表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
涼宮鷹尾の歴史改変日誌~令和のアラサー女子、明治の時代に転生して無双する。電子の技術は最強です!~  作者: 島風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/64

58ロンドン軍縮条約

一九二九年九月。 初秋の風が運んできたのは、一人の巨星の訃報でした。


田中儀一首相、死去。享年六十五歳。 新聞がその死を悼む記事で埋め尽くされる中、私は静かに誌面を見つめていた。史実とは違い、柳条湖事件という関東軍の自作自演の暴走を食い止め、名誉を守り抜いた末の最期。それは彼にとって、せめてもの救いだったのかもしれない。


「・・・すまない、鷹尾」


隣で、旦那様である一樹にいが、絞り出すような声で呟いた。私は一樹に無理なお願いをしていまった。二十世紀後半にようやく確立されるカテーテル手術を、半世紀も前倒しで実現してほしいと。


「ううん、私の方こそ無理を言ってごめんね。・・・私が強欲すぎたのよ」


一人でも多くの命を救うことが、かつて母に命を救われた自分の責務だ――そう語る一樹にとって、治療の糸口が見えていながら届かなかった悔しさは、察するに余りある。


一樹(にい)、ですが、田中首相の死に顔はとても穏やかだったと。・・・自分の判断に満足して天に召されたのだと思いますわ」


「・・・ああ。だが、俺が・・・」


これ以上、自分を責める言葉を吐かせたくなくて、私は一樹を強く抱きしめた。


にいは、泣いていた。医術の天才であっても、神様にはなれなかった。その悔しさを分かち合うように、私はただ、その背中に手を回し続けた。




さて、しんみりしてばかりもいられない。田中様の急逝を受け、次なる舵取りを任されたのは、憲政の神様こと犬養毅様。対話を重んじ、政党政治の理想を追う彼が、困り果てた様子で我が家を訪ねてきたのは、それから間もなくのことでした。


「首相、ロンドン軍縮会議の件ですわね?」


「・・・うむ。実に困っておるのだよ、涼宮伯爵嬢」


困っていると言う割には、どこか飄々としたその姿。流石は対話の達人ですわね。史実では、この会議が招いた統帥権干犯問題が、犬養自身の命を奪う五・一五事件の引き金となる。政党政治を軍事政権へと変質させてしまった、あの忌まわしき悲劇。


「まずは、ワシントン条約ほど厳しい内容にはならないと思いますわ」


「ほう? 何故そう断言できるのかな?」


「今の日本は、米英に対して圧倒的に経済が潤っています。あちらの金が尽きたからといって、こちらの成長を止める謂れはありませんわ。落日を迎えつつある英国の焦りに付き合う必要などないのです」


「・・・容姿端麗、頭脳明晰とは伺っておったが、正に才女じゃな」


あら。そんな風に褒められると、お鼻がピノキオのように伸びてしまいそうですわ。あ、あれは嘘をついた時でしたっけ?


「日本は後ろ指を指されるようなことはしておりません。堂々と対米七割を主張なさってください。・・・ですが、首相。あなたの杞憂は、涼宮の発案で造らせた大隅級強襲揚陸艦と松級駆逐艦が、制限に引っかかることでしょう?」


「その通りじゃ。せっかくの新造艦を廃棄せねばならぬなど、あまりに無体な・・・」


「あら? 別に必要がなければ、廃艦にして鉄ゴミとして溶かして、平和的なものにリサイクルしてしまえばよろしいのでは?」


「な・・・君が造れと言ったのではないか! 悔しくないのかね!?」


犬養様が目を丸くします。正直、私にとってはこれらも経済対策(公共事業)の一環。鉄のリサイクル率なんて百パーセントに近いですし、あまり執着はありませんの。


「ふふ、では逃げ道を教えて差し上げますわ。・・・あの船たち、実はプログラムという魔法を書き換えるだけで、出力を半分以下に調整できますの」


「・・・そんなことが可能なのか?」


史実を知る私は、最初からこの罠を仕込んでおいた。


ロンドン条約の制限対象は、主に二十ノット以上の軍艦。ならば、一時的に出力を下げて、最大速力を二十ノット以下に偽装してしまえばいい。


「米英には機関を更新して出力を下げたと言い張ればいいのです。松級はコーストガード(沿岸警備隊)へ、大隅級は軍籍を抜いて民間船籍のただの輸送船にしてしまえば、無制限枠で維持できますわ」


戸惑う犬養様ですが、中身は私が設計した電子制御の塊ですの。ボイラーの圧力、蒸気加減弁、ノズル・カットオフ制御・・・それらをちょちょいと弄れば、燃費効率を保ったまま、公式スペックを書き換えるなんて造作もないこと。


私が薔薇が開くような極上の微笑みを浮かべると、横から茜が呆れたように呟きました。


「お嬢様は、本当にせこいですから・・・」


「・・・茜。後で邸の裏庭に、肥料として埋めてあげるわ」




松級駆逐艦


基準排水量, 1,200 トン


全長, 100 m


最大幅, 9.35 m


ボイラー, ロ号艦本式重油専焼水管缶×2基 シフト配置


主機, 艦本式ギヤード・タービン×2基 シフト配置


出力, 42000 馬力


速力, 27.8 ノット(19.8ノット)


兵装, 五十口径三年式12.7cm単装速射砲×1基 九十一式20mm三銃身ガトリング砲×4基(電探内蔵式射撃管制装置x4) 九十一式 20mm単装機銃×8挺 九〇式3連装61cm 魚雷発射管×1基(電子制御射撃管制装置) 九十一式対潜弾投射機(対潜弾16個) 八一式投射機 2基、装填台 2基 爆雷36個 後日装備 対艦誘導弾連装x2基 V-BAT(無人偵察機)


レーダー, 22号電探対空


12号電探対水上


ソナー, 九一式水中聴音機 九一式探信儀×1組




大隅級強襲揚陸艦


基準排水量, 9,200 トン


全長, 152 m


最大幅, 19.5 m


飛行甲板, 全長127m・全幅21m


ボイラー, ロ号艦本式重油専焼水管缶×2基 シフト配置


主機, 艦本式ギヤード・タービン×2基 シフト配置


出力, 42,000 馬力


速力, 24.8 ノット (19.8ノット)


兵装, 九十一式20mm三銃身ガトリング砲×4基(電探内蔵式射撃管制装置x4)


レーダー, 22号電探対空


12号電探対水上


搭載機,

九○式戦闘機12機


V-BAT(無人偵察機)


搭載艇, 上陸用舟艇 (大発動艇 最大27隻)

読んで頂きまして、ありがとうございます。

・面白かった!

・続きが読みたい! と思っていただけたら、

ブックマーク登録と、評価(【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に)して応援していただけると嬉しいです。

評価は、作者の最大のモチベーションです。

なにとぞ応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