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2050~ステータス1の廃人  作者: 烈火
第二章『厄災軍師と駄美男子』
23/47

☆メインストーリー2-3 厄災軍師

~仮想空間・アダマス鉱山中層


とうとう来たか。


厄災軍師とよばれた男は崖の上にいた。

列車から降りる駄美男子と奇妙な見た目のパンダを見降ろしている。



私はとある人物について調べていた。

かつて仮想空間最大団体【(あかいろ)騎士団】の精鋭。

そして仮想空間最強武装組織【Vipuum(ブィップーム)】の両方に所属し突如消えた男。

彼は地獄(ヘル)と呼ばれる空間において年間何万人もの犠牲者の中一度も死なずに戦い抜きロストも未だに確認されていない。


仮想空間には様々な都市伝説があるがその中でも私はこの案件に興味を抱いた。


都市伝説に縋りたい程、現在の状況は絶望そのものだ。


私は猩騎士団から過激派として危険視をされた上、Vipuumを敵に回している。

そして味方は利害の一致からアバター殺しを楽しむ劣悪なPKギルド。

これは頼る相手が居ないから仕方なく現状同盟を組み利用している状態だ。

これからの動きは


その都市伝説とされた人物に左右される。


"アンス"


彼が本当に存在するのか。

そして存在した場合彼への問い


「モノクロの世界に白はあるべきか?」


これに対する答えによって変わる。

私が用意した策が今度こそ実る事を信じたい。


天裁「邪魔だけはやめてください。

駄美男子さん」


厄災軍師はそう呟くと奥歯を噛みながら姿を消した。



~仮想空間・アダマス鉱山下層


終着駅はアダマス鉱山に接していて列車を降り少し経つと入口が見えた。


淘汰「何だろう。

アバターがロストした後の特有の匂いがする」


Mr.B「おや?

それは地獄特有の匂いという訳ですか?」


俺、淘汰は感覚的にピリッとした匂いに足を止めた。

振り返るとチャラ民が地獄という単語を聞き顔を青ざめたのが見えた。

レイブンは逆に息を高揚させている、列車内でテキーラ飲んでやがったからな。


レイブン「地獄?

いいじゃん、楽しそうな響きで!

んでロストとか地獄ってなんだ?」


チャラ民「ロストに関してはさっき説明したでしょ!

仮想空間での肉体、アバターが死ぬ事だって!

加えて、再度アバターを作るには半年かかるんだ」


織姫に関しては腕を組んでイライラしていた、早く進めと言わんばかりだ。

俺は地獄の説明とMr.Bに依頼の確認をすることにした。


淘汰「地獄は人口の1割であるレベル80以上の者が入れる。

倒れたら10分後に復活ではなくロストする危険地帯、だがこことは関係ない。

今回の依頼について確認をしたい、Mr.B。

推測だがこのダンジョンは以前より適正レベルが上がっているんじゃないか?」


Mr.Bはその言葉に非常に残念そうにため息を付いて、背を向けると列車内でも見せた聞き覚えのある声を出す。


Mr.B「やはり俺の判断ミスか」


淘汰「Mr.B?」


声が聞こえたのかダンジョンの中から二人組の金髪、銀髪の女性が姿を見せた。

両者長い髪に、対となる服装、そして全く同じ顔と一瞬だけ見ても共通点が多い。


金閣「おや、団体はんは珍しいなぁ?

うちらはここの管理者、金閣と銀閣どす。

金さん、銀さんって呼んどおくれやす。

あんたらは東から来たん?」


銀閣「金さん私らここ案内した方がええんとちゃう?」


チャラ民「わわ、方言だ!

しかも二人ともそっくりだね!

