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70連目 拝啓、神様。

前章のあらすじ

「実験で作った運0の人間をまくらに転生させてみたのじゃ」


ガチャ神のワンポイント攻略情報②

「キャラクターのLvは戦闘をするか、魔石で上げることができるのじゃ」

「Lvが上がるとAtkとHPが上昇するのじゃ」

 拝啓、ガチャ神様へ。


 11月となり急に寒くなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

 風邪などひかれてはいませんでしょうか。


 俺のほうは、ただ今絶賛野山を駆け回り中です。

 いえ、野山を引きずり回されてるといった方が正確でしょうか。

 なにせまくらの身でありまして、自分で駆ける事はできませんからね。


 では、どういう状況か、そしてどうしてそうなったかを、順に説明させていただきますね。




 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 




 それは体感時間で数時間前。

鬼若とベルフェゴールの戦いの後、俺は二人を落ち着かせ頭を悩ませていた。




 いったいどうしたものか。とりあえず現状の整理をしよう。

「転生したら、まくらになってた」うん、意味分からんな。

いや、まくら以前に転生の時点で意味不明ではあるのだけど。



「えっと……。主様、寝てませんよね?」


「寝とらんわ!!」


「すっ……、スミマセンッ!」



 黙りこくる俺、つまりまくらを覗き込んでいた鬼若に、まさかの疑惑の目を向けられた。

この状況で、のほほんと寝てられるヤツはある意味でスゲェやつだけどさ、俺はそんな風に見られてるのだろうか。あ、今はまくらだしどんな風に見えるとかそれ以前の問題か。



「こっちこそスマン。

 怒鳴るつもりは無かったんだが、この体にまだ慣れてなくてな。調整が効かないんだ」


「真に不思議なまくらよのう。どれ、我のモノになる気は無いか?

 他のまくらコレクション共々愛でてやろうぞ」


「魅力的な提案ですが遠慮しておきます」



 ベルフェゴールはといえば、俺を膝の上に乗せて興味深げにつついたりしていたが、今では新しく買ってもらったぬいぐるみを愛でる少女のように俺の頭を撫でている。

といっても、まくらに頭は無いわけで……。なんとなく俺が頭と思っているせいか、撫でられている感覚が頭にあるというだけだ。


 俺の第一声を聞いた時の驚愕と気持ち悪さを混ぜたような、なんとも例えようのない表情は無くなったのはいいのだけど、慣れるのが早すぎると思うんだよなぁ。これがSSR(★7)の貫禄ってヤツなのか。


 ちなみに、その時は鬼若が俺を抱き上げていたのだが、俺がただのまくらではなく主である事を確信した安心感からか、泣き出して涙と鼻水と……、あとヨダレでドロドロに汚されかけたので、抱き上げるのを禁止した。渋ったが、これは主の絶対の命令だ。



「それで、どうして二人が戦う事になったんだ?」



 とりあえず片付けるべき事として、俺の転生やその結果がまくらであることは置いておこう。

「物事には解決すべき順序がある。締め切りが同じなら、優先すべきは関わっている人数の多い事を先に片付けるべきだ」そんな言葉を思い出す。

俺の事は俺しか関わってないので、関係者数一人だし後回しでいい。

いや、正確に言えば、まくらしか関わってないから関係()数は0だ。


 ははは、自虐ネタにしてしまえるほど開き直っているぞ! なにせガチャ神の実験動物扱いもスルーできる人間……。おっと違う、まくらがこの程度、ネタにできないと思ったか!

などと一人ボケを脳内で炸裂させても、ツッコミが無いと寂しいだけだ。

まぁ、この発言したとして妙な空気になるだけだろうけどさ。



「ええと……。どこから話すべきなんでしょうか……」


「あぁ、焦らなくてもいいから。要点を纏めて分かりやすく説明してもらえると助かる。

 あと、俺は気付いたらベルフェゴールの腕の中だったって所からしか覚えてないんだ」



 鬼若がどうかは分からないが、こういう時は焦らせると、とっ散らかった説明で聞く方を混乱させる奴がいる。

なので「急かさず、こちらの理解している事を明示してやると分かりやすくなる」というのが、会社で俺の教育担当をしてくれていた先輩からのアドバイスだ。

さっきの「物事の解決順序」もこの先輩の受け売りなんだけどね。


 今さらだが、その先輩だけでなく会社の人や、掛け持ちのバイト先の人達には親切にしてもらったのに、俺がこんなことになってしまって申し訳ない事をしたと思う。


 あれ? そういえば、俺って一人暮らしだったんだけど、どういう発見のされ方をするんだろう?

部屋の鍵はかけたと思うし、合鍵持ってるような人も居ない。今まで無遅刻無欠勤だったから、無断欠勤で不審に思った会社から誰か来るっていうパターンになるのか?

……うん。考えないでおこう。どのみち考えたって仕方ない事だもんね。そういう事にしておこう。



「主様。契約式を行っていた事は、覚えていますか?」



 一瞬前世へと意識が飛んだ俺だったが、その言葉にこちらへと引き戻された。

鬼若はゆっくりと、大事な事を見落としてないか考えるように、少しずつ話し出しす。

ワンポイント攻略情報が2行ってこれワンポイントなんですかねぇ?


「ガチャ神のワンポイント情報」

「細かい事気にする上司は嫌われるものじゃ」


キミ、反省しないよねぇ。反省文100万枚いっとく?


「ぱわはらじゃ!これはぱわはらなのじゃ!!」


まぁ読むのめんどくさいしやらないけど。


「次回は11月10日(土)更新予定じゃ」

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