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涼宮鷹尾の歴史改変日誌~令和のアラサー女子、明治の時代に転生して無双する。電子の技術は最強です!~  作者: 島風


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43蔣介石軍の北伐

1926年。中国大陸では広東を拠点とする蒋介石率いる国民党軍が、「軍閥打倒・中国統一」を掲げて北へと進軍を開始した――世に言う「北伐」の始まりですわ。


東帝政ロシアの成立によって共産主義の浸透が食い止められたこの世界。革命の火種は湿り、中国にはアメリカの支援を受ける蒋介石軍と、それに対峙する有力な軍閥たちが割拠する構図が生まれていた。


「・・・このままだと、あと二年ほどで張作霖さんが『エグい』殺され方をするのよね」


私が地図を指先でなぞりながら呟くと、隣に控える茜が眉をひそめた。


「お嬢様、奉天軍の張作霖様のことですか? アメリカが支援する蒋介石軍と激突して戦死される、と?」


「違うわよ。蒋介石軍にバチボコにされて、這う這うのほうほうのていで満州鉄道に乗って奉天へ逃げ帰る途中――日本軍に列車ごと爆殺されるの」


「爆殺・・・ですか」


「現場、見てみたいわよね? ありよりのあり、よね?」


「ええやん~まじ楽しみ~」


「でも、爆殺されるのなして?」


「張作霖いらね~。マジでオワコン。視界に入れるのも無理ゲーなんだけど」


私がにやりと笑うと、茜は深いため息をついた。


「茜、覚えたばかりのギャル語を使いたいでしょ? バラバラ死体が『エモい』とか言いたいんでしょ?」


「失礼しました。お嬢様のサイコパス発言を止める役割を放棄して遊んでしまいました。・・・ですが、お嬢様。列車ごとアグレッシブに爆殺された遺体を見てみたいというのは、淑女の域を完全に超えております」


「ちょっと、人聞きが悪いわね! まさか私のこと、本気でサイコパスだと思っていないわよね?」


「お嬢様は何処に出しても引けを取らない、一級品のサイコパスですわ」


茜がにっこりと完璧なドヤ顔を決めた。・・・しまった、完全に彼女の術中にはまってしまった。


気を取り直して、私は大陸の地図を広げた。


「地図で見れば一目瞭然だわ。蒋介石は、中国の心臓部である長江を短期間で手中に収めようとしている。史実では、この進軍が日本の利権と衝突して『山東出兵』や『張作霖爆殺事件』に繋がるの。・・・けれど、このルートをよく見て。彼らが進んでいるのは、まさに『物流の動脈』そのものだわ」


武漢、南京、上海。 これらの要所を火の海にする必要なんてない。涼宮財閥が先回りして、港湾、鉄道、銀行――ありとあらゆるインフラを「経済支援」という名目で押さえてしまえばいい。


「蒋介石が南京に到達した時、そこにある全てのインフラが『涼宮』の所有物になっていたとしたら、彼は日本と戦争をするよりも、『涼宮と提携する』方が遥かに得だと気づくはずですわ。軍隊が歩く前に、資本を歩かせる。・・・北伐のルートは、私にとっての『巨大なお買い物リスト』に過ぎませんの」


現在、蒋介石が相手にしているのは、張作霖が「代理戦争」をさせている呉佩孚らの中間軍閥。直接の激突はまだ先だもの。


「1926年の今はまだ、お互いの顔を睨む距離にはいない。けれど蒋介石が長江を渡った瞬間、張作霖の背筋には冷たいものが走ったはずだわ」


私は地図上の「広東」と「北京」に指を置いた。


「史実では焦った張作霖を関東軍が見限り、あの前代未聞(この目で拝みたい!)な爆殺事件へと繋がっていく。・・・けれど、今ならまだ間に合いますわ。涼宮の資金力で、北伐を平和的な『南北合体』へと変えてしまいましょう。蒋介石の野心を満たしつつ、張作霖を満州の王として存続させる。そうすれば、関東軍が暴走する口実を根こそぎ奪い取れますわ。武力の衝突が起きる前に、彼らの『お財布』を一つにまとめてしまう。これこそが、淑女による大陸平定の極意ですの」


蒋介石が上海の浙江財閥と手を結ぶ前に、涼宮が「拒絶できない融資」を持ちかける。お財布は二つも要りません。 張作霖には『満州の防衛と経済発展に専念しませんか?』と囁いて衝突を避けさせ、蒋介石には『北京を急がず、まずは上海の経済安定を』と進軍をコントロールする。


「関東軍の暴走が始まる前に、大陸の軍閥たちを『涼宮の代理人』に変えてしまうのです」


「浙江財閥。彼らは軍隊という名の『暴力』を、お金という名の『手綱』で操る術を知っている――善十郎様がそう仰っていました」


茜の慧眼も、最近は恐ろしい。 私自身も精進の日々だけど、幸いこの身体は高性能。最新のCPUに前世の記憶をぶち込んだようなハイスペック、おまけに美貌とスタイルまで・・・。いえ、お胸に関しては前世分を足しても、隣に立つ茜に負けている気が・・・。


私が涙目で茜を見ると、彼女はなぜか深く一礼してドヤ顔を再度決め、一歩下がった。なんかムカつく。


「共産勢力がまだ中国に深く浸透していない1926年。今はまだ、地中に埋まった地雷のようなものですわ」


いずれ蒋介石は「共産党を切れ」という浙江財閥の、あるいは涼宮の要求に応じるだろう。その結果、中国南西は「国民党 vs 共産党」の泥沼の内戦へ突入する・・・いえ、突入「させる」のです。


「10年後、万が一日本がアメリカと戦うことになっても、その頃には終戦しているはず。しばらくは、私とアメリカとの『代理戦争』に終始してもらいましょう」


そして最後に、私は冷徹に付け加えました。


「自分たちの未来を決めるのは、自分たち自身。その後、私と日本は関知いたしませんわ」

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― 新着の感想 ―
FDRのDは上海で財を成したデラノ家のD。 だから宋美齢の話にホイホイ飛びついた。 それが真相。 つまり、涼宮が浸食すればするほど対米戦の火種がデッカくなる。
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