第百五十三話
ゴーディさんに呼び出された。
私とジャンは聖都の料理屋で待つ。
殺されてしまうんだろうか?
先日の不老不死の魔法使いの件で来たのかもしれない。
優しいけど怖いんだよな。
また歯ががたがた鳴りそう。
ジャンは平然とした顔をしている。
「よっ。お待たせ。お待たせ」
いやあ仕事が立て込んじゃってさ。
来た。
「いやあもうこの仕事の詰め込み具合と薄給さも『黒』たる所以だよね』
暫く彼と飲んでわかったけど用件は違ったみたいだ。
「カーシャちゃんに聞きたいことあったんだけどさ。帝国で見た竜ってどんなのだった。若そうに見えたとか動きが鈍かったとか? 傷があったとか無かったとか? なんでも良い」
そういうことか。
私は記憶を探ってみる。
「うーんとにかく巨大でしたね。大きくて、強そうで、風が吹いたらうわーってなって。耳が痛くて、降りたらどかんってなりました!」
二人は微妙な表情で眼を細める口すら曲げてた。
伝わらなかったか?
私そんなに説明下手かな。
「あっ鱗が厚くて硬そうでした。ボウガンの矢が通らないぐらい」
そうそうこういう情報が欲しいんでしょ。
「……他に何かなかったかな?」
そう彼は静かに訊く。
その言葉に少し焦る。これじゃ足りないのか。
「えっとえっと。軍師のウィルさん。あっウィルさんっていうんですけどね向こうの軍師は。えっと」
会話を思い出す。
「『皇帝はわけのわからない理由で竜を戦争に使用しない。』『お前が竜を使えばもっと話は簡単だ』確かそんなことを……」
その言葉にゴーディさんの眼が鋭くなった気がした。
「……そうか。ありがとう。良い情報が聞けたよ。さっ! 難しい話はこの辺にするか! 食おう! 食おう!」
彼は笑顔になりまた私達に食事を勧める。
「あっあ、それに竜は」
私個人もちょっと聞きたいことがあった。
彼は不思議そうな顔をした。
「……私が『世界を変える魔法使い』になるって」
そう胸に手を添え訊いてみる。
竜の啓示について知りたかった。




