☆メインストーリー3-4 アクアリゾート到着
レイブン「あ、てめえら職務怠慢くそ女!」
銀閣「げ、しもうたわ」
金閣「団長はんはこれを見越して、うちらをこないな場所のスタッフにしたわけかぁ。
性悪やわぁ」
空港に到着したギルドハウスから降りる俺らを迎えたのは、猩騎士団の幹部、金銀の狐女であった。
俺、淘汰も流石に苛立ちが隠せなかった。
こいつらが持ち場を放置したことで、アダマス鉱山で凄惨な事件が発生しロスト者が出た。
公にはなっていないが、いじめによる集団暴行死であった。
俺は軽蔑の意を込めた笑みで迎えた。
淘汰「よう、元気そうで何よりだな。
最近は少ないらしいけど、闇討ちされねえように気をつけろよ?」
スミス「淘汰、もうしないと約束したろ?」
淘汰「別にするとは言ってないさ」
ダンケルハイト「まあ、そういってやるな。
こいつらは幹部の身分剥奪されて、下積みで雑用してるんだ。
多少は反省してる」
鋭くじいさんに窘められて目を伏せると、そこに髭面の豪傑が割り込んできた。
こいつは猩騎士団の副団長であったか?
ねこさんがすぐに反応した。
ねこさん「あ!髭おじさんだ!
生放送いつも見てます!!」
チャラ民「げ、姉さ……じゃなかった髭おじ!」
ダンケルハイト「おお、くそ雑魚配信見てくれてるやついたか!
その言葉は配信者としてこの上のない言葉だぜ!
そしてチャラ民か。
俺としては、ねるのせいでお前に身バレして気まずい。
だが上手く隠してくれているようで助かるよ。
まあ、裏で年に念を押した甲斐もあるが」
チャラ民「それ言ったらそっちにもチャラ民身バレしてるのよね。
その話は別でしましょ。
でそこにいる子は?」
すると急に織姫が俺の後ろに隠れた。
目の前にいる亜麻色の髪の騎士が気になるようだ。
年端も行かない子供だが強い力でも持つのか?
その子供は走りかけると、織姫と俺に飛びついてきた。
淘汰「わわ、なんだお前!?」
ノア「ボクは猩騎士団、団長代理ノア!
JINYAがいない間はボクが団長だよ!
全くパンダの姿しても人間だってわかるから!
それともこんな感じで変身した方がいい?」
抱きついてきたのを振り払うと、ノアは俺に合わせたのか同じく黒熊の姿になった。
余計織姫がビビる。
すると大男、髭おじが首根っこを掴み引き寄せた。
ダンケルハイト「団長代理あんまりおふざけはやめてくれやぁ」
ノア「何事もニーズに合わせた姿って大切だと思うの!
だから喜んでくれるかなって……」
レイブン「なんかチャラ民味のあるやつだなあ」
チャラ民「チャラ民ってどんなイメージなの?」
天裁「動物化だと?
GM権能の1つのはず……!」
無駄話が多い中、天裁の触れた言葉が気になった。
確かに軽々と放っていたが、動物化の能力はGMの最高権能の1つだ。
俺のこの姿も命の炎を用いて、人間の姿を変えている。
同じくGMの最高権能を扱うことができるのは、JINYAのみだ。
ノアが彼の分身である証明になるだろう。
しかしなぜここまで織姫が怖がるのだろうか?
もしやこいつが彦星に関わるのだろうか?
その理由を後ろに隠れた本人が答えた。
織姫「記憶にないのだけど、その姿デジャブを感じてなんか嫌だ」
ノア「織姫ちゃんっていうんだね!
確かに面影があるような……」
ダンケルハイト「あんまり面倒くさいことしないでくれ団長代理。
今回の仕事はお客のお迎えだぜ?
んでギルドハウスの土地選び、施設の紹介と夜のパーティーの誘いだ。
ただでさえ忙しいってんだ茶々は入れるのは後だ」
チャラ民「え!パーティーあるの!?」
織姫「やった、カルーアミルクと寿司とかつ丼ね!」
淘汰「お前ホントそれ好きな」
スミス「なるほど、随分なもてなしじゃな。
ついでにボンキュッボンなメイドを、二人ほど用意してくれると助か……グフっ!」
レイブン「なあ、ついでに医者も頼むわ、最近うちのマスター認知症が酷くて。
徘徊とかしたら困るし」
スミス「徘徊はせえへんで、ナンパはしに行くけど」
金閣・銀閣「……」
この世にはここまで冷たい視線があるのか、と思うほど二人の狐女が向けた目は怖かった。
ったく折角着いたってのに、このいつものグダグダか。
しびれを切らした天裁が、俺らに提言をした。
天裁「収まりが付かないので行動の指針について提案です。
ギルドハウスの土地決めとその手続きを、ギルマスのスミスさん。
施設説明と織姫さんの護衛を、サブマスの淘汰さん。
そして急なパーティーです。
ドレスコードの基準を満たすために、残りの私たちで商店を巡り、調達をしましょう。
そして現地の方達とも、お話ができればいいですね」
淘汰「綺麗に纏めたな。
俺やじいさんは一応用意しているが、織姫やレイブンはここ来たばかりだしな。
その方向でいいよ」
スミス「私も構わんよ。
なあ、金と銀の娘をお付きにお願いしちゃだめ?」
ノア「ねえ、おじいさん。
ボクと一緒に行かない?
おじいさんと色んな事したい!」
スミス「ガキはお断りじゃけえ!」
しかしこりゃまた随分と気が抜ける団長代理だ。
副団長もストレスは大分かかるだろうな。
まあうちのじいさんも同じようなもんだが。
織姫がチャラ民に話しかけているのが目に入った。
織姫「この前寸法計ってくれたし、服選びチャラ民任せていい?」
チャラ民「分かったよ!
ねこさん達と一緒に選ぶね!」
レイブン「っけ、今日はまだ特訓できねえのか。
まあ夜に酒飲めるんなら頑張ってやるかぁ」
レイブンに関してはかなり不満そうな声をあげたが、彼女なりにパーティーは楽しみらしくにこっとしている。
なるべく飲み過ぎて暴れないようにしてくれると助かるが。
そんな中でねこさんが落ち込んだ表情で俺の方を見ていた。
歩み寄ると小さく呟いた。
ねこさん「また織姫と、なんすね」
淘汰「……」
俺はまたどもってしまった。
前はギルドで行動するときはねこさんとが多かった。
戦闘スタイルの相性が非常によく、狩りの時もいつも同じだったからだ。
しかし状況もある。
和平条約を交わしているとはいえ、Vipuumは信用ならない面もある。
天裁でさえ庇い切れない程、織姫を狙うVipuumの脅威は大きい。
現時点だと守るとすれば俺が連れていくしかない。
なら施設の説明にねこさんも連れて行っても、とは思ったがねこさんが首を振った。
ねこさん「分かっているす。
合理的に動くには三人も施設説明に行くのはあれだし。
今の編成は納得いくっす。
だから、お土産買ってくるっすね!」
淘汰「ありがとう。
いろいろ気にかけてくれてありがとう」
ねこさん「いえいえ」
ニコッと笑った表情に、少し寂しさを感じる。
むしろ俺の方から何か渡せれば、そう思いながら背を向けた。
猩騎士団の案内を受け、俺らはそれぞれに行動する。




