輪を手に持つと天裁が話しかけてきた。

彼と酔いが覚めたレイブンが連れ添う。


チャラ民が服を買っている間天裁が気を使いここに案内してくれた。


でも私は彼に正直思うところがあった。

彼は私と仲の良かったMr.Bを事故とはいえ死なせてしまった。

それが許せなかった。


彼とは会話を交わさず会計を済ませるとレイブンが真面目な顔で話しかけた。


レイブン「気持ちは分かるぜ。

だがここに案内してくれてありがとう位は言うべき。

その一つ一つの小さな感謝は生きてく上で得と徳に繋がる」


ねこさん「そ、そうっすね。

ありがとう天裁。

これはね、スペアの首輪っていって……」


その時だ。


ドーン!


という爆音と共に店の半分が吹き飛んだ。

客が悲鳴を上げて逃げていく。


何事だ!


店の入口はなくなり、煙から現れたのは


金閣「ほな、お待ちどうさん」


銀閣「関係ないやつは帰ってな。

うちらはそいつらに用があるんや」


私は急の出来事に驚き、尻もちを着いてしまった。

周囲から客や店員が逃げ去ったあと、二人はニコッと笑った。


銀閣「彦星様の命令や!

ここで死……」


天裁「熱閃魔法!

デストラクションフィンガー!」


凄まじい速さの詠唱速度だった。

まるで魔法ではなく、物理攻撃のようだ。


彼は人差し指を狐たちに向けると高圧のエネルギー波を放った。


爆風で二人を吹き飛ばすと天裁は光の槍を手から生み出し店から飛び出した。


ねこさん「つ、強い…!」


レイブン「とりあえず、外に出るぞ!

あっしは痛いのを我慢すれば、盾役くらいはできる!

お前も戦えるんだろ?」


ねこさん「私もサポートなら……」


レイブン「なら助力をするんだ!」


~アクアリゾート 娯楽街 噴水付近


GM達がすぐに駆けつけてきたが不思議なことに誰も止める者はいない。


天裁はというと槍を両手で振り回し猩騎士団の元幹部相手に2対1で戦っていた。


金閣「おやまぁ、口だけじゃないゆうのはほんまやな。

うちらと言えどLv90はあるはずやけど」


銀閣「egoは雑魚ギルドって聞いとったのに!

お前も副団長と同じLv99かいなっ!」


天裁「お前達の悪行は知っている!

こんな露骨な戦い方を見るとチャンスを与えてくれた猩を裏切ったのか?」


天裁は銀閣の鳩尾を蹴り吹き飛ばすと槍の柄で金閣を叩きつけた。


レイブン「つ、強い」


天裁「猩の幹部ならまぁ強い方でしょう。

それより嫌な予感がします。

こいつらを捕縛し早くギルマス、サブマスと合流すべきです」


レイブン「あ、ああ」


ねこさん「!?

危ない!」


レイブンが返事をしようとしたタイミングだ。

煙から光が見え天裁に向かって放たれた。

咄嗟に走り天裁を突き飛ばすとその魔法が私の体にもろに直撃した。


銀閣「爆撃魔法!プライマリーバースト」


目の前に爆風が起き包まれる。

全身が痛い。

しかし恐ろしい事にそれは始まりに過ぎなかった。


金閣「爆撃魔法!セカンダリーバースト」


2発目の爆発が身体を突き刺す。


銀閣「爆撃魔法!ターシャリバースト!」


金閣「爆撃魔法!クェイタナリバースト」


高火力の魔法を交互に集中砲火された。

凄まじい痛みが体をめぐりもはや麻痺し始める程だ。


銀閣「爆撃魔法!クェナリーバースト!」


5つ目の魔法だろうか、それを受けた時には私はうつ伏せに倒れていた。

私の頭を誰かが踏みつける。


銀閣「本当は厄災軍師を狙ったのに。

この魔法は強制的に連射になるんや。

これじゃあ魔力損やん、邪魔しやがって

このっ!」


頭を蹴り上げられ体が仰向けになり銀閣の恐ろしい表情が見えた。

レイブンの怒号が聞こえる。


レイブン「てめぇ!なんて事すんだ!

せこい攻撃しやがって!

くそったれが!」


彼女はスミスから貰った剣を取り出し突っ込む。

しかし当たってもダメージが1のみでもはや避けられもしない。


デコピンを銀閣から受け

3,000ダメージという表記と共に倒れる。


Lvが10になり最大HPがやっと1000を超えた彼女にとっては致命傷だ。


だが彼女に備わっている確率による自動復活。


その効果でHP1で起き上がる。

しかし結局デコピンを食らい弾かれる。


明らかに相手は強い。

でも天裁がいるお陰で勝機はまだある。


私だってお荷物になる気は無い。


すると吹き飛ばされた天裁が私に手を差し伸べてきた。


天裁「どうやら敵には不思議なバフがかかっています。

10秒でHPが全快するような」


ねこさん「そんな!

