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740連目 光臨と恫喝

前回のあらすじ

『クロの早朝散歩』


外注さんの今日のひとこと

『クロをもふもふする会を発足させます!!』

「……。おぬしら、一体ワシをどうするつもりじゃ!?」


いや、どうと言われても……。

クロとの話は、ただの世間話ですよ?


「それでも問題なのじゃ。はて、おぬしには言ってなかったかのぅ?」


何の話ですかね?


「ワシの姿は、ワシを信じる者によって変わるのじゃ」


そういえば最初会った時に、俺が爺さんを想像するなら爺さんだ、とかなんとか……。


「それじゃ! じゃから、妙な想像はやめておくのじゃ!」


結構めんどくさい制約かかってるんですね。


「この喋り方自体も、おぬしの想像のせいなんじゃが……」


ふむふむ。ということは、クロのオーダーと合わせると“爺臭い喋り方をする女の子”になるわけですね。


「ロリババァではないか!

 ロボよりはマシかもしれんが……」


というかですね、全知全能なら、自身の姿くらい好きなように変えたらいいじゃないですか。


「今はまだ全知全能ではないのじゃ……。

 いうなれば、研修中といった所かのぅ」


えっ……。じゃぁ、俺の願いを聞いてくれるってのは……。


「もちろん、正式に昇格してからじゃ!」


そして昇格の条件は、“この世界を最後まで見届ける事”だから……。

俺の願い叶わなくない??


「そういえばそうじゃな!」


うわっ……、ひどい詐欺をみた。


「まぁまぁ、そう言うでない。ワシもなんの能力も持たぬわけではない。

 事実、こちらの世界を創り、お主を送ってやったじゃろう? じゃからできる事ならやってやれるのじゃ」


あっ……! そうだった! その話で来たんですよ!!

願いは決まったわけじゃないんですけど、この世界色々不具合出てるじゃないですか。

アレ、なんとかならなかったんですか?


「運営会社との連絡が途絶えてる問題じゃな?

 それに関しては、運営局の奴らがなんとかしておったし、問題ないじゃろ?

 それに、コンビネーションボーナスが廃止されてない事も、この世界に消費者庁はおらんからの。

 大きな問題にはならんじゃろうて」


ちゃんと把握してるんですね。一安心……。ですが!

バトルのターン制崩壊と、新たな来訪者の減少はどういう事ですか!?

それに、他にも諸々不具合が……。


「えっ!? なんじゃそれは?」


まさか……、把握してないと……?


「それがじゃな……、ワシは四月から異動になってこちらに来たんじゃ。

 なので、こちらに来ている間の事は、見える範囲でしか分からんのじゃ」


異動って、やっぱ普通に会社員なんじゃないですか!?

えっ……。てことは、今まではここにいなかったと?


「そうじゃ、おぬしらのイメージする天界のような場所にいつもおるんじゃ。

 そして時折光臨して、おぬしらに天啓を授けるのじゃ」


もし異動がなかったら、今日俺が来ても会えなかったかもしれないと?


「おそらく、おぬしが来る事を知っておったから、異動の辞令が出たんじゃろうな」


ガチャ神様の上司さんって……。


「全知全能じゃて、そのくらいはできるのであろうな。

 普段は面白おかしく暮らしておるがの」


じゃあ、その上司様に頼んで、なんとかしてもらう事ってできないんですかね?


「ワシがこの世界を見守るよう言われておるからな。ワシがなんとかするしかなかろう」


疑うわけじゃないですけど、大丈夫なんですか?

少なくとも運営会社との繋がりを作るには、この世界の外の話になるので頼んだ方が……。


「運営自体は運営局がするのじゃから、問題ないじゃろ?」


いやいや大問題ですよ!?

運営会社にちゃんと新キャラ投入してもらわないと、サービス終了の前フリにしかなってませんよ!?


「えっ……。あっ……マズいのじゃ!

 おぬしのゲームアカウントを元にしておるのじゃから、サービス終了してしまうと、この世界も終わってしまうのじゃ!!

 あっ、でも」


この世界を最後まで見届ける役目の人には、それはゴールでしょうけど。それを知った俺が黙って見てるとでも?


「……おぬしを察しのいいヤツにしたのは、やはり失敗じゃったな」


もし、そういう事をしようものなら、この世界の人たち全員に“神様はゴミクソミジンコ形態”って吹聴して回りますからね?


