表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
涼宮鷹尾の歴史改変日誌~令和のアラサー女子、明治の時代に転生して無双する。電子の技術は最強です!~  作者: 島風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/64

64九六式陸攻開発史

「お願い致します。我がスバルにCFRPの技術を恵んでくださいまし!」


「お嬢様。肘の位置に気高さが残っております。恥も外聞も捨てると覚悟した以上、全力で取り組んでください。そうでなければ、私のおもちゃたるお嬢様の位置には相応しくございません!」


「お願い致します!」


私は脇を締め、肘を畳にぴったりとつけて、更なる土下座を披露する。


「お嬢様、畳に頭を擦りつける際、わずかに髪が崩れるのを気にする様な迷いが見えました。わたくしはその一瞬の虚栄心を見逃しません。真に心を折る土下座とは、額が畳の目に食い込むほど、文字通り額の皮を擦り剥く覚悟が必要にございます」


「おねがいしまふ」


プライドがずたずたでもう、既に気持ちが折れている私に更に追い打ちをかける茜。


「沈黙の使い方が下手くそです。お願いします! と叫ぶだけでは、ただの三流。頭を下げた後、三秒ほど震える背中を見せ、すすり泣くような吐息を一つ・・・。これだけで、旦那様のサディスティックな笑みも、少しは罪悪感に変わるというものです」


「茜、私はそんなサディスティックな趣味は持ち合わせていないぞ」


「いえ、わたくしがお嬢様の完璧な土下座を見たいのです」


それ、茜の願望じゃ? それに、ここまでしてるのに・・・しどい。


こうなった理由だが、九六式艦戦の時と同じ紆余曲折を得ている。


史実の中島と違い、民間で大型機の経験があったスバルに八試中型攻撃機(後の96式陸攻)の試作要求があった。


・・・結果、惨敗。理由は艦戦と全く同じだった。CFRPを採用した三菱案は同じ発動機を使うスバル製試作機を凌駕した。


そこで、茜にもう一回頼んで、旦那さんの吹雪さんにお願い(土下座)をするに至る。


「熱意は認めますが・・・その、先日その話は快諾した筈では? 私は何かおかしな現象に巻き込まれているのですか? デジャブにしか見えないのだが」


「え? ですが、茜にそれとこれとは話は別だと言われまして・・・もう一度土下座、いえ、お願いに参ったのですわ」


「ですから、前回の戦闘機の時に契約は成立しましたから、涼宮の御当主様に頭など下げられたら、こちらが困ります。どうか、頭をあげて下さい」


「へ? 私、土下座する必要なかったの? でも、茜がそれとこれとは違うって?」


「嫌ですわ。戦闘機それ攻撃機これとでは違うに決まっております。最も、材料の特許は同じ話と存じます。お嬢様と違い、技術の世界はとんとわかりませんのでご容赦下さいませ」


こてりと可愛く首を傾げる茜に再び殺意が湧く。返せ! 私の渾身の土下座! 無意味じゃねーか!




九六式陸攻はロンドン軍縮条約の結果誕生した傑作機だった。水上艦の増勢が不可能になったので、長距離攻撃機の開発に乗り出した。そして搭載量ペイロードを制限し、代わりに航続距離を延ばす。他国にはない発想。実際、史実では大戦の初期、英国戦艦を撃沈する手柄も立てている。


・・・しかし。この陸攻という兵種は犠牲が大きい。何しろデカい的の上、防弾は潔く一切無し! しかも燃料を胴体にも翼内にも満載している。着弾したら一発で燃えるワンショットライターと米軍から揶揄された位だ。


私は気持ちを入れえて、吹雪様に意見を伝えた。


「吹雪様。三菱の飛行機の性能は素晴らしいものでございます。ですが、防弾と燃料タンクのシーリング機能が不足しておりますわ。涼宮の系列、帝人にてセルフシーリング・ケブラー、ハニカム型爆発防止材、自動不活性ガス循環システムの研究がされております。どうぞお使い下さる様、三菱の設計の方にお伝えください」


「ありがとうございます。ですが、ご自身で堀越技術師などにお伝え頂いた方が良いのでは? むしろ何故私に伝言を頼むのですか?」


「だ、だって! あいつむかつくんですもの!」


「お嬢様は大人げがないのです」


茜に散々やり込められた。来年の夏、覚えてらっしゃい。


太陽が照りつける中、私はお洒落で露出の少ないギャルスタイルを茜に強要してやろうと企んでいたが、どうにも腹の虫が収まらない。あのCFRPでの惨敗・・・茜と吹雪さんの連携プレイに一杯食わされた屈辱は、土下座二回で水に流せるほど安くはないのですわ。


土下座したの・・・私の方だった。・・・更に不愉快になった。


そんな折、舞い込んできたのが十試艦上攻撃機(後の九七式艦攻)の試作指示。


「・・・ふふ、ふふふ。いいでしょう。やってやりますわ。もう自重なんて言葉は、私の辞書から削除致しました」


私はスバルの全リソースを投入し、私の未来知識と海軍工廠の高木さんの変態的技術力を結晶させた怪物を産み落とすことにした。


十試艦攻・スバル最終決戦仕様(SAE-X B5N)


それはもはや、第二次世界大戦の機体と呼ぶにはあまりに無茶な仕様。


心臓部に排気タービン付栄一一型1,400馬力。EFI(電子制御燃料噴射)と過給圧電子制御を完備し、パイロットの手を一切煩わせずに成層圏まで一気に駆け上がる。


アビオニクスには光ファイバー慣性航法装置により、大海原のど真ん中でも迷わず母艦へ帰還。さらに全周囲小型電探による警戒センサー、デジタル・コンピュータによる射撃演算システムを搭載。


翼内には20mm三銃身ガトリング砲二基。翼前縁の小型電探と連動し、800m先の敵機をHUDの光のレティクルに重ねてトリガーを引くだけで粉砕する。攻撃機でありながら、戦闘機を返り討ちにするマルチロール機。


電子戦能力として、翼下のポッドには、令和の時代の小型機程度のフェイズドアレイレーダーを装備。100km先の敵機や敵艦を捉え、ECM(電子妨害)で敵艦のレーダーを完全にシャットダウンする。


その上、発動機、フラップ、スラットも電子制御でSTOL(短距離離着陸)性能すら持ち、20mもあれば離発艦可能。


兵装は800kg赤外線誘導滑空爆弾か対艦ミサイル装備。


「ふふ、そうね。今度こそ、あのゴミカス野郎・・・いえ、堀越二郎技師に『今どんな気持ち? ねえどんな気持ち?』と聞いて差し上げますわ。・・・茜、海軍はこの万能機をどう見るかしら?」


「おそらく、あまりに万能すぎて、これ1機で艦隊全部いらなくね? なんて言い出す艦政本部の人たちが、ショックで寝込まないかだけが心配ですけれど。飛行機よりお嬢様を戦略兵器と見て、周囲に電探連動全自動・不審者撃退機を配備し、お嬢様の身の確保を最優先にしますわ」


「・・・茜。私の自由を電探で奪う気かしら?」

読んで頂きまして、ありがとうございます。

・面白かった!

・続きが読みたい! と思っていただけたら、

ブックマーク登録と、評価(【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に)して応援していただけると嬉しいです。

評価は、作者の最大のモチベーションです。

なにとぞ応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
それならもう翼端に流線型の増槽を固定してチップタンクにすれば、誘導抵抗も減ってさらに航続距離も伸びるでしょう。
炭素繊維やデジタル機器満載で、機体価格が暴騰して数が揃えられそうにないな・・・
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