☆メインストーリー 3-5 商店街にて
~仮想空間・アクアリゾート娯楽街
チャラ民「わぁ!
すごいね、娯楽都市なだけあって色んなお店がある。
ねぇねぇ、あそこのお店キャバクラだって!
絶対じいさん喜ぶやつだよね!」
チャラ民達はアクアリゾートの商店街にいた。
今晩行われるパーティーの服を探しに来たのだ。
メンバーは、チャラ民とねこさんとレイブンと天裁。
4人で地図を視界に表示しながら歩く。
昔の人は紙の地図を広げてたって言うけど、それって大変だよね。
便利な世の中に生まれて良かった!
別班で淘汰と織姫がリゾート施設の説明。
スミスはこの島に移行した、ギルドハウスの土地探しに行った。
そして先程の飲み屋やカジノ、大人な店を抜けて、やっと商店街に入る。
チャラ民としてはどの風景も、キラキラしてて見てて楽しい。
他のメンバーに目を移すと、真っ先に目立つ人がいる。
レイブンだ。
彼女の状態は、
レイブン「あーあ、あっしはー
のみやーいきたいー
なまびー、ちゅうはい、かくはいぼーるぅ」
チャラ民「いや、飲み屋行く以前に酔ってるんですけど!?
いつの間に飲んだの!?」
酩酊酔いどれぶん状態。
チャラ民はそう名付ける。
ほろ酔いだと、戦闘コンディションが良く(本人談)、それを越えると歌い始める。
そうなってしまったらもう、理性はない。
天裁「その為の私です。
この人が面倒を起こさないように見張ります。
そして肝心の服選びは私より得意なチャラ民さんとねこさんのお二人にお任せします」
チャラ民「え、それってそもそもレイブン要らなくない?」
天裁「ごほん。
さてこの噴水広場で待ち合わせをしましょう。
私達はアクアリゾートの現地住民さんから、噂や役立つ情報を集めましょう。
これは私とスミスさんの身長などを、まとめたデータです」
チャラ民「うん、分かった。
じゃあチャラ民達が服選びをする間二人は別の仕事をするってやつだね!
データ預かっておくね!」
なるほど、忖度ってやつか。
置いて行こうとしても、どちらにせよ機嫌を損ねるからね。
でも本当にお酒好きなんだなぁ。
チャラ民も後3年で飲めるけど、ジュースの方が絶対に美味しいと思う。
噴水広場に出たチャラ民達は予定時刻を決めて一旦二人ずつに分かれた。
~仮想空間・アクアリゾート商店街
フォーマル系を取り扱う洋服屋さんをねこさんと探す。
2人になるのは、久々だ。
淘汰と共に幼なじみではあるが、3人の関係はとある事件により、ギクシャクしている。
最近は七夕辺りから、ねこさんは表情が真っ暗になった。
まるで前の明るさに雲がかかったようだ。
今もうつむいている。
さらにアクアリゾートを降りてからは、自分から会話をしない為、話しかけるのは気まずい。
でも何も話さないのはもっと気まずい。
チャラ民「ねえ!
男性陣のアバター、意外とスタイル良いんだね!
淘汰は180cm(着ぐるみ?の全長)で
じいさんは175cm
天裁は185cm
モデル体型だね!
ちなみにチャラ民は150cm」
ねこさん「そういえば今更すけどそんな見た目してるのに男のアバターなんすよね。
女性陣は
私が158cm
レイブンが175cm
織姫が139cm
織姫とレイブンが凸凹過ぎて、服が見つかるかどうか。
ドレスコードは一応、スマートエレガンスっすよね?」
意外と会話自体はいつも通りだ。
しかし不意に、眼鏡の奥の瞳が見えた。
あれ?何だろう。
その瞳には全く光がない。
怖くなり、逆に話を続けた。
チャラ民「そそ!
礼服を着ての参加には種類があって。
フォーマル。
セミフォーマル。
インフォーマル。
って種類があるんだ。
その下の格式がスマートエレガンス。
フォーマルに近い服を着るんだけど、そこに華やかさを加えていいドレスコードだね!
多分今日やってきた、チャラ民達ego。
そしてVipuumを合わせて、皆でわいわいやろう。
そんな感じで猩騎士団も考えたのかも!
