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161連目 鬼若の最弱で窮屈な日常



 暴れられるならどこでもよかった。たとえ世界が違っていても。



 元居た世界は、俺にとって窮屈だった。

誰もが俺を抑え込み、型にはめようと押し付けた。

いつだって俺はそれをはねのけ、自由を求めて暴れ続けた。


俺はいつしか、暴れる事自体が目的となっていた。




 この世界に来てから、俺は本当の自由を手に入れた。

学園運営局(うんえい)によって殺生は封じられたが、戦う事はいつでもできた。

何より俺は、この世界で初めての危険(レア)SSR(★7)だった。

誰も俺に勝てない。誰も俺に逆らえない。

そして誰も、俺を押さえつける事はできない。

この世界こそ、俺のためにある。そんな風にさえ思っていた。




 しかし、それも長くは続かなかった。

この世界に俺と同じSSR(★7)が他にも出現しはじめた。

そして危険(レア)度が低い者達さえも、徒党を組んで俺に対抗するようになっていた。


 学園運営局(うんえい)によって縛られたスキル、それは俺を苦しめる事になる。

二種のスキルは、他の誰かを必要とする事なく、自身で完結していた。

たとえそれ自体は強くとも、組み合わせでより強く、俺を上回るほどに強くなる者達に対抗する事はできなかった。


 徒党を組み挑んでくる者達。それを俺は馬鹿にしていた。

一人では何もできない者達だと。


 しかし、それもただの負け惜しみにしかならない。

この世界は……。いや、どの世界も、勝たねば意味が無いのだ。


 格下に思われた者達に、数でもって蹂躙(じゅうりん)される日々。

なぜ俺だけがこんな目に……。恨み言ばかりが口から漏れた。



「勝負は水物」流れが変われば勝敗も変わる。


 流れを変えるため、足りない所を補い合う事を選んだ者達。

対してたった一人の俺が敵うはずがない。

それは理解しているつもりだった。けれど悔しさは募り続けた。



 悔しい……? それは負けたからか? 勝てたら嬉しいのか?

勝ち続けていた時、俺は本当に嬉しかっただろうか?

もっと強い相手、やりあって楽しい相手を求めていたのではないか?

それは……、俺を理解してくれる相手を求めていたのと何が違うのか……。



 本当に欲しいもの、それは仲間だったんじゃないのか?



 元の世界で暴れまわっていたから?

この世界は、俺に罰を与えるための世界なのか?

だから俺は……、今も一人なのか?


 思えば俺を型にはめようとしていた奴ら。

あいつらは本当に、俺を押さえつけようとしてたのか?


 俺がそう思っていただけで、その型にはまる事ができたら……。

あいつらを仲間と呼べたのだろうか。






「来訪者名、鬼若。貴方の契約主が決定しました。転送を開始します」


 無機質なその声と共に、足元に魔方陣が展開される。



 契約主、俺を縛る者。

そんなものいらないと思っていた。


 けれど今なら……。

主と呼べる者の存在を受け入れる事ができるだろうか。




「君がウワサの鬼若君か。俺は熊の実。どうぞよろしく」



というわけで!今日は鬼若君の話でした!

内容的にシリアル気味なのにさ、プレイヤーネームで台無しだよ!!

名前、大事。シリアルはあさごはん。

では明日もよろしくお願いしま~す!


次回更新→11月28日(水)デス



後書き代打     ◇カズモリ◇

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