「神を恫喝するというのか!?」


手段が限られているのだから、穏便な方法など取れるわけがないでしょう。

それに何より、この世界には俺の大事な仲間達がいますから。


「そうか、おぬしもここで大切な者達ができたか」


えぇ、おかげさまで楽しませてもらってます。

さすがに、俺自身がまくらに取り憑いた幽霊だってことには凹みましたけどね。


「……!? どうやってそれを知ったのじゃ?」


ロベールっていう白熊に聞きましたけど。


「なるほど、それも含めて要調査じゃな」


えっ? なにか問題でもあるんですか?


「おぬしの心情に配慮して、伏せてあった情報じゃからな。

 普通の人間ならば、自身の死をそう簡単には受け入れられまい」


初めて会った時の事、覚えてます?

ガチャ神様直々に“お前はもう死んでいる!”って言われてるんですが。


「実感無き宣告には、さほど悲観しなかったであろう?」


たしかにそうですけど……。


「ともかく、今の様子を見るに、自暴自棄になってるようでもなく、ワシは一安心じゃ」


えぇ、クロのおかげです。たとえ俺自身がどんな状態でも、俺の事を想ってくれる人が居る。

たとえ死んでいても、まくらでも、幽霊でも。そういう人たちの想いが、俺が俺である証明なんじゃないかなって……。


「クロか、よい子じゃのぅ。毎日欠かさず御参りにくるだけでなく、誰に言われたわけでもないのに、掃除までしてくれておる」


えっ? 毎日来てるんですか!?


「そうじゃ。おぬしらが前に掃除に来た日から毎日じゃ。

 もちろん、学園運営局に泊まった日もじゃ」


だから、あの時クロは……。


「そういう事じゃ。どれ、少しばかり褒美をやるとするかの。

 買い物した時にくじ引きが引けるから、そのクジを骨孫(ホネガム)の当たり券にしといてやるのじゃ。

 それをクロにプレゼントしてやってくれんかの?」


いやいや、運0の俺がクジ引いて、当たりが出るわけないじゃないですか。


「おかしな事を言うのう……。神の八百長クジが、外れるわけなかろう?」


うわっ、神の力の無駄遣い……。


「おぬしに当たりを引く経験をさせてやろうというのじゃ。ありがたく受け取れい」


結局、俺にとっての当たりじゃないんですけど?


「細かい事は気にするでないわ! あと、ちゃんと不具合も調査しておくので安心するがよい」


なんだか安心できないんですけど……。お願いしますよ?

それじゃぁ、俺はそろそろ帰りますね。


「うむ。また何かあれば、ここへ来るがよい」



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 



 その声を最後に、神の声は聞こえなくなった……。

しかし、俺のセンサーはビンビンに反応してしまっている。悪い予感センサーがだ。

俺の嫌な予感というのは当たってしまうものだが、その予感の原因はあの神様の性格を知っているからだろう。

だから、いつもの嫌な予感とは違い、きっと外れる。そう思うことにして、俺は帰路についたのだった。

神をも脅すくままくらの恐怖。


『ミジンコへの風評被害がヒドい』


ところで、小説大賞の一次審査結果出ましたけど。


『だめだったようですね』


知ってた。


『イベントには乗っとけで参加したのがマズかったですかね?』


それすげどう杯でもやったヤツ。


『あれもいつも通りのエッセイ書いたわ』


そういう所が見透かされてるのかもよ?


『えー、俺がそれ用に書くとかできるとでも?』


(まぁ、小説大賞はガチャゲーを小馬鹿にた内容だし、協賛会社的にどうやったって無理だろ)


『それな!!』


あっ、ガチャ神ちゃんと違ってメタい思考読まれるんだった!


『上神さんも意外と迂闊』


さ~て、来週の爆死まくらさんは?


コレヨンデ(`・ω・)っ[台本] ⊂(・ω・`)『ナニコレ?』


『カズモリです。

 気付けばもう春真っ盛りといった様子ですね。

 春と言えば別れの季節、そして出会いの季節。

 終わりと始まりが異世界にも訪れたそうですよ。


 さて、来週の爆死まくらさんは

 ”ベル、怠惰を卒業する”

 ”鬼若、部活見学にゆく”

 ”クロ、おやつに困惑する”

 の三本です。


って、なんやこの台本』



来週もまた、読んでて下さいね。ジャンケン

グー!

(`・ω・)=○)Д`)

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