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あらすじ

[本編分]


 主人公、西大寺吉孝は運がない。それは不運に見舞われるというものではないため、本人も自覚がなかった。だがその代わり、幸運も訪れない。

そんな彼がスマホゲームのガチャを回せば、確実にハズレと評されるキャラを引く。しかし、それで推しを諦められるほど「推し」という存在は軽くはない。


 本業だけでは課金するにもお金が足りず、二つもアルバイトを掛け持ちした結果、彼は過労で死んでしまう。

死の間際現れたのは、神を名乗る人物であった。そしてその神(代理)こそが、彼の運を0にした張本人だという。

本来それは禁止されている行為であったため、詫びとして彼のハマっていたゲームへと転生することとなるが、転生した先の身体は、ゲーム内アイテムのまくらだった。


 明らかに不利な転生であったが、迫り来る困難を仲間と共に切りぬける。しかしそれらは全て、神(本物)の仕組んだものだった。

二度目の死の間際、全てを神(本物)から伝えられ、彼は言う。

ガチャに一喜一憂して、次こそはとまた同じことを繰り返すなんてバカだと。

けれどそんな風に必死になれるのが、人間の面白い所だと。

全てを知り、なんでもできちゃうカミサマなんかより、ずっとずっと楽しい、と……。

その言葉に、神(本物)は人間とのかかわりを再び持とうと決意する。

そして彼と共に、元の世界へと帰ることを決めたのだった。



[延長戦分]


 ゲーム世界の仲間たちと共に、元の世界へと戻った西大寺吉孝。けれど、彼は異世界での記憶を全て失っていた。

そして、神(本物)が人間と関りを持とうと決めた影響で、世界のバランスは崩れかけていた。

落ちる月、特殊能力を発現した人々……。恐怖と混乱に落ちるはずの世界の平静を守っていたのは、ゲーム世界からこちらへと渡った者たち。

だが、動いていたのは彼らだけではない。自らに起こる不思議な事態に戸惑いながらも、世界に住まう者もまた、動いていたのだ。


 彼らは互いに協力する間柄だったり、もしくは街ですれ違うだけの間柄であったり……。

関わりは様々であっても、それぞれが互いに影響しあい、落ちる月を食い止めるため奔走する。

そして月落ちた世界で吉孝は全てを思い出し、神(本物)と再会する。今度は友人として。

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