じゃあ勝つ手段がないじゃないすか!」


天裁「あります。

一撃の超火力を出せれば。

ですが魔力の詠唱に相応の時間を要します。

そこで足止めをお願いしたい」


ねこさん「私耐久にステータスを全振りしてるす。

だから足止めは得意っすよ。

今の攻撃くらっても生きてるくらいには硬いんで」


彼の手には触れず、立ち上がる。

私は懐から古びた首輪を取り出した。


金閣「ほう、あんたは魔物使いか」


レイブンに爆撃の魔法を食らわせ、吹き飛ばした金閣は目を細めた。


98,000というダメージ表記が目に入る。


レイブン「やべ、もう体が動かねぇ」


凄まじいダメージと復帰の表記を繰り返したレイブン。

しかし痛みによって精神が先に参ったのかHP1の状態で倒れてしまった。


私は首輪を投げて祈った。


ねこさん「……助けて!ぽち!」


光が辺りを包み、光の中から現れたのは白い犬だった。


ぽち「わん!」


銀閣「のわっ!」


現れた途端、銀閣に不意打ちで頭突きをし吹き飛ばした。

150,000という表記。


ぽちの必殺技先制攻撃だ。

呼び出した途端最大火力で叩きそこから戦闘態勢に入る。

それ見た天裁から声が上がった。


天裁「なんだあの犬!?

いや集中せねば。

頼みましたよ。

ねこさん、そしてぽち!」


金閣はぽちと間合いをとりながら流し目で銀閣に話しかけた。


金閣「銀、まさかあれ食らって、死んだりしとらんよなぁ?」


銀閣「死んだか思ったけど生きとる」


2人がまた並んだ。

なんと言う再生力だ。

これでは天裁の言う通り一撃必殺でなければダメだ。

ぽちの最大火力でも無理なら耐久するしか


ねこさん「ぽち、火炎放射!」


銀閣「ちょ、そいつただの犬やで!?

…って、本当に放ちおった!!」


ぽちは口を大きく開けると凄まじい炎放った。

攻撃範囲があまりに広く出が早かった為金銀はただ構えるだけだった。


ねこさん「ぽち、あと何秒くらい出せる?」


ぽちは腰を下ろすと尻尾で地面を削る。


『10s』


ねこさん「10秒、分かったす。

天裁はどれくらいかかるすか?」


天裁「行けます!

ですが逃げる可能性があるので、動きを出来れば止めたい。

その術式も併用して唱えてる所です」


ねこさん「それなら私にもできるす!

動きを止めたらぶつけて!」


天裁「出来るんですか!?」


ねこさん「うん1番得意な魔法だから!

『原初の種よ、私に力を』」


私は頷くと種の形をした魔力を地面に植えた。

頭で薔薇の蔦をイメージした。

そしてありったけの魔力を込める。


ねこさん「ぽち、ステイ!」


私はぽちに技を止めるように命令した。

ぽちは炎を吐き終えると律儀にお座りをする。

金銀は炎を払い恐ろしい表情をしていた


銀閣「クソ犬、あんまり調子乗ると…」


ねこさん「花魔法!

アイヴィーウィップ!!」


地面から大量の尖った蔦が生え金銀を捕縛した。

しかし彼女達の力が強すぎて抑えるのには限界があった。


ねこさん「今っす!

もう抑えられない!」


天裁「段取り感謝です。

極熱閃魔法!リミットオーバー 256式!」


彼は集約した超高濃度のエネルギー波を金銀に向かって指から放った。


まるでその光自体が太陽の輝きのように眩しかった。

さらにそれを上手く操ったのか周囲に爆発を起こさせず、屈折させ上空にエネルギー波を打ち上げた。


460,000


という凄まじいダメージ表記が見える。

しかし同時にガッツという表記も。


目の前に現れた彼女達は震えていた。

二人とも手には白いナイフがある。


銀閣「今のガッツでバフが吹き飛んだ。

もう勝機はない、失敗や。

嫌や、死にたくない」


金閣「でも彦星について行くって決めた時には覚悟していた事やで」


彼女達は謎のバフも消え抵抗の意思も消えていた。


天裁「おや、自決なされるんです?

こちらとしては生きて苦しんでくれなきゃ困るんですがね」


ねこさん「天裁、その言い方はやめて!

ねぇやめよう?

アバターロストは本当に死なないとはいえ良くないよ!」


それを聞いた金閣はゾッとする笑いを浮かべた。


金閣「あんた、淘汰の事好きやろ?」


ねこさん「え?」


金閣「彦星はんが話しとったわ。

何度か自殺未遂しとった事も。

好きな彼を傷付けるわ、心配かけるわ。

さらに邪魔するわで最悪よな?

あんたみたいな奴がいう『死ぬな』は、随分無責任や。

だって生きてる上で、自分が1番邪魔な奴が言った言葉やもの」


ねこさん「そ、それは……」


私は、頭が真っ白になった。

レイブンと天裁が振り向く。


ぽちがすり寄る。


そうだ、私昔犬も巻き込んで死なせちゃってたんだ。


銀閣「別にお前のこと必要とか好きなんか思っとるやつおらんよ。

お前が居てもいなくても変わらん。

だって自分が嫌いな奴を誰が好きになるん?

自分から望んで死にたいやつに失敗したら死を強制されたうちらの何が分かるゆうの?

うちらに死んで欲しくないなら、代わりにお前が死ねよ」


私は心をハンマーで砕かれるような感覚がした。

何か言い返したい。

でもそれ以上に胸が痛くて考えがショートする。


少しの間があった。

大きな声が響く。


チャラ民「うるさい!

必要の無い人間がいてたまるもんか!」


「!?」


その声の主はチャラ民だった。

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