☆メインストーリー 3-1 アクアリゾートの招待状 ※挿絵有
登場人物
〇現実世界名=仮想空間名
那藤太郎=淘汰
神谷亀 =???
住住男=スミス
速水剛=チャラ民
烏丸響子=レイブン
天歳秀人=天裁
ぷち姫=織姫
~現実世界・病院
俺は慣れない感覚に気が付く。
腕に何かが繋がれている感覚がする。
目を開けるとここは病院だろうか?
白いベットの上に寝ているようだ。
頭にモヤがかかった感覚であったが、高い声が聞こえ横を向いた。
「……那藤君!?」
そこに居たのは幼なじみの神谷であった。
たった1人パイプ椅子の上で座って、こちらを心配そうに見つめている。
俺は静かに呟いた。
「ここはどこだ?あの世か?
兄貴が居るんならそれで構わねぇけどさ」
「最低!!」
彼女はその言葉に鋭く反応すると、走り去っていった。
いいんだ。
こんなろくに動けない状況で、あいつと話をしたくはない。
JINYAさんに言われた事には反しているが。
看護師が入れ違いに入り、状況を説明してくれた。
現在栄養と水分補給の為に点滴の処理をしていて、状態自体は安定しているため、意識が戻り用意ができ次第退院させるようであった。
どうやら俺は自宅で意識不明の状態で、チャラ民もとい速水が見つけたらしい。
原因は分かっているが、極度なストレスと深刻な睡眠不足、栄養不足であった。
仮想空間からログアウトしたのに、意識が回復せず現時点で16時半だが、それまで3日間寝込んでいたそうだ。
そんな中、休日をはさみスミスじいさんや速水や学級委員長、担任まで見舞いに来たという。
最後の二人についてだが学級委員長とは、多分現実世界での天裁だろう。
担任は生徒の心配をして来たと思うが、色々な人がここに来たもんだな。
その中でも神谷に関しては、誰も来ない時間を狙って、学校以外の時間、ずっと俺の傍で椅子に座っていたという。
しかもその日にあった出来事を、独りで語りかけるように、俺に投げかけていたそうだ。
それを聞いたら複雑な気持ちだ。
あいつは俺の事が嫌いじゃなかったのか?
そこまでする程、俺はお前にとって必要な人間ではないはずなのに。
どうやら学校が終わり、先生の仕事が片付いた17時。
それに合わせ速水、スミスじいさん、学級委員長、担任の烏丸先生が来るそうだ。
昨日もそのメンバーで顔を出していたらしい、不思議なメンバーだ。
さて、どうしたものか。
と考えていた途端、大きな声が響いた。
「那藤少年、大丈夫か!?
あの一日に色んな事がありすぎたのに、その場に入れず申し訳なかった。
じいさんは、いや皆すごく心配したぞい」
スミスは珍しく大きい声で、話しかけた。
後ろからは、速水や学級委員長、烏丸先生と続々入ってきた。
速水、チャラ民の中の人は、スミスに方を回すと指を振る。
「じいさん、はやみん達も心配してたけど病み上がりなんだから、あんまり声大にしちゃだめだよ?
そもそもここ病院だし」
その後にかなりの長身の男、学級委員長が入ってきた。
赤い眼鏡をクイッとあげて話す。
「まず、線引きをさせてもらいますが、私は仮想空間の私とは別ですからね。
私、天歳 秀人は現実世界の学友である、あなたを心配して来ました」
「おいパンダ本当、心配かけんなよな!」
食うように先生が走りよってきた。
先生?
その表情や口調は、レイブンに一致した。
いやレイブン、お前中の人うちの担任だったのかよ!?
烏丸先生はいつものように、失言を訂正した。
「……じゃなかった。
那藤君体調は大丈夫?
