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《殲滅の魔女》は虚弱体質 〜魔力無限の最強魔導師ですが、コミュ障なので学園潜入任務はお断りしたいです〜  作者: ことりとりとん


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21.魔境任務とお勉強



 魔法兵団の訓練場である程度詠唱に慣れたので、次は魔境へ行くことにした。

 というか、二週間も討伐任務から遠ざかっていたのでいい加減行っておかなければ、といったところだ。


「あの、よかったら、アズーラ中尉も一緒に来てくれませんか。

 私の魔法を見てて、アドバイスして欲しいです」


 本来任務に行く時には副官を伴うのは当たり前なので、良かったらも何も行きますよ、というのがアズーラ中尉の言い分だ。


 それに、魔境へは普通分隊で行くので、自分の仕事がアドバイスだけ、というのも変な話だが、キアラは一人で討伐出来るのだからそういうものとして割り切ることにした。


 一方で、キアラはキアラで色々と考えている。

 いつも通りの討伐任務ではあるけれど、魔法の使い方にはひとつひとつ気をつける。


 適当に乱れうちするのではなく、大きさや威力に気を配り、『学園での授業ならどうするか』を意識して魔法を使った。


「あの、アズーラ中尉。試しに詠唱してみてもいいですか」


 本来キアラはアズーラ中尉に許可を取る立場では無いが、もし何かあったらフォローしてもらわないといけないので声をかけておく。


「どうぞ」


 短い返事と共にアズーラ中尉が身構えたので、やはり彼も威力を警戒しているのだろう。


 しかし、詠唱して使った魔法も、結局威力は変わらなかった。


 理論上は詠唱をすれば威力は上がるはずなので、アズーラ中尉には理解出来なかったが、キアラは深く納得していた。


 (魔境で魔法を使う時には、魔力の動きや流れが鮮明に感じられる。

 でも、王国内だと土地の魔力濃度が低いから、分からなくなっちゃうんだ。

 だから、詠唱して流れを感じられるようにしてるんだろうな)


 理解して心の底から納得すれば、習得も早まりそうなので良かったな、とキアラは思う。

 なんの意味があるのか分からない授業を受けていると、なかなか聞く気になれないのだ。


「あの、アズーラ中尉。魔境なら、詠唱なくても同じっぽいんですけど、練習のために詠唱した方が良いと思いますか?」


 そんな事、全く常識の範囲外だから、聞かれた副官の方が困ってしまう。


「練習したければしても良いですが、今は討伐速度を優先して欲しいですかねぇ」


「そうですか。じゃあ、ちゃちゃっとやっちゃいますね」


 えいっ、えいっと気楽な掛け声と共に魔獣を一撃で屠る様を見て、生物としての格の違いに圧倒される副官だった。




 翌日。


「……ぁあの、すみません、お願いしますっ」


 一度学園に戻って教科書を取ってきて、副官と共にお勉強だ。

 実習は詠唱のコツが分かったのでどうにか誤魔化せそうだが、座学はそうもいかない。

 他の子達が幼い頃から勉強してきたことを、キアラは今から詰め込まないといけないのだから。


「まずは基礎魔法学から行きましょう。このテキストですが、自分が昔使っていたものです」


 アズーラ中尉の方でも色々と準備をしてくれたらしい。


「……すみません、中尉も、お仕事があるのに」


 邪魔をして申し訳ないとキアラは恐縮してしまうが。


「いえ、自分の仕事はレンツァー魔導師の任務遂行に関するサポートです。

 これは充分自分の仕事の範囲ですから、好きなだけ頼ってください」


 アメシストの瞳は優しげで、キアラは副官が優しい人で良かったな、と素直に思う。

 でも、自分が人から遠ざかって距離をとっていたせいで、それにも気づかずにいたのだ。


「あと、レンツァー師はご自分の魔法が暴走することを危惧していらっしゃるそうですが」


 そんな事まで調べていたのか。さすが優秀な副官だ。


「自分は結界魔法が得意ですので、何かあればレンツァー師ごと結界で囲んで封じ込める事が出来ます。

 それも、魔法が発動した後でも充分追いつける精度と速度を兼ね備えている自信があります。

 ですから、自分の前であればいつ暴走して頂いても大丈夫ですよ」


「……ほんとですか!?」


 それは、誰かを傷つけることを何よりも恐れているキアラにとって、とてもとても嬉しい言葉だ。


「ええ。試しにやってみますか」


 アズーラ中尉は、単独で魔導六師の副官に任命されるほど優秀な魔法使いだ。

 攻撃の威力は一歩劣るが、結界による足止めと封印に関しては魔法兵団いちの使い手。


「……ほんとに、やっていいんですか?」


 アズーラ中尉の頷きを見てから、キアラはえいっと魔法を使う。

 キアラが出した水の球が目の前から飛び立つよりも前に、アズーラ中尉の結界が身体を包んで動けなくなった。


「……すごい、すごいですね!」


「ありがとうございます」


 生き物としての格の違いを見せつけられた相手にこうも感動されると副官としては居心地が悪いが、自分の魔法がキアラの自信になるのなら、と思い直す。


 それに、今は軽く魔法を行使しただけだから動きを止められたが、本気でキアラが抵抗したら、結界はいとも容易く破られてしまうだろう。


「……じゃあ、もしも私の魔法が暴走してしまったら、結界張ってくださいね?」


 酷く自信なさげでか弱い、お願い攻撃をくらったアズーラ中尉は、胸をおさえてしゃがみこみたくなった。



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