双子?」


銀閣「せやで。

そんでな、ここは猩騎士団が管理しとってん私らは西の支部の幹部って訳なんや!」


チャラ民「わぁ、猩騎士団って広く活躍してるんだ!」


俺が慣れない話し方に戸惑っている中、チャラ民の相変わらずのコミュケーション能力の高さに驚かされた。

やっぱ真似出来ないなぁ。

そう思っていると機嫌悪そうな表情を見せたMr.Bがその会話に割り込んでくる。


Mr.B「暇そうにされておりますが管理のお仕事は一段落つかれたのですか?」


金閣「うちらみたいな身分はそんなんやらへん。

そないのは中間管理職の仕事やさかい」


銀閣「私たちは暇やから気分で行動してる訳や。

まぁそこそこお金はたいてくれればダンジョン攻略まで手伝ってもええで?」


成程、なんとなくだがこの先のダンジョンが初心者に向かなくなってしまったのが分かった気がする。

さておき、まず攻略をしたいと依頼をされたのに攻略するためにここでお金を出すのは本末転倒だ。

ただそうは言ってもどう行動するかを決めるのは依頼主ではある。

俺はMr.Bの方を向くと


Mr.B「ははは、冗談も大概にしてくれたまえ、如何にツインビューティといえど美しくない。

私はこのモノクロビューティ、いやマイビューティフルフレンズと攻略しに来たからノーサンキューさ。

加えて言えば君達よりは信用があるからね」


織姫「いつから友達になったの?」


突如される友達扱いに織姫から疑問を即座に受けるMr.B。

彼が困り気に織姫を説得しようとした途端、口をへの字に曲げた銀閣が声のトーンを張り上げた。


銀閣「身分を履き違えるような犬にはなんも言うことはあらへんで!

下っ端から聞いとるわ。

自分、最近ここに顔出してるっていうとるけったいな人物、駄美男子やろ?

なぁ、金さんこいつは放置してもええと思うわ」


金閣「ほう?

うちもこの男は構わへん。

ただ気になることがあるんやけど。

そないまで言うそこのパンダはんの名前が気になるなぁ?」


話しかけられた。

普通の相手ならまだ話せないことは無いが慣れない話し方をするこの二人にどう言葉を返せばいいのか分からない。

しかし皆の表情があまり良くないのを察しここは何か言わないといけないのは感じる。

とりあえず考えると沼にはまる気がしたのであまり考えずに言うことにした。


淘汰「名前はいい、もはやパンダって呼んでくれた方が楽だ。

とりあえずこれ以上猩騎士団の印象を下げたくなかったらさっさと持ち場を探して戻るんだな」


その言葉を聞くと金閣はにやりと笑い。


金閣「そうか、"トウタ"って言うんやね。

分かったわぁ行きましょ銀さん?

あ、言うとくけどここの適正レベルは1から上がって30やで」


銀閣「うーん、やけにこの仮面の男誰かに似てるようなぁ……。

あ!待ってぇな、金さん!」


持ち場へ行くのかと思えば二人とも近くの列車に乗っていくのが見えてあまりのやる気のなさにため息が出た。


名前は話せば表示されてしまうので無理に隠す必要はなかったか。


するとレイブンはそれをまるでカラスのように鋭く睨み静かに怒りを燃やした。


レイブン「腐ってやがるな」


チャラ民「猩騎士団ってこんなもんだよ。

上下関係は激しくて仲悪いし、ダンジョン管理という名目で狩場を独占するし」


Mr.B「それは本部から遠い末端部だから腐ってるのだと私は思いますってかそう信じたい!

さてそれはおいてレベル30が適正なら私は積極的に戦えないにせよレイブンさんと織姫さんを守ることはできますよ!」


レイブン「荷物になる気はねぇ!」


織姫「前衛、殿(しんがり)、的役頼んだわ」


まあ、猩騎士団が昔から腐りきってるのは知った事だ。

人間は集団が大きければ大きくなる程腐敗が出てくる。

見えないとしても人の心には黒いカビがあってそれらがくっつきあえば大きくなってカビが広がっていくのだ。

だから猩騎士団だけが腐っているのではない、人間という根本的な汚れが多く集まる場所程腐っているだけだ。

俺は複雑にその現状を感じながら、意気揚々とダンジョンへ歩いていく彼らを見つめた。

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