昨日ね、普段つるまない天歳君と速水君が、一緒に帰ろうとしてたの。
心配して話に入ったら、仮想空間のあなた達と繋がってることを知って……。
でもとにかく先生は安心しました!」
皆一斉にわーわー声をかけてくる。
うるさいのは苦手だが、不思議と気持ちが落ち着いてきた。
「ありがとう。
こんなに心配してくれる人がいたなんて」
その時だ。
鼻声のような、酒やけしたような、それでいて女性味のある独特なあの声。
それがじいさんが手に持つ、携帯端末から聞こえた。
『相変わらず、こちらの世界のアンタは死にかけね。
大丈夫?無事に三途の川が見えた?』
「うっせ、同じ川でも天の川に帰らない、織姫には言われたくない」
軽口で発破をかける常套手段。
じいさんはその声がした、携帯端末を俺に渡した。
俺の端末だ。
じいさんはニコッと笑いかけた。
「ほい、依頼された織姫のアップグレードは終わったぞ。
チャット種類の増加、通話機能、データ処理能力強化、情報収集機能強化、そして留守電機能、コスチュームカスタマイズ機能、触れ合い機能等盛り込みじゃけぇ」
「そして以降の機能は、依頼した記憶が無いんすけど。
しかし織姫自体の性能上がりましたね」
「ああ携帯端末の中だけど、その中でも携帯端末、言わばスマホを使えるようにしたんよ。
GMなのに処理能力が微妙でなァ」
『うるさいわね。
私はGMよりも感情的な代わりに、情報処理が苦手なだけだから』
ただのポンコツじゃねぇか。
いいのか?
こんな奴を依代にしている、GMの大ボスGGMさんよ。
俺はとにかく面倒臭くなるので、必死にその言葉をかみ殺した。
じいさんは機嫌が良いようで、ニコニコしながら話を続けた。
「他にもお前さんが寝てる間に、ギルドハウスの改造とかしとったよ。
レイブンさんとかいう戦闘狂が入ったから、戦闘シミュレーション施設、消費アイテム補給自販機とか適当に用意した。
あそうそう他にも、ギルドハウスを空とか飛べるようにしたわ」
随分と力を入れたなぁと感心していたが、さらに斜め上の仕事に唖然とした。
レイブンの中の人、おしとやかを装う烏丸先生は肩をすぼめた。
「いやぁ、この工学博士のやる事ときたら規模が違ぇのなんのって!
……すみません、失言しました。
身近にこんな心強い方がいるのは助かります!」
「昔からこういう作業は、ずっとやっていられるタチでね、好きでやった事だよ。
てか時々垣間見える、堅気じゃない雰囲気がめちゃくちゃ怖いんじゃけど」
ヤンキー系が苦手な為、顔をひきつらせながら話しているスミス。
その様子を見ながら天裁の中の人、学級委員長の天歳は顎に手を当てた。
「住 住男さん。
経歴については不明なのですよね」
「ああ何、私はだだのじじい。
強いて言うならガラクタいじりがちょっと好きなだけさ。
ところでここに来てだが那藤少年、お前さんに報告がある。
良い報告とグレーな報告と悪い報告だ。
どれから聞きたい?」
天裁の質問を上手く切りかわすと、じいさん不意に三択を投げかけてきた。
性格上問題が発生したら、直ぐに解決しないと不安になる。
しかし先に良い話を聞いた方が、後は悪い話の問題解決に集中できる。
だから悪い話は後に聞くことが多い。
「良い方から順に聞いてもいいですか?」
「猩騎士団からアクアリゾートへの招待が来た。
お前さんの体調が整い次第、というかもうそろ終業式だったかね?
そこで夏休みに行きたいと思う。
皆で疲れを癒していこうや。
これは微妙なラインの報告。
一応既に察してると思うが、私の権限で天裁をegoに加えることにした。
行く宛てがないから匿う形だな。
構わんか?那藤少年、いや淘汰」
「俺らegoのギルド理念は、責任を持って自分のエゴを叶える。
来るは拒まず去るは地獄まで。
ギルマスがいいのなら、俺も別に構わないですよ。
敵に置くとタチが悪いから味方に置きたいし、面倒なやつだから手元に置いて監視した方がいいって、今回の件で分かったし。
そして問題は?」
「天裁が入った事がどうやら原因らしい。
ねこさんがギルドに退団届けを出した」
「はぁ!?」
俺は思わず体を起こし驚いた。
まぁ点滴の身、すぐ周りに怒られたが




