☆メインストーリー1-5 (T-T) ※挿絵有
~現実世界・那藤の部屋 深夜
「……うう!苦しい」
意識が戻った時には心臓と呼吸が激しくなり手足の末端部が氷のように冷えきっていた。
久々の戦闘による緊張の反動がきたのだろう、胸がとても苦しい。
手元には無事ログアウトと書かれたタブレットがあったが大きな音を立て地面に落ちた。
今まで寝ていたベットから床へ鈍い音を立て落ちると近くにあるビニール袋を死にものぐるいで掴み取り口を覆い、過呼吸による酸素過多を抑えた。
タブレットからは織姫からの吹き出しが来たのだろうかひっきりなしに鳴り響く。
母親は色々とあってこんな状態の俺でも放置してる、だから何かあったら速水に電話するのだが今回はマシな方だ。
徐々に収まり深呼吸をした。
この程度なら大丈夫そうかもな。
折角色々と丸く収まったのにこんな時に騒動なんて起こしたら……。
その時だ
プルルル!
とタブレットが勝手に電話をかけた。
電話番号は
119
!?おい待て!……う、苦しい。
直ぐに電話から声がする。
「はい、救急です。
大丈夫ですか?何かございましたか?」
俺は呼吸を押し殺して震えながら冷たい手で画面をタッチする。
「大…丈夫です、ごめい、わく……お掛けしました」
直ぐに電話を切り地面に突っ伏す。
誰だ、勝手にこんなことをしやがったのは!
苛立ちまた呼吸が早くなったので袋を取ろうとしたら再び電話が開き勝手に入力画面が出てきた。
よく見るとぷち姫が一生懸命に動いてボタンを押している。
震えながらぷち姫を指でタッチして弾くと飛んでいったので電話画面を閉じる。
胸を抑えながら大声で喚くように言った。
「こ……れは、過呼吸だ!
落ち着けばおさ……まる何も、するな!」
~仮想空間・那藤の部屋 夜更け
夏ではあるが暖房をつけ上着を着てベッドの上に座った。
それでも寒く布団も体にかけている。
タブレットをやっと手に取り声をかけた。
するとぷち姫から吹き出しがでてきた。
『(T_T)』
「いや、ふざけてんのか?
……余計な事までしやがって!!」
『これは今の私の感情よ!
あの襲撃事件の時から心配とか通り越して胸が突き刺さるような気持ちだった!
初めてよこんなの!』
「……ごめん」
俺は顔文字に激昂したがその本心を聞きはっとした。
確かに珍しく殺気立ってしまったがよくよく考えれば何も知らない人が見たら心配をするだろう。
それ以上に人ですらない、人の心を知らないGMが心配をし涙をしたのだ。
涙をするなんて想定もされてないアプリの設計のせいで彼女考えに考えた最善がこの顔文字なのではないか?
そう考えると俺は気まずくなり目を伏せた。
『情緒不安定ね』
「うっせ、もう平気さ。
でも心配してくれてありがとな」
余計な一言しかない。
しかしこのイラッとくる発言が血圧を上げるのか少し気付にはなる。
俺は独り言のように仮想空間について口を開いた。
仮想空間への行き方は簡単だ。
俺達人間は既に錠剤タイプのナノマシンを摂取し結果として脳に機械が埋め込まれている。
これはGMの指示で全人類が。
ところで無線とかって昔からあるよな。
あの仕組みを利用してタブレット等を経由しサーバーから脳へ仮想空間のデータを送って夢を見るという形で仮想空間に入れる。
人によって個人差はあるがごく稀に情報処理能力や過度な集中力によって脳や精神に負荷がかかり強い反動を食らう。
『ふーん頭良いの?』
「医者からは高機能自閉症とかなんとか言われたが別に勉強が出来るわけでも芸術に長けている訳でもない。
会話が上手く噛み合わない事はあるが一応学校も行けてる。
ただ兄貴に比べて俺は何も出来ることなんて何もなかったがな」
『え、お兄さんいたの?』
「忘れろ。
絶対に兄の話は今後一切なしだ!
じゃなかったらスミスにお前を返す!
あと今日の事もだ、一切だ!」
『わ、分かったわよ。
いつものステイね』
ついうっかり口を滑らせてしまった。
白黒となったあの日々を思いだしたくない。
噛んだ唇から少ない鉄の味がほんのり舌に落ちそれは薄まり喉を流れる。
そして再び返ってきた香り。
何度も自分を落ち着かせてきたその血なまぐさい溜息を吐いた。
「はぁしっかし心配かけたとはいえ顔文字は流石に考えものだよな」
『なににやけてんのよ。
ほんとに心ぱ……』
「俺から表情とかアップデート出来ないかじいさんに頼んでみるわ。
そうすりゃ少しは吹き出しの内容もマシになるんじゃねぇか?
んじゃもう俺は寝るわ、疲れた」
『(^-^)』
だからやめろってその顔文字。
俺は思わず笑いを堪えて目をつぶった。