だから今回のテーマは、華やさだね!」
ねこさん「うん、そうだね。
ねぇ淘汰はどんな服が喜びそう?」
チャラ民「え、あれパンダだから服はいつもの状態で仕方ないと思う。
でも強いて言うなら、黒の蝶ネクタイがとかアクセ入れると良いかもね!」
ねこさん「そっか。
淘汰にお土産あげたいから。
ねぇ淘汰はパンダの見た目をしてるから、服が無いの可哀想」
チャラ民「パンダだしねぇ」
ねこさん「淘汰不安になってないかな?
やっぱりあの女じゃ心細いよ。
私行った方がいいかな?」
チャラ民「大丈夫!
淘汰は無理はしない主義だから」
何だろう。
口調や声のトーンは変わらない。
けど違和感があった。
そうだ、言葉遣いが変わってる。
急に心配になった。
チャラ民「ねぇ多分急にストレスがかかったんだよ。
夜まで時間あるからそれまで休んでて。
天裁にもチャラ民が連絡取っておくから。
チャラ民が後は服選びしておくね!」
ねこさん「あの女が出来てからだよ。
前は私、淘汰と一緒だったのに。
どうしよう、淘汰がどっか行っちゃう」
口調は冷静で普段通りだ。
言葉は不穏で異常だ。
様子からすると、話が頭に入っていないのかも。
強い口調でねこさんに声をかけた。
チャラ民「ねこさん!
しっかりして、どうしたの!?」
ねこさん「ごめん。
チャラ民の言う通りにする
夜には合流するから」
チャラ民「うん。
お大事にね。
こっちも終わり次第すぐ戻るよ!
戻ったら初日位は、天裁に自由行動願い出るよ」
早い合流に、酔いが覚めたレイブンと天裁は驚き、心配した表情を見せた。
正直怖かった。
ねこさんに何があったのか。
いつもの口調も無くなっている。
昔起きた事件後の淘汰を思い出した。
~現実世界・過去の病院
「残念ながら」
駆けつけた時には遅かった。
速水と那藤と神谷は3人とも、ベッドの上で静かに眠る遺体に立ち尽くす。
首から顔が布で覆われている。
首まで隠すのは、死因がそれだったからだ。
まだ中学生の速水と神谷は涙を流した。
そしてその人物を見た、那藤が呟く。
「兄貴、死んだのか」
那藤の兄であった。
その時の遺された那藤の顔は未だに忘れられない。
医者が説明を始め、死因と死亡確定時刻の説明をした。
ずっと泣き続けた速水達。
それ程まで那藤の兄は支えてくれた。
すごく明るい人だった。
だからその死因が納得できなかった。
「死因は首吊りによる頸部圧迫が原因でしょう。
自殺と考えられます」
説明が終わり、その言葉を聞いたその弟。
彼は死んだ目で語りかけた。
「自殺だと?
自殺ではない。
兄を殺したのは人間の心だ」
那藤の瞳に光が消えた瞬間。
人の心が壊れた瞬間を速水は見た。
それは何か五感では感じられない、しかし絶望を得る感覚である。
兄がいた頃のなっちはネガティブではありつつも優秀な兄を目標として張り合う努力家であった。
しかし心が壊れて以降のなっちは誰に対しても淡白になり何事も諦めるようになった。
拒食症や不眠症にもなり免疫が落ち肉体的にも調子を壊れてしまった。
廃人となった。
言葉は悪いかもしれない。
だが速水はそれを見た時そう感じた。
~仮想空間・洋服屋
チャラ民「これでよし。
色々と思い出しちゃって、集中は欠けちゃったけど」
服の必要分は揃ったはずだ。
過去に耽っている内に服を選び終えていた。
仮想空間でファッションを取り扱う職業柄。
考え事しながら選んでると気が付いた時には終わっている事もある。
本当は気持ちを込めて服を選ばないといけないと思うんだけどね。
それほど心配なんだ……でも!
一旦頬を両手で強く叩いた。
チャラ民「しっかりしなくちゃな!
皆が明るくいられるように。
天裁の言う通り、強くならなくちゃ!
淘汰みたいに、頼れるような人になるんだ!
さっ、さっさと会計行こっ!」




