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【書籍化】元・最強暗殺者の騎士生活 〜世界最強の暗殺者、超一流の騎士団に拾われ無双する〜  作者: 和宮 玄
第二章

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55 返り討ちに遭ったらしい

(報告)なんとか書けました。

日間ランキングの調子が良い限り、頑張って毎日更新は続けるつもりです。


 十数分後。

 俺たちはルナに連れられ、詳しい話を聞くべく第六騎士団室に来ていた。


 どうやら彼女の前にルドが現れた場には、アマンダさんも居合わせてたらしい。

 いつものソファーに腰を下ろした俺たちの向かいに、アマンダさんがルナと肩を並べて座っている。


「それで……軽く話は聞いたんですけど、客観的にアマンダさんから見て、ルドの様子はどうでしたか?」

「そうだな。ルナの兄君は少々……その……」

「目がバッキバキで、なんか私のこと恨んでましたよね!?」


 気を使ったのか、言い淀んだアマンダさん。

 その言葉をルナが引き継いだ。

 現場を詳細にイメージしたいから、できれば第三者の口から聞きたかったが。


 まあアマンダさんも「あ、ああ」と頷いているし、間違ってはいないのだろう。


 いつかルドがここ──オイコット王国の王都にやってくるとは思っていた。

 でも思ったよりも遅かったな……正直、忘れかけてたぞ。


「ルナちゃんも良かったわね、アマンダさんがいてくれて」


 リーナが言うと、ルナは伏目がちになって小さく頷いた。


「本当にね。今日に限ってアマンダさんと一緒にお昼を食べに出ていたから。……アマンダさん、ありがとうございました」

「いや、私は当然のことをしたまでだ」


 そんなルナに、アマンダさんは優しく微笑む。

 今日は昼食を取りに二人で街に出たらしい。

 その時、ルドと遭遇したと。


 ここに来るまでの間、馬車の中でルナから聞いた話では、


『ルナ……やっと見つけたぞ』

『お、お兄ちゃん!?』

『テオルの屑に唆されてお前が……お父様をッ! とにかく、早く帰ってこいッ』

『ちょっ、ちょっと! いやー!!』

『──そのあたりにしておけ。ルナが嫌がっているだろ』


 腕を掴まれ強引に連れて帰られそうになったところを、アマンダさんが間に入り、なんやかんやあって結局──腕力でルドを追い払ってくれたそうだ。


 ……正直、俺は語ってくれたルナの大根具合の方が気になった。


 思い出し笑いをしそうになっていると。


「お兄様、どうしたらいいかな?」


 えらく弱気な口調で、ルナが尋ねてきた。


「私が一人の時にまたルドが来たら……」

「……なら、俺たちと一緒にいるか?」


 前は「問題ない」と言っていたが、昔からルナは兄に対して反抗できないような印象を受けてきた。

 不安に思う気持ちもあるのだろう。


「っ! お兄様がそう言うなら、じゃあそれ──」

「あっ、でもな……。今はフラウディアの護衛に学園、ダンジョン探索。そっちは事務の仕事があるんだろ? 流石に俺たちとは厳しいか……」

「……ちえっ」


 今の舌打ちは多分気のせいだ。うん。


「ならば朝、宿舎からここに来るまでは私が同行しよう。今のペースで仕事をこなすのにも慣れてきたからな。昼休憩と帰りも行動を共にできるだろう」


 みんながルナが発した雑音を聞かなかったことにしている。

 そんな中、アマンダさんから有難い申し出が。


「ほ、本当ですか! 良かったな、ルナ」

「……あ、りがとうございます」


 なぜか覇気のない顔で、えへへっと引き攣った笑みを浮かべるルナ。

 騎士団室にいる間はルドからの接触はないだろうし、これで安心して過ごせるはずだ。


 あとは……収監されているゴルドーの警備を厳重にしておいた方が良いだろう。

 怒りを買っているからな。

 ルドの協力のもと脱獄でもされたら、命を狙われ面倒くさくなりそうだ。


「フラウディア。俺の叔父が脱獄しないように警戒態勢を敷くことはできますか?」

「そうですね……わかりました。ルナさんのお兄様がこの王都にいる以上、手出しできないようにしないといけませんからね。私から当たって──」

「──あ、それなら僕がやっておいたよー」


 頼もうと思ったら、団長室から声が聞こえてきた。

 フラウディアと顔を見合わせ、ソファーから立ち上がり開いていた扉の奥を見ると、書類仕事をする団長が手を動かしながら言った。


「さっき僕もルナから話を聞いてね。すでに手回しはバッチリさ」

「団長……俺たちの話、ずっと聞いてたんですか?」

「まあね」


 仕事で忙しそうだから呼ばず、俺たちだけで話し始めたのに。

 うちの団長は地獄耳が過ぎる。


 とにかく俺が「助かります、ありがとうございました」と軽く頭を下げると、「はいはーい」と団長は書類に目を通しながら手だけを挙げて反応した。


「相変わらず仕事はできるのになんか軽いわよね、ジンって」

「だよな」


 ソファーに戻った俺に、リーナが片眉をクイっと上げてみせる。


 ルドも、手痛い仕打ちを受けたアマンダさんが側にいれば、そう何度もルナに干渉してはこないと思うが……もしかすると、俺に回ってくるかもしれないな。


 だがそれは厄介だ。

 できれば絡まれたくはない。


 念のために〈探知〉を使い、半径3KM内にそれらしき影がないか探ってみる。


 とある特殊な方法を使えば、遠くに行けば行くほど、範囲内にいても見つからないようにすることは容易くなる。

 だから半ば無理と思っての行動だったが──


「普通にいるなぁ……」


 俺が教えた方法はどうした。

 ルドがほぼ範囲の限界あたりで潜伏しているのがすぐにわかった。

 ……これで、バレないとでも思っているのか?


 どうか俺の元へは来ませんように。

 人生で初めて、神頼みをした気がする。



お読みいただきありがとうございます。